住宅用火災警報器の設置促進に関する取組 - 消防防災博物館

第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

住宅用火災警報器の設置促進に関する取組

優良事例
(住宅防火部門)

住宅用火災警報器の設置促進に関する取組

葛西地区自治会連合会
(東京都江戸川区)

事例の概要

■経緯

 葛西地区は、江戸川区のほぼ3分の1の人口と面積を抱える地域で、100の町会・自治会で構成されている。その中から「葛西はひとつ」を合言葉に集まったのが「葛西地区自治会連合会」(以下「葛西自治連」という。)で、現在88の町会・自治会が加入している。
 葛西自治連は、平成22年4月1日から設置が義務化される住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の設置の重要性を重く受け止め、加入している全町会・自治会で協議し、葛西自治連として住警器の一括共同購入することを決定した。

■内容

  • 1. 活動期間や活動の頻度  共同購入は6月9日から9月上旬に実施された。
  • 2.  取組みの規模(参加者や組織数など)  葛西自治連加盟の32町会・自治会(世帯数約44,000世帯)  なお、既に設置が完了した共同住宅等56町会・自治会は対象から外した。
  • 3. 地域の防災や社会への貢献度、実施効果
     住警器の設置義務化まで1年を切ったことから、葛西自治連は「義務であるなら設置しなければならない、設置するなら葛西地区すべてに設置しよう。」と共同購入の動きとなった。
     過去にも平成16年に家庭用消火器の一括共同購入を実施し、安全なまちづくりに取組んだ経験があり、平成21年2月には葛西自治連で防災マップ作りに取組み、全町会・自治会の防災担当役員が2日間かけて町を歩いて調査を実施し、平成21年10月に完成して各町会・自治会へ配布した。
  • 4. 団体が中心となって、主体的に取り組んでいる内容  できるだけ多くの世帯への設置に向けて、次のように共同購入に取り組んだ。
    • ① 共同購入の予告の回覧を各町会・自治会で回した。
    • ② 32の町会・自治会で一括共同購入するにあたり、機種選定、価格交渉、申込み方法等の基本的な部分は葛西自治連で決定し、各町会・自治会担当者の負担をできる限り少なくして、各世帯が購入しやすい流れをつくり実施した。
    • ③ 葛西自治連一括共同購入の申込用回覧を各町会・自治会へ配布し、7月1日から葛西地区一斉に共同購入申込みが回覧によって開始した。
    • ④ 各町会・自治会の申込みをとりまとめて業者に発注した。
    • ⑤ 各町会・自治会は納品された住警器を注文世帯への配付と集金を行い、業者指定口座へ振り込みを実施した。
    • ⑥ 各町会・自治会は高齢者世帯の取付け希望者を消防団に連絡することとした。
  • 5. 署や他の行政機関、事業所等との連携の状況
    • ① 消防署は葛西自治連と連携し、各町会・自治会で住警器についての説明会を可能な限り実施した。また、各町会・自治会で申込みの回覧中、消防職員による戸建て住宅訪問による設置促進活動を実施した。
    • ② 江戸川区役所葛西事務所は葛西自治連の窓口となっており、共同購入に関する各町会・自治会からの問い合わせなどをとりまとめ、関連部署へ連絡体制をとった。
    • ③ 葛西消防団は、共同購入した高齢者世帯及び障害者世帯から設置の依頼があった場合の協力をしてくれることとなった。
  • 6. 地域の特性や特色を反映した取組状況
    • ① 葛西自治連・葛西消防署・葛西事務所の管轄区域が同じであったことから、一部の区域を除くなどの配慮が不要で連携しやすかった。
    • ② 葛西地区は、「葛西はひとつ」を合言葉に地域の結束力が強く、地域住民の安全、安心のために地域全体で住警器を設置する取組みに、積極的に賛同した。

■成果

  • 1. 購入個数及び購入世帯
     20,034個 約4,700世帯(32町会・自治会の世帯数は概ね44,000世帯)
  • 2. 共同購入を検討していた町会・自治会がいくつかあったため、独自に進めていた時よりも低価格での購入となり、町会員の設置意欲が高まった。
  • 3. 共同住宅のオーナーもまとめて購入したことから、所有する共同住宅へも設置が進み、二重の効果となった。
    今後、2度目の共同購入など、町会単独で共同購入を実施する上での足掛かりとなった。

署員による住警器説明会の様子

ケーブルテレビ放映

町会会館での配布前の準備

町会会館での配布前の準備

購入町会員への配布

苦労した点

  • 1. 6月9日に一括共同購入を決定してから準備を進め、8月下旬には納品といった、非常に短期間での実施となりすべての町会・自治会が同時に進行したため対応に追われた。
  • 2. すでに独自に積極的に共同購入を実施した町会・自治会もあったことから、統一的に全町会・自治会に対し実施させることに苦労した。

特徴

  • 1. 32の町会・自治会が一斉に共同購入を実施し、2万個の住警器が設置されたこと。
  • 2. 町会自治会の負担をできる限り少なくして、各世帯が購入しやすい流れをつくったこと。
  • 3. 65歳以上の高齢者世帯及び障害者世帯からの設置要請に対し、葛西消防団員が設置に協力してくれることとなったこと。
  • 4. 江戸川ケーブルテレビに葛西自治連共同購入の取組みの情報提供をしたところ、町会での消防署員による説明会の様子を取材し、7月22日から7月28日まで放映され、区民に対する設置促進効果があった。

団体概要

葛西地区自治会連合会 加盟町会等数 88町会・自治会
世帯数106,802世帯 住民約240,000名

実施期間

平成10年8月~