【総務大臣賞】コミュニティ放送における緊急情報放送システム等の取り組みについて - 消防防災博物館

第05回防災まちづくり大賞(平成12年度)

【総務大臣賞】コミュニティ放送における緊急情報放送システム等の取り組みについて

【総務大臣賞】コミュニティ放送における緊急情報放送システム等の取り組みについて

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守口市門真市消防組合消防本部・(株)エフエムもりぐち(大阪府守口市・門真市)

事例の概要

 本システムは、全国のコミュニティ放送局(平成12年9月1日現在136局)に先駆け、阪神・淡路大震災後の平成7(1995)年8月に構築されたもので24時間対応するものである。放送局が通常無人となる午後7時~翌朝7時までの時間帯には、守口市門真市消防組合消防本部の通信指令室の一角に設けられた遠隔放送マイクを利用して、消防職員が守口・門真両市内で発生した火災情報、地震情報、気象警報、ライフライン(電気・電話・水道・都市ガス等)の不通(事故)情報等を、直接放送している。つまり、深夜の時間帯には消防職員がアナウンサー役を務めている。
 一方、昼間の時間帯には、消防本部よりリアルタイムで情報をファックス送信し、アナウンサーが通常番組に割り込み、放送している。通常の火災事故は、昼夜を問わず第一報として出火報、火災概況、延焼状況、避難の必要性等から、鎮圧、鎮火報まで放送している。地震情報についても、消防本部に設置した地震計の震度を消防職員が同じく放送し、市民に市内の震度を一早く知らせる体制になっている。
 さらに、平常時の市民への防災情報提供についても放送局のスタジオと消防本部通信指令室の間で、13時20分と17時の一日2回各5分間、前日及び当日の消防事故概要と防災メモについて、全職員が担当して放送している(「もりぐちリアルタイム消防」)。
 加えて、毎月1~2回消防職員が放送局スタジオに出向き、約15分間の生番組「いきいきライフもりぐち」に出演して、防災について訴えている。救急に関する話、火災予防運動での各種行事、放火の実態など常に時節に応じた情報を放送できるように全消防職員が取り組んでいる。

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番組内容(タイムテープ)

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「いきいきライフ もりぐち」出演

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「いきいきライフ もりぐち」出演

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消防本部内放送室

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緊急情報放送システム操作中

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通信指令室

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消防庁舎外観

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緊急情報放送システム概要

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消防庁舎平面図(3階)

苦労・成功のポイント

 消防機関にとって、防災情報を広く市民に提供するという社会的使命については十分認識しているが、実際に本システムを運用するとなると、消防本部職員の声が直接電波に乗るため、失敗が許されなく、日々緊張する毎日である。
 当初から、担当各部門とも難色を示していた。しかし、試行錯誤の結果、現在の形になり、今では何らかの緊急時にラジオのスイッチを入れる市民が増加している。

成果・展望

 緊急情報放送システムがスタートして5年余りが過ぎ、市民に理解され、アナウンサー役の消防職員も市民の顔を浮かべながら放送できるようになった。
 今後、消防機関として、市民が本当に必要としている情報で、かつ、より市民に身近な情報を提供することが肝要であることから、さらに放送内容の充実に努めていきたい。
 また、本システムは、防災情報を市民に伝えるメディアとして、地域に密着した新たな可能性を秘めているものと自負している。

実施期間

平成7年8月~

事業費

910,800円

表彰歴

 平成9年 近畿地方非常通信協議会

団体の概要

 (株)エフエムもりぐち:平成5(1993)年7月守口市が開局したコミュニティ放送局。守口市が30%出資する第3セクター方式で運営。