写真説明:報告会に参加する気仙沼高校の生徒(マイナビ提供)
宮城、兵庫、熊本各県の高校生が、防災に関する地域課題とその解決策をそれぞれ取りまとめた成果発表会が、2023年12月11日にオンラインで開かれました。総合情報サービス企業のマイナビは同年、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)などと連携し、防災をテーマとした学習教材を作成。それを使って授業を行った学校の生徒が、今夏以降考えてきた成果を報告しました。
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マイナビの防災学習教材使った被災県の3校
マイナビは、高校生が地元企業の活動などを基に地域の課題に向き合うことで、新たな価値を生み出す探求学習プログラム「locus(ローカス)」を展開しています。一方で、様々な困難を「しなやかに」乗り越える力を浸透させる「レジリエントライフプロジェクト」に参画しており、キャリア教育を通じた復興人材の育成も後押ししています。
発表会で報告したのは、それぞれ、震災で大きな被害を受けた県にある、気仙沼高校(宮城県)、甲南高校(兵庫県)、御船高校(熊本県)の生徒たちです。ゲストとして、宮城県教育庁の門脇泰史氏、防災科研などが出資し、レジリエントライフプロジェクトを主導する「I-レジリエンス」社顧問の林春男氏らが参加しました。
コンパクトな備蓄食提案…気仙沼高
気仙沼高校は学校の備蓄が1日分しかないという課題に対し、限られたスペースにも収納できるように、スティック状にしたコンパクトな備蓄食を提案しました。カレーライスのほか、気仙沼ホルモンなど、住民が慣れ親しんだ郷土料理を備蓄食にすることで、避難者がホッとできるようにしました。
ICT活用、避難者の人数と属性を把握…甲南高
甲南高校は、避難者に適した物資を迅速に配布できる仕組みを発表しました。ICT(情報通信技術)を駆使して、避難所にいる人の数だけでなく、妊婦や子ども、持病のある人など、属性も把握するアイデアです。
「自分事」の避難対策…御船高
御船高校のテーマは災害に強いまちづくり。「自分事」として考えられ、「楽しい」と思える避難対策を提唱しました。時間などを決めず、不意に始まる避難訓練や、地震の揺れを体験できるイベントなどを例として示しました。
I-レジリエンスの林氏は「人生には災害だけでなく様々な危機が迫る。(今回の経験を通じて)それらを乗り越える解決策を探してほしい」と総括しました。報告はいずれも、いかにストレスをためずに乗り越えるかと考えている点で共通していました。これらを内包する「レジリエントライフ」は、自然災害だけなく、個人や社会を巡る様々な困難を乗り越えるための新たな生活様式として注目されています。
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