新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年9月27日
(令和5年9月27日(水) 17:26~17:36 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)
1.発言要旨
連日、皆さんありがとうございます。本日は、経済対策の議論を開始したことを受けまして、持続的賃上げと国内投資促進を中心に、3年間の「変革期間」でコストカット型の冷温経済を、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する適温の成長型経済へ転換する手法について、議論を行っていただきました。三位一体の労働市場改革やスタートアップ育成による企業の新陳代謝など、新しい資本主義の実行計画を変革期間の中で早期に実行すると考えております。
加えて、経済対策においては、持続的賃上げについて、第一に、賃上げ税制の減税措置の強化を図る。
第二に、中小・小規模企業の賃金引上げのため、省人化・省力化投資への支援を実施することとし、カタログから選ぶように、使い勝手の良い措置としたいと考えております。地方においても賃上げが広がるよう、工場等の新設を支援する。そして経営者保証を不要とする信用保証制度を年度内に創設する。
第三に、取引適正化に向けて、地元の最低賃金の上昇率や春闘の妥結額を基礎に価格交渉を行うなど、労務費転嫁の分かりやすい指針を年内に公表したい。
第四に、非正規労働者と正規労働者の同一労働・同一賃金制について、対応が不十分な企業に対して指導を行うとともに、在職中の非正規労働者に対するリ・スキリング支援を開始するということ。
第五に、資産運用立国については、金融担当大臣を中心に、年内に政策プランを策定するということでございます。
さらに国内投資促進については、第一に、米国等の税制措置も参考に、蓄電池、電気自動車、半導体など、戦略分野の国内投資について、新たな減税制度を創設するなど、成長力の強化に資する減税の実施を図りたい。
第二に、特許権等の知的財産から生じる所得に関して減税を行う、イノベーションボックス税制の創設を図る。
第三に、ストックオプションを使い勝手の良いものとするための法制整備や減税措置の充実を検討するなど、イノベーションをけん引するスタートアップ等の支援を強化する。こういったことを盛り込んだ新しい資本主義の推進についての重点事項を今日取りまとめをいただきました。
総理からは、新しい資本主義の推進について本日取りまとめがございまして、その重点事項に沿って、私を中心に関係大臣が協力して、経済対策の取りまとめと施策の具体化を進めるように、御指示がございました。私からは以上であります。
2.質疑応答
- (問)本日の会議で議論された経済対策を実現していくためには、予算措置や税制措置、制度改革といった手法の組み合せが必要になると思います。このうち予算措置についてお尋ねをしたいのですが、どういった分野、項目で補正予算の活用が検討され得るとお考えでしょうか。
- (答)まず、今年の6月に新しい資本主義実行計画を定めております。この実行計画で定めたものというのは、その時点で準備が整い次第、予算措置化していくということからすれば、それは新年度の予算措置というものがイメージされるものが多いのではないかなと思います。
今回のこの経済対策は、正にここで企画をし、そして積み上げて、それを速やかに実行に移すという意味において、これは補正予算対応も含めたそういう準備をしなければならない、そういうものが含まれているとお考えいただきたいと思います。
特に一定の期間に集中的に支出が必要となるもの、そしてスタートダッシュでできることは素早くやっていこうという意味においても、補正予算の対応というのが多くなるのではないかなと思っているわけです。
いずれにしても、具体的なものについては経済対策の今後の立案過程の中で検討していくことになります。 - (問)今回の重点事項の中で賃上げの税制の減税措置であったりとか、国内投資の促進の減税措置であったりとか、減税というのが少しキーワードになっているような気もするんですけれども、減税の対応の効果とか、どういうふうに進めていくか、教えていただけますでしょうか。
- (答)コストカット型を冷温経済と呼んでおりますが、これまでのそうした経済を適温の成長型経済に転換させるためには、適度な物価上昇を上回る名目賃金の上昇が必要になる。
そして、デフレギャップが解消されつつある中で、名目賃金の持続的な上昇を図るためには、潜在的な成長力の強化が必要になってくるわけであります。
このため、戦略分野の国内投資を促進させるために、新たな減税制度や、日本国内での研究開発などから生じる所得に関して減税を行う税制の創設を図ることとしたわけでありますが、これは潜在的な成長力の強化につながる。そういった意味において効果的ではないかなと考えているわけです。 - (問)今回、中小・中堅企業の賃上げのところで、工場等の新設の支援ですとか、またカタログ型で省力化、省人化の設備導入等の支援をされるということですが、大体平たくいえば中小企業はどれぐらいの補助を受けられて、お金をいただけて、どれぐらいの規模の予算でやられるですとか、またどういったものを対象にするですとか、もうちょっと具体的なお考えがあれば教えてください。
- (答)それはこれから具体的な積み上げをして、皆さんに発表し、またこれを私たちは提案していくわけでございますが、いずれにせよ、ナショナルの日本を代表するような大型の投資と併せて、やはり地方で地方経済をけん引していただくための規模の投資というのがあると思います。
そういったものに対してきちんと、いわゆる戦略分野の国内投資ですけれども、減税制度だけではなく、民間投資を喚起し、地方で収益を上げてもらう、そしてそれが賃上げにつながっていく、こういうかたちをつくるために地域における大規模な投資の支援を検討しているということでございます。
それから、カタログ式というのは省エネとか省人化のための設備を導入すると。そうすると、従来からですとそれに対してKPIはどのぐらい、何に設定するかとか、様々な申請に対する手続がございました。
今回の場合は、ある設備を導入するならば、その効果はあらかじめ定量化させておいて、その設備を導入する場合にはこういう効果があるのだから、それに従って補助対象となるものはこれで、補助金の額はこのぐらいですねというようなことがある程度パッケージにして使えるようにできないかと。これは非常に使い勝手の良いものになると思います。
申請したはいいが非常に手続が煩雑だ、それから、そのための様々な計算が必要だと、これはもちろん中身はきちんと精査させていただきますし、それぞれ企業もそういった計画を立てるわけですが、できるだけスピーディーに、そしてシンプルにこういった制度を使えるようにしていただけないか、こういう考えをしているところです。
(以上)