災害時における救護リーダーとして - 消防防災博物館

第14回防災まちづくり大賞(平成21年度)

災害時における救護リーダーとして

優良事例(一般部門)
災害時における救護リーダーとして

救急ボランティア「E.S.P Odaka」
(福島県南相馬市)

事例の内容

 救急ボランティア「E.S.P Odaka」は、平成20年3月9日に設立、現在会員数43名で全員が応急手当普及員の有資格者で構成されている。同ボランティアは平素、消防署からの要請で応急手当の指導、普通救命講習会の指導協力等を行っている。また、自らが各種団体企業等の講習会を企画し、受講率向上に向け活動を行っている。設立後1年が経過し活動も軌道に乗りさらなる飛躍が期待される。将来の展望としては、ボランティアと防災を結んだ活動を推進し、自主防災組織内では救護班のリーダーとして、また、地震・水害等大規模災害発生時は、応急救護所の一員として活躍できるものと新たな可能性も見えてきた。

■内容

  • 1. 応急手当の普及啓発活動
     会員は職場や隣近所、仲間等、身近なところから声をかけ、応急手当の普及啓発を行っている。
  • 2. 応急手当、普通救命講習会の指導協力
     設立以来、平成21年9月30日現在で68回延べ384人が指導を行っており順調に実績を上げている。講習会は和やかな雰囲気でコミュニケーションをとりながら実施でき受講者からも好評である。
  • 3. 市が主催する各種行事(懸けの森山開き、ロードレース大会等)の救護活動
     「懸けの森山開き」(参加者約553名)「ロードレース大会」(参加者395名)では、各行事ともにコース途中にAEDと人員を配置し参加者の安全を確保しており、市及び地域住民に対する貢献度も高い。
  • 4. 定期的な研修会の開催
     会員の知識と指導技術の維持向上を図るため、年3回研修会を実施している。
  • 5. 市防災訓練及び各地区自主防災組織訓練の参加
     会員の中には女性消防隊や消防団員経験者が在籍していることから、防災に対する意識が高く積極的に訓練に参加している。その他の会員についても訓練参加を通し防災に対する意識付けができている。

会員研修会(指導要領について)

ロードレース大会(開会式)

ロードレース大会
(コース途中に人員を配置)

小学生に対する応急手当の指導

企業に対する普通救命講習会の指導

苦労した点

  • 1. 活動資金をどうするか、ユニホームをどうするかが課題であったが、県の助成制度を活用し、アポロキャップ、ポロシャツ、ジャンパーを購入、全会員へ配布することができた。
  • 2. 訓練用資器材(人形、AED等)の購入に向け資金の捻出を検討したが、区内の一部企業からのご好意により人形9体、AED9台の寄贈を受けた。
  • 3. 現在運営資金については、会員からの年会費でまかなっており充分でないことから、今後消耗品等の購入について資金面でどうするかが検討課題である。

特徴

  • 1. 当該ボランティアの活動は、地元においても話題性が高く地域住民へ対する応急手当の必要性、重要性についてPRにつながっている。今後、各種活動を通し知名度を高め各方面から活動が認められることによって、応急手当がさらに身近なものと考えられ浸透し救命率の向上につながるものと思われる。
  • 2. 応急手当、普通救命講習会等訓練指導時は、ボランティアの協力により、受講者のグループ編成が少人数であることから、指導が行き届ききめ細かい対応で効果を上げている。
  • 3. 市防災訓練に参加し防災に対する意識が高いことから、将来的には、地震・水害等大規模災害発生時、応急救護所の一員として医療関係者とともに活動できるよう育成したい。
  • 4. 区内各地区の自主防災組織では、これまでの知識や経験を生かし救護班のリーダーとして活躍が期待されるとともに、自主防災組織の活性化につながるものと確信する。

団体概要

構成人員:応急手当普及員43名

 当地域内における応急手当の積極的な普及啓発活動の推進と応急手当普及員及び指導員の資格を有する方々が事業所、自主防災組織等に対する普通救命講習会等の指導協力をする際の円滑な連絡体制の確立及び指導技術の練成に努めることを目的に設立されたボランティア団体である。

実施期間

 平成20年3月~