第2回産学連携諮問委員会
【日本脳科学関連学会連合 第2回産学連携諮問委員会 議事録】
日時
2022年10月24日(月)18:00-20:00
(プレ会議1:2022年10月15日10:00-11:00、プレ会議2:2022年10月16日15:00-16:00
プレ会議3:2022年10月22日19:00-20:00)
場所
Web会議(Zoom会議)
参加者
阿部修(プレ会議1)、池田昭夫、池田和隆、石山健夫、上野太郎、大隅典子、岡野栄之(プレ会議1)、尾崎紀夫、小澤一史、小原喜一、加藤忠史、川合謙介(プレ会議2)、菊地哲朗、木村禎治、工藤與亮、黒田輝(プレ会議3)、後藤純信、齊藤延人(プレ会議2)、白尾智明、高橋良輔、竹島多賀夫、田中謙二、萩原一平、菱田寛之、平田幸一(プレ会議1)、平田晋也、藤原一男(プレ会議1)、松田哲也、守口善也、山脇成人
参考人招聘:花川隆(脳科連将来構想委員会委員長)
オブザーバー参加:
伊佐正(脳科連代表)
上田哲也(株式会社LSIメディエンス)、
内田真一(協和キリン株式会社)、
梅田聡(日本心理学会脳科連評議員)、
江口淳一(株式会社地球快適化インスティテュート)、
金子智(田辺三菱製薬株式会社)、
高野晶寛(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)、
中田恵理子(日本ケミファ株式会社)、
松元健二(神経科学学会産学連携委員会委員長)
森友雅(UBE株式会社)
欠席者
林(高木)朗子
(以上敬称略、五十音順)
議事次第
1.伊佐正脳科連代表挨拶
2.前回議事録承認
3.活動報告(委員会全体、WG1-4)
4.プレ会議情報
(阿部委員、川合委員、黒田委員、齊藤委員、平田幸一委員、藤原委員)
5.脳科連将来構想委員会活動説明(花川参考人)
6.AMED脳プロ改組に関する検討
7.日本学術会議「未来の学術振興構想」に関する検討
8.委員会で情報共有しておくと良いことの情報提供
(菊池委員、池田委員、他)
9.今後のスケジュール
議事内容
会議に先立ち池田委員(産学連携諮問委員会委員長) より議事進行について説明された。
1.伊佐正脳科連代表挨拶
オブザーバーとして参加の伊佐脳科連代表より、産学連携諮問委員会もWGも立ち上がり活発な活動、議論が始まり、多くの方々と情報を共有し議論を通じて方針を決定していくことの重要性。また、脳科学は今後、ポスト革新脳・国際脳などのいくつかのプログラムが終了する時期でもあり、実験の多様化、データも大きくなってきている中で、どのように情報を共有していくかなど将来構想委員会、産学連携諮問委員会との共同作業も重要になっていくとの説明がされた。
2.前回議事録承認
池田委員より資料に基づき説明がなされ承認された。
3.活動報告(委員会全体、WG1-4)
池田委員より資料に基づき産学連携諮問委員会は連携法人会員の本会員7法人、一般会員の中から3法人、評議員から21名の合計31名の委員会となり、委員長に池田和隆委員、副委員長に萩原一平委員および阿部修委員が就任したことが報告された。
具体的な活動を行う4つのワーキンググループ(WG)設置の説明がされた。
WG1 政府の健康医療戦略に関する検討をするグループ グループ長 尾崎紀夫委員
WG2 日本学術会議での未来の学術振興構想に関する検討をするグループ グループ長 高橋良輔委員
WG3 バイオマーカーの産学連携開発制度を検討するグループ グループ長 阿部修委員
WG4 臨床研究規制や治療法認可制度をより良くできるよう検討するグループ グループ長 池田和隆委員
・WG1について尾崎委員より、次期、健康・医療戦略及医療分野研究開発に向けて、提言について脳科連加盟学会へアンケートを実施し、22学会から回答があり、提言をもとにした意見交換を産学連携でおこなう方向で進めて行くことが説明された。また、産業界の意見等が紹介された。
・WG2について高橋委員より、WGではまだ動いてはいないが、学術会議の未来の学術振興構想について伊佐代表、花川将来構想委員会委員長と意見表明の案を作成し、これをたたき台にしてWG2で産学連携としてどんなことが盛り込めるか議論していきたい旨、説明がされた。また、脳科連自体としてもCOIの規定を作ることを進めていく。COIの規定に法的縛りはないが日本医学会の規定に従って作り、評議委員会で議論していくことが説明された。
・WG3について、プレ会議出席の阿部委員に代わり池田委員より、WG3の会合を開くための日程調整をしているところ、またバイオマーカーは多種多様なためWGでどのように取り扱っていくかなどタスクフォースを作り活動していくことが説明された。
・WG4について池田委員より、1回会議を開きWG4として関心テーマが一致するメンバーでタスクフォースを作り個別のテーマについて進めていくことが説明された。また、政府の情報を集めていくこと(衆議院議員への説明や議員の方からの助言、内閣府参事官や厚労省の方との面談)、グラントの立ち上げへの働きかけ(GAPFREE、革新的医療技術研究開発推進事業)やWGメンバーや産学連携諮問委員の先生方とこれらの情報共有を行い応募へつなげていくことが説明された。
4.プレ会議情報
(阿部委員、川合委員、黒田委員、齊藤委員、平田幸一委員、藤原委員)
池田委員より、プレ会議の出席した委員の発言の報告がされた。
・日本頭痛学会の平田委員より、画期的な頭痛薬が出てきているが国内からは出てきていないこと、国内産業の育成を脳科連の組織を使って盛り返していきたい。
・WG3グループ長で日本磁気共鳴医学会の阿部委員より、バイオマーカーが多種多様であり、いかに効果的に活動して良い産学連携の仕組みを作っていくのかが重要である。
・日本神経化学会の岡野委員より、治療の出口を見据えて提案していくことが重要である。
・日本てんかん学会の川合委員より、外科の領域で新技術が開発されてきているいが、これをどう評価したり導入したり、国内で開発していくかを考えると1学会ではできないので、脳科連で取り組んでいきたい。
・日本脳神経外科学会の斎藤委員より、産学連携は難しいところもあるが、脳科連と共に脳神経外科学会としてもそこの関わりを強めていきたい。
・日本磁気共鳴医学会の黒田委員より、人材育成や国内産業の育成の重要性、また神経変性疾患の病気にも関わる老廃物のクリアランスという視点と研究が重要である、とのコメントを頂いた。
・日本神経免疫学会の藤原委員より、神経免疫学会は厚労省とタグを組んで患者レジストリーの構築を行っていること、産官学連携の中でも官との連携でPMDAと定期的なシンポジウムを開催し、国際連携も活発にしている。
5. 脳科連将来構想委員会活動説明(花川参考人)
花川将来構想委員会委員長より、11月2日文科省ライフサイエンス委員会脳科学作業部会でプレゼンする資料をもとに以下の説明がなされた。
・世界の脳科学研究の動向分析(USA、UE、中国、Other IBIs)の説明がされた。
・革新脳は2014年に開始され2023年で一旦終了。5年後の目標、10年後の目標掲げて活動し、成果が表れてきていることが説明された。
・国際脳(革新脳から5年遅れてのプロジェクト、2023年終了)は、今後の成果発表とデータ利活用の大きな期待が持てることが説明された。
・今後の脳と心の研究に必要な骨太の方針と5年、10年後の目標の説明がされた。
6.AMED脳プロ改組に関する検討
池田委員より、ポスト革新脳・国際脳として脳科学コミュニティの総意形成を進めてきたが、その後、「脳とこころの研究推進プログラム」全体の改組も見込んだ検討がなされていることが説明がされた。(このプログラムには4つのプロジェクトがあるが、2023年度までに革新脳と国際脳が終わり、2024年度までに疾患メカニズムと横断萌芽が終わるため、脳プロ全体の改組になること、また年間の研究費は60億円位に相当すること、そしてこれを今後の脳科学にどのように進展できるのか、貢献できる仕組みに組み替えていけるのかが重要である。)
7.日本学術会議「未来の学術振興構想」に関する検討
池田委員より、日本学術会議の「未来の学術振興構想」とは、今まではマスタープランとして大型研究を学術会議で審査することが行われてきたが、それを組み替えて、学術の中長期研究戦略を「未来の学術振興構想」としてまとめ、国へ届けていく仕組みに改定されたことが説明された。こうした日本学術会議の動きに対して脳科連からも提案を出していく中で、10年、20年、30年後の脳科学のビジョンを決めていく上で産学連携は欠かせないことや、産業界ならではの視点を学会側にも教えて欲しいとの依頼がされた。
また、未来の学術振興構想のスケジュールは今年6月に公募開始、12月16日公募締め切りであること、今までのマスタープランの時とは違い、今回は提案者が研究・教育機関長又は部局長、学協会長、推薦があれば若手研究者なども可能となり増えていること、更に提案されたものは学術会議の中で検討し、グランドビジョンとしてまとめ(全学術領域全体で20~30位にまとめる)、それを国へ届けていく制度へ変えていること、そしてマスタープランの頃から将来構想委員会が中心になって案を立案しているので、未来の学術振興構想についても引き続き将来構想委員会で準備していることが報告された。
8.委員会で情報共有しておくと良いことの情報提供
(菊池委員、池田委員、他)
池田委員より、下記について報告及び案内がされた。
1)録画したプレ会議での先生方からのご意見。
2)10月28日(金)公開ワークショップ「Trusted Brain Tech/BMIの実現に向けて」プログラム
3)11月21日(月)日本学術会議の「先端医療技術の社会実装ガバナンスの課題検討分科会」
シンポジウム
4)11月6日(日)シンポジウム35(NP企画シンポジウム)「産学官連携・国際連携で中枢神経作用薬開発危機を克服できるか?」
5)11月4日(金)~6日(日)BPCNPNPPP4学会合同年会
大塚製薬の菊池委員より、BPCNPNPPP4学会合同年会の開催について説明された。BPCNPNPPP4は日本神経精神薬理学会の産学連携活動の一例であり、主にうつ病の評価バリアンス軽減のための中央評価システムの構築を進めているとの説明がされた。
9.今後のスケジュール
池田委員より、来年1月より高橋良輔先生が脳科連の代表となり新しい期が始まるが、その中で第3回目の産学連携諮問委員会を開き、より具体的にミッションをこなしていきたい。また産学連携を通してより脳科学が発展し社会に実装できるように、産学連携が進むような土台やシステム作りを提案していくことが重要なミッションであることが説明された。
・高橋良輔先生より、今後の日本の脳科学政策への提言で2つの大きな課題、1つは数年くらいのスパンのライフ課の脳作業部会に提出する案、もう1つは中長期スパンの未来の学術振興構想。今まではアカデミアの脳科学コミュニティの意見を集約して提言することが脳科連のミッションだったが、そこに産業界声も聞きお互い情報交換して議論しながら進めて行く新しい形ができたと感じる。また競争前連携の取り組みの必要性、COIの問題をきちんと対応しながら産官学が日本の脳科学を発展させていくことが重要との説明がされた。
以上