代表的な業種とその特徴について解説してきましたが、その他にも多様な業種が存在しています。従来からある産業、業種についても、ICTの活用によってビジネスが変わりつつあります。

ICTを活用する第一次産業

農林水産業を「第一次産業」と呼びます。総務省の「日本標準産業分類」では、大分類の一番目に分類されているのが「農業・林業」で、次が「漁業」です。これらの特徴は自然界に働きかけて、直接、収穫を得ることです。
第一次産業は人々が生活していく上で、脈々と続いてきた産業ですが、人手不足や後継者不足が課題となっていました。現在、ICTを活用した新たな手法や取り組みが行われています。

1.農業
米や野菜、果物のほか、畜産や園芸も含まれます。食の安全の観点から、生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡できるよう「トレーサビリティ」が求められるようになりました。このような情報を管理するために、情報システムが活用されています。
また、市場が求める時期に、無駄なく、確実に作物を出荷するために、センサーから収集した情報を元に、水や肥料をシステム調整する、管理栽培も取り組まれています。

2.漁業
漁業には魚を捕獲する漁業と、養殖を行う養殖業とがあります。養殖業では細かく餌や環境を情報システムを使って最適化し、これまで難しいとされていた魚でも安定して養殖できるようになったものもがあります。また、現在、リアルタイムで水産資源のビッグデータを収集し、魚の捕獲や養殖に活用する「マリンIT」と呼ばれる研究が進められています。

第一産業とICT

2つのトマトと魚

変化が進む既存の業種

その他の業種でも、ICTの進展により、サービスやビジネスモデルが大きく変わりつつあるものがあります。たとえば金融業は、サービスの形態、ビジネスモデルの変化が進んでいる業種です。
ネット社会が進むと、実際の貨幣を使う機会が減ってきます。個人も企業もネットバンキングを利用するようになり、銀行の窓口で手続きすることが少なくなってきました。企業間の商取引だけでなく、納税にもネットバンキングを利用できます。そしてスマートフォンやタブレットを使った電子決済のような、金融とテクノロジーを合わせた技術「Fintech(フィンテック)」が進化し、世界中で広がっています。

金融業の変革

銀行のイラストとスマホとタブレット

ネット社会では、ひとつの業種に限らず、多様な業種と連携しながら、データを活用し、新たなビジネスやサービスが創出されていくことでしょう。