新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年6月7日
(令和6年6月7日(金) 18:42~18:53 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
本日は、新しい資本主義実行計画の改訂案を取りまとめいたしました。ポイントは第1に、中小・小規模企業で働く労働者の賃上げ、労務費の価格転嫁の徹底を図るとともに、下請代金法について改正の検討も含めて厳正な対処を行うということにいたします。他方で、AI・ロボットの自動化技術の利用拡大とともに、自動化技術を用いる現場労働者のリ・スキリングを進めたいと思います。第2に、三位一体の労働市場改革です。「ジョブ型人事指針」を今年の夏に公表し、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進めたいと思います。また、現場人材のスキル向上に向けた支援を行います。
第3に企業の参入・退出の円滑化でございます。「スタートアップ育成5か年計画」の強化とともに、事業承継やM&Aを進めるため、手数料の開示や経営者の個人保証を見直す枠組みを導入する。あわせて事業承継税制の要件緩和を図るということにしております。
第4に、「コンテンツ産業活性化戦略」を定めました。政府の司令塔として、「コンテンツ産業官民協議会」を設置するとともに、一貫的で強力な支援のために、文部科学省、経済産業省の施策をクリエイター支援基金に統合することにいたします。加えて、クリエイターやアーティストを対象に労働慣行や取引慣行是正を図るために、音楽、放送番組、映画、アニメ、各分野の実態調査を行い、独占禁止法上の指針の策定を行うということを定めております。
第5に国内投資の推進です。DX投資、AI、半導体、健康・医療、量子技術、フュージョンエネルギー、次世代素材、蓄電池、また、バイオものづくりなどにつきまして、国内投資の拡充を図ってまいります。
第6にGXについては2040年を視野に入れた「GX国家戦略」を策定することにいたしました。
第7に、資産運用立国を推進し、iDeCoについて大胆な改革を検討するということをそれぞれ定めたわけであります。
今月下旬の閣議決定に向け、私を中心に与党とも調整を進め、関係大臣と協力して取りまとめ作業を加速するよう総理から御指示がございました。私からは以上です。
2.質疑応答
- (問)今の大臣の冒頭の御発言に関連してなのですけれども、今回の改訂版の中で、「新しい資本主義の取組の方向性は正しかった」との言及がありますが、具体的にはどのような成果があって、その方向性が正しいと判断しているのでしょうか、お聞かせください。
- (答)本文に「これまでの新しい資本主義の取組の方向性は正しかったという合意に至った」というふうに記載をしているわけであります。それは私どもが素晴らしかった、正しかったと言っているのではなくて、実現会議の議論の中で多くの委員の皆様から、これまでの取組の方向性は正しかった、この方向で改訂を行うべきとの意見が出たことを受けまして、全委員の皆さんが調整をしてこのような言葉にしたということでございます。
- (問)新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定案についてお尋ねします。6月3日(月)の推進会議について先日の会見で大臣は、パブリックコメントの概要を委員に説明したとおっしゃいました。ただ、推進会議のウェブサイトにその資料が公開されておりません。まだ最終的なものができていないのかもしれませんが、委員に配布されて、それを議論のたたき台にして議論が進んでいる以上、非公表にする理由はないと思われるのですが、この資料を国民にも共有すべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
- (答)この会議においては、パブリックコメントの概要を委員に報告し、そして、ワクチンやリスクコミュニケーションをはじめとして、政府行動計画改定案の様々な分野においての意見を伺ったわけであります。国民の皆さんからいただいた意見につきましては、現在、事務局で精査中です。そして、前回の推進会議では概要を説明しておりますけれども、現段階では外部への公表は控えているという状況でございます。従って、推進会議における議論が国民に共有されること、これは重要であることはもとより、パブリックコメントの内容についても精査終了後、推進会議に公表資料として提出する考えであるということでございます。ですから、政府としての考え方についても、パブコメの結果公示、こういった中で今後公表を考えています。
- (問)それはだいぶ先になると思うのですが、多分、概要の資料を紙で委員に説明されているということですよね。それは間違いないでしょうか。
- (答)概要を説明しておりますけれども、これは非公表資料ということで説明しておりますので、外には出しておりません。
- (問)はい。それをなぜ公表できないのかということをお尋ねしているのです。非公表だからという説明しか受けていないのですが、なぜ非公表にしないといけないのでしょうか。
- (答)今、まさに精査を進めている最中でございます。とにかく大量にあるわけですから、まず概要を委員にお示ししました。更に詳細について精査を終了して、その上で公表資料として提出する。そのような状況をきちんと作業をした上で考えているということでございます。
- (問)もう一問、行動計画案の中身について1点お尋ねします。児童や生徒、こどもたちへの影響に関係する部分であります。以前、「新しい生活様式」というものがありました。その呼びかけはもう廃止されたと思うのですが、今回の改定案には準備期、つまり平時から国、都道府県、市町村及び学校等は手洗い、換気、マスク着用等、咳エチケット、人混みを避ける等の基本的な感染対策の普及を図ると書かれておりまして、主語に学校等も含まれています。
この記述は平時から教育現場で人混みを避け、マスクをするように求める趣旨とも読み取れてしまうのですが、違いますでしょうか。 - (答)御指摘の「新しい生活様式」につきましては、2020年の5月に策定した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に示されていたと承知をしております。これは昨年5月8日の5類移行に伴って廃止されているということです。政府とすれば、今回の行動計画案に出されているものは従来から季節性インフルエンザについては手洗い・換気に限らず、マスク着用等の咳エチケット、人混みを避ける等が基本的な感染対策であるということで奨励をしてまいりました。ですから、今度の行動計画においても同様の方針を記述したということで、平時から特別に何かを対処すべしというようなことをうたっているものではないと、このように私は理解しています。
- (問)分かりました。関連でもう一つです。学校でのルール、あるいは教師の指示は生徒たちにとっては事実上の強制になります。今は強制ではなくなりましたが、コロナ禍におけるこどもたちへの心身への影響は大きく、今でもマスクを外せないこどもたちもまだまだ多いと聞きます。昨日、私の娘にも聞きました。女の子たちは誰一人外してないと言っていました。そういう学校もいまだにあるということです。
小学校4年生からずっとマスクの生活を続けていて、中学2年生で外せなくなっています。こういったコロナ禍で約3年間続いた黙食やパーティション、あるいは各種行事の自粛、こういった3年間の教育現場の対応についても政府はきちんと実態を調査したり、検証した上で今回の改定案に反映されているのでしょうか。そこの点がきちんと反映されているのかということをお尋ねしたいのですが。 - (答)今、御指摘いただいた学校内の感染対策については、文部科学省において、その場面に応じて適切な対策を講じるべく、考え方を適時示していると、このように承知をしております。
我々統括庁とすれば、次なる感染症危機に備えて、感染拡大防止と社会経済活動のバランス、これを踏まえた柔軟かつ機動的な対策の切替、こうしたものを講じる。更にはそれが国民生活及び社会経済活動への影響を軽減させることが重要だと。そういう状況の変化に即して取り得る対策をこの行動計画の中で取り込んだということでございまして、学校における対策の妥当性については文部科学省にお尋ねをしていただくしかないと思っています。
(以上)