写真説明:2006年7月の長野県での豪雨で土石流がビニールハウスや小屋をのみ込んだ現場。長野県岡谷市で。読売新聞社ヘリから(2006年7月19日撮影)
「達人の備え」今回のテーマは「住民参加型防災マップ」です
このコーナーでは、京都大防災研究所の研究者が減災のヒントを伝えます。今回は松沢真・准教授(防災地質学)です。
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水害を機に立ち上がった長野県辰野町
土砂災害などの危険箇所を示したハザードマップを見たことはありますか。お住まいの市町村のホームページなどで公開されていますが、実際に避難する時に重要となる地域の災害履歴や避難経路まで載っているケースは少なく、災害時に有効に活用できるかといえば、少し疑問に感じます。
本当に役に立つ防災マップを地区ごとに作ろうと、山地に囲まれた長野県辰野町(たつのまち)では、「土砂災害を正しく恐れ、避難する」ことを目的に住民参加型の取り組みを始めました。きっかけは2006年7月に起きた豪雨災害でした。各地で土石流や土砂崩れが発生し、同町でも4人が亡くなりました。
写真説明:2006年7月の豪雨による土砂崩れで通行止めになった中央道。長野県辰野町で。読売新聞社ヘリから(2006年7月19日撮影)
住民と裏山に登って測定
斜面の崩壊は、表面にある土の層が厚いと起こりやすくなります。マップ作りでは住民の方と一緒に裏山に登り、層の厚さを測定して回りました。状況を肌で感じてもらうことは、参加した住民に災害の危険性を「自分事」と考えてもらうきっかけとして重要です。どこを通って避難すればいいのかを考える際にも積極的な意見が出て、良い内容に仕上がりました。
住民の意識が高まる
町内18地区のうち、防災マップは9地区で作成済みで、住民の防災意識が高まったと感じています。皆さんも、それぞれの地区の防災マップ作りにぜひ取り組んでみてください。
写真説明:松沢真・准教授(防災地質学)
(読売新聞 2024年6月24日掲載)
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