ゴルフ ▲ビッグマイナーチェンジが行われたフォルクスワーゲン ゴルフですが、改良型のデリバリー開始はまだまだ先の話であり、新車価格も若干上がることになりそう。であるならば、ほぼ即納でイケる「前期型の中古車」を、手頃な価格でサクッと入手してしまった方がシアワセになれるのではないでしょうか

「ゴルフ8.5」とも呼ばれる改良型ゴルフ8は確かに魅力的だが

ゴルフ8こと現行型フォルクスワーゲン ゴルフのマイナーチェンジが正式発表され、9月13日には暫定価格もアナウンスされました。

ちまたでは「ゴルフ8.5」とも呼び表されている改良版の現行型ゴルフですが、そのデリバリー開始は2025年1月からになるとのこと。つまり「8.5が欲しい!」と思っても、実際に入手するにはけっこう待たなければならないということです。また、現在アナウンスされている暫定価格は、直近の新車価格よりも2~3%ほど値上がりしています。

ということはつまり、場合によってはゴルフ8.5(改良型)のデリバリーを待つより、今すぐ入手可能な「前期型の良質中古車」を、サクッと安価に買ってしまう方がいいのではないか――という考え方もできるわけです。

とはいえ、すべては「ゴルフ8.5(改良型)と前期型ゴルフはどこがどう違うのか?」ということと、「両者の価格はどれぐらい異なるのか?」ということを明らかにしない限り、判断できるものでもありません。

ということで、現行型ゴルフの前期型/後期型の相違点を把握するとともに、前期型の直近の中古車価格を精査したうえで、この問題に関しての結論を出してまいりたいと思います。
 

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前期型と後期型の違い:インフォテインメントシステム以外はさほど変わらず?

今回行われるフォルクスワーゲン ゴルフのマイナーチェンジは、「外観のブラッシュアップ」と「インフォテインメントシステムの強化」「一部パワーユニットの変更」が中心となっています。それぞれの詳細を見てまいりましょう。

外観のブラッシュアップ
改良後のモデルでは、日本市場向けのフォルクスワーゲン車としては初めて、イルミネーション付きの「VW」フロントエンブレムが装着され、ヘッドランプとバンパー、リアコンビランプの形状も微妙に改められています。
 

ゴルフ▲改良型はフロントの「VWエンブレム」が夜間にキラリと光るイルミネーションタイプに変更される
ゴルフ▲間違い探しに近いレベル(?)ではあるが、ヘッドライトとバンパー、そしてリアコンビランプのデザインも微妙に変わっている
 

とはいえ、ランプ&バンパー形状の変更はかなり微妙な「間違い探しレベル」であり、夜間にきらりと光るイルミネーション付きVWフロントエンブレムも、まぁ確かにキラキラする方が今どきっぽくて良いのかもしれませんが、「どっちでもいい」と言えるポイントかもしれません。

そのため外観に関しては「必ずしも後期型の方が圧倒的に良いとは言えない」というのが結論になります。

インフォテインメントシステムの強化
ここに関しては、マイナーチェンジ後の8.5の方が圧倒的に優れていると言えそうです。

前期型のゴルフ8は「走りなどの本質的な部分はかなり魅力的なのに、インフォテインメント関連はイマイチ」という評価が一般的でした。10インチのタッチスクリーンがやや操作しづらく、必要な情報がすぐには出てこないというのが難点だったのです。

しかし改良型では、「MIB4」と呼ばれる最新のインフォテインメントシステムに刷新され、タッチディスプレイも12.9インチに大型化。そしてメニュー構造も改良され、画面の上下には使用頻度の高い機能へのショートカットやエアコンの設定状況が常時表示されるようになりました。

これによりホーム画面での情報の一覧性が向上し、ナビやドライブモード、運転支援装置などの情報がワンアクションで簡単に呼び出せるようになりました。
 

ゴルフ▲こちらは「イマイチ使いづらい」との声も多かった前期型の10インチディスプレイ
ゴルフ▲改良型ではディスプレイのサイズが12.9インチとなり、メニュー構造も改善された

また、「IDAボイスアシスタント」と呼ばれる音声操作機能が搭載され、インフォテインメントやエアコンなど多くの機能が音声でコントロールできるようになったのも、今どきの車としては重要なポイントと言えるでしょう。

一部パワーユニットの変更
eTSIスタイル/Rラインが搭載する最高出力150psの1.5L直4ターボ+48V電源システムと、TDI系が搭載する2L直4ディーゼルターボに変更はありませんが、その他のパワーユニットは下記のとおり変更されることになりました。

●eTSIアクティブ
最高出力110psの1L直3ターボ+48V電源システムを廃止し、同116psの1.5L直4ターボ+48Vに変更

●GTI
2L直4ターボの最高出力が245psから265psに向上

要するに通常モデルのエンジンが出力違いの1.5L直4ターボ+48Vに統一され、GTIの最高出力が少し上がったということです。

ここについても、もちろん改良後のパワーユニットの方が何かと良いはずではありますが、「圧倒的な差があるというほどでもない」というのが結論となります。
 

ゴルフ▲改良型のパワーユニットの方が何かと洗練はされているはずだが、決定的といえるほどの差はないはず

以上のとおり、「外観のちょっとしたブラッシュアップ」と「eTSIアクティブのパワーユニット変更」はさほどクリティカルな問題ではないと考えられますが、「インフォテインメントシステムの違い」はけっこう重要なポイントです。

ここをどうとらえるかは、人それぞれの価値観次第でしょう。「来年1月以降まで待って、なおかつ高いお金を出してでも、改良されたインフォテインメントシステムを使いたい」という人もいるでしょうし、「良質な中古車をかなり安く入手できるなら、前期型のインフォテインメントシステムでもOK」と思える人もいるはずです。

これに関しての“正解”は特にないのですが、筆者個人は「良質な物件が明らかに安いならば、前期型もアリ」と考えるタイプです。

それでは次章以降、「前期型もアリかな?」と考える人に向けて、具体的なオススメ前期型を挙げてみることにしましょう。
 

 

ガソリンターボ車が欲しいなら?|200万円台半ばのeTSIアクティブまたは200万円台後半のeTSIスタイル

前期型ゴルフ8のガソリンターボ車は何種類も存在しますが、比較的手頃な総額で狙うことができ、なおかつ流通量も比較的豊富なのは下記の2つグレードです。

●eTSIアクティブ
・1L直3ターボ+48Vマイルドハイブリッドのベーシックグレード
・流通量:約50台
・中古車価格:総額220万~340万円

●eTSIスタイル
・1.5L直4ターボ+48Vマイルドハイブリッドの中間グレード
・流通量:約30台
・中古車価格:総額250万~380万円
 

ゴルフ▲こちらが1L3気筒ターボの「eTSIアクティブ」
ゴルフ▲こちらは1.5Lの4気筒ターボとなる「eTSIスタイル」

1L直3ターボのeTSIアクティブは、人によっては「やや非力だ」と感じる場合もあるようですが、一般的な感覚で言うなら「公道で普通に乗る分には何ら不満はない」というのがおおむね正確な評価かとは思います。

また、装備の面でもeTSIアクティブとeTSIスタイルの間にさほど大きな違いはないため、ここはもうパワーユニットの好み(1L直3ターボで十分とするか、より余裕のある1.5L直4ターボにするか?)と、予算で選んでしまっていいでしょう。

いずれのグレードも、総額300万円を大きく超える物件も多数流通していますが、このタイミングであえて改良型新車ではなく前期型の中古車を狙うのであれば、「なるべく安い中古車」を選んだ方が、心理的な納得感は強まるものです。総額300万円以上の高額な中古車だと、どうしても「……この金額を出すなら、いっそ新車を注文した方が?」という迷いや後悔が生じてしまうことになるわけです。

その意味で、両グレードの狙い目価格帯は下記のとおりとなるでしょう。

●eTSIアクティブ:総額230万~270万円
●eTSIスタイル:総額260万~290万円

いずれのグレードにおいてもこの予算帯で、走行距離2万km台までの好条件な物件を見つけることが可能です。
 

ゴルフ▲写真は前期型eTSIスタイルの運転席まわり。インフォテインメントシステムがやや使いづらいという難点はあるが、改良型eTSIスタイルの暫定価格「443万7000円」よりも圧倒的にお安い「総額280万円前後」で買えることを考えれば、そのあたりも普通に許せるかも?

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ディーゼルターボ車が欲しいなら?|300万円台前半のTDIアクティブ アドバンス

最高出力は150psと控えめですが、360N・mという極太最大トルクを発生する2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する「TDI」は、ゴルフ8に乗るのであればぜひ狙ってみたいパワートレインのひとつです。

ゴルフ8のTDI系は下記のようなグレードに分かれています。

・簡素な「TDIアクティブ ベーシック」
・TDIアクティブ ベーシックの装備を充実させた「TDIアクティブ アドバンス」
・上質なトリムが魅力の「TDIスタイル」
・スポーティな意匠の「TDI Rライン」

また、アクティブ アドバンスとスタイルには、特別装備を装着した「プラチナム エディション」という特別仕様車も存在しています。
 

ゴルフ▲こちらがTDIアクティブ アドバンス
ゴルフ▲360N・mという力強い最大トルクを発生させる2L直4ディーゼルターボエンジン。このエンジンを搭載するグレードのWLTCモード燃費は20km/L

で、それぞれの直近の中古車価格と流通量はおおむね下記のとおりです。

●TDIアクティブ ベーシック|総額320万円|1台
●TDIアクティブ アドバンス|総額280万~370万円|26台
●TDIアクティブ アドバンス プラチナム エディション|総額320万~420万円|28台
●TDIスタイル|総額340万~390万円|18台
●TDIスタイルプラチナム エディション|総額350万~420万円|8台

最も簡素な「TDIアクティブ ベーシック」は例によって流通量が激少なため除外するとして、残る4グレードにおける「中古車としてちょうどいい感じの物件」の価格は、おおむね下記のとおりとなります。

●TDIアクティブ アドバンス|総額300万~330万円
●TDIアクティブ アドバンス プラチナム エディション|総額330万~350万円
●TDIスタイル|総額340万~360万円
●TDIスタイルプラチナム エディション|総額340万~400万円

「中古車としてちょうどいい感じの物件」に絞った場合の価格目安は比較的僅差となるため、上記4グレードの中からどれを選ぶべきかは、人それぞれのおサイフ事情や好みなどによって変わってくるでしょう。

もしも「お手頃予算であることを重視したい」という場合は、走行距離2万km台までの「TDIアクティブ アドバンス」を総額300万円台前半で狙うのがモデルケースとなります。
 

ゴルフ▲TDIアクティブ アドバンス。総額340万円前後にて、走行距離数千kmレベルの物件が容易に見つかるはず

こちらのグレードであれば標準装備の内容も非常に充実していますので、もしも総額320万円ほどでコンディション良好な物件を見つけることができたら、カーライフのコスパはかなり向上するはず。

ぜひ、カーセンサーnetで積極的にチェックしてみてください。
 

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文/伊達軍曹 写真/フォルクスワーゲン、尾形和美
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。