優良事例(一般部門)
地域に根ざした事業所の防火防災力向上の取り組み
横河電機株式会社
(東京都武蔵野市)
事例の内容
■経緯
平成7年1月の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、大震災発生時の行動マニュアルを策定し、震災対策への取り組みをスタートさせた。平成8年9月には、武蔵野市と災害時の被災者支援や応急対策等の協力に関する協定を締結。平成18年4月には消防署と震災時支援活動に関する協定を締結するとともに、自社社員100名による特別自衛消防隊を結成し近隣地域の救出、避難、医療機関への搬送などに対応するための体制を整備した。
また、平成11年には自社グラウンドに井戸を掘り浄水器を設置して飲料水を確保するとともに、組み立て式仮設トイレ20基を設置した。
定期的に地域住民との防災訓練を実施し地域防災力の向上を図るとともに、救命講習を受講し防災行動力の向上に努めている。
■内容
- 1. 活動期間や活動の頻度
平成7年5月から長期にわたり活動している。自衛消防訓練に併せた防災訓練や防災フェアを年2回実施するほか、社屋の解体に併せた救助救出訓練、武蔵野市総合防災訓練では訓練会場を提供するなど積極的に活動している。 - 2. 取組の規模(参加者や組織数)
- ① 平成7年1月、阪神・淡路大震災を期に、震災時における地域の被害軽減を図るため、社員のうち市内居住者約100名による特別自衛消防隊を結成、毎年定期的に実災害対応訓練を実施している。
- ② 毎年、2~3回救命講習を実施、過去4年間で270人が受講し、応急救護技術の習得を図っている。
- 3. 地域の防災や社会への貢献度、実施効果
- ① 平成16年、17年には地域住民が参加した防災フェアを開催し、風船の標的を活用した初期消火レース、救出救助訓練等を実施し、地域の防災力向上に貢献している。
- ② 平成18年及び平成21年には武蔵野市総合防災訓練のメイン会場として、特別自衛消防隊も参加し、大規模災害発生時における地域住民、事業所及び行政機関との連携による防災訓練を実施し成果を上げた。
- ③ 平成20年にはAEDを5基常置し、その中の3基は守衛所等に置き、地域住民がいつでも使用可能である。
- 4. 団体が中心となって、主体的に取り組んでいる内容
- ① 帰宅支援対象道路に面していることから、震災時のエイドステーションとしてグラウンド内に近隣住民及び帰宅困難者用の仮設トイレ20基を設置するとともに、飲料水や非常用品などの備蓄を行っており、地域のための防災施設を主体的に整備している。
- ② 特別自衛消防隊は、定期的に発災型対応訓練を実施するとともに、市総合防災訓練時には積極的に参加し、主体的な訓練を実施している。
- 5. 署や他の行政機関、事業所等との連携の状況
社屋の解体に併せた救出救助訓練を消防署と合同で実施するとともに、市総合防災訓練での施設の提供等、協力連携体制は極めて積極的であり、市、消防署等関係機関との連携は良好である。 - 6. その他
阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、従来行っていた避難を中心とした訓練から、体験型訓練を盛り込んだ発災型対応訓練を実施することにより、特別自衛消防隊の技能の向上及び社員の防火・防災思想の啓発を図ることができ、地域防災力の向上に寄与している。
■成果
「特別自衛消防隊」の発足、仮設トイレの設置等、震災時における地域の防災拠点としての機能を確保するとともに、平成18・21年には市総合防災訓練のメイン会場として、地域住民の防災行動力の向上に寄与している。
特別自衛消防隊による救出救護訓練の状況
仮設冷水井戸
防災訓練
防災訓練
家具転倒防止器具展示
苦労した点
平成7年5月に大地震発生時の行動マニュアルを自衛消防隊本部及び安全委員会で検討を重ね取りまとめ、震災対策への取り組みをスタートさせたが、これまで通常火災を想定した対策から、地域をも考慮した震災対策に取り組むこととなり、市や消防署のアドバイスにより今日の体制が整備された。
特徴
- 1. 近隣の災害活動を支援するため、事業所従業員による「特別自衛消防隊」を結成した。
- 2. 自社グランドに仮設トイレ20基を設置するとともに飲料水や非常用品などを備蓄し、震災時のエイドステーションとして位置づけるなど地域の防災拠点としての機能を確保している。
団体概要
横河電機(株)は、大正4年に設立され、計測・制御・情報を技術ドメインとして成長を続けている。武蔵野市中町には本社・工場があり、「地域や社会との協調と融和に努め、その諸活動に積極的に参加する。」を理念に、各行政機関と連携し、地域住民とともに地域防災力の向上に貢献している。
(社員5,500名 特別自衛消防隊 100名)
実施期間
平成7年5月~