<2022年Artist 100年間首位記念インタビュー>Adoが語る怒涛の1年間――夢のSSAワンマンと『ONE PIECE FILM RED』コラボを振り返って | Special | Billboard JAPAN

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<2022年Artist 100年間首位記念インタビュー>Adoが語る怒涛の1年間――夢のSSAワンマンと『ONE PIECE FILM RED』コラボを振り返って

インタビュー

 2022年のBillboard JAPAN各種年間チャートの結果が発表された。総合ソング・チャート“HOT 100”と総合アルバム・チャート“HOT ALBUMS”を合算したアーティスト・チャート“Artist 100”で首位となったのは、2002年生まれの若き歌い手、Ado。メジャー・デビュー曲「うっせぇわ」の衝撃から2年、Ado自身が「新しい挑戦をしてきた」と語る2022年について、夢の舞台・さいたまスーパーアリーナでのワンマンや、映画『ONE PIECE FILM RED』とのコラボレーションなどを中心に振り返ってもらった。

自分の楽曲がランキングに載ったのは「うっせぇわ」が初めて、
特にトップに立ったときは感動した

――ソング・チャートとアルバム・チャートを合算したアーティスト・チャート“Artist 100”にて、2022年の年間首位を獲得されました。まずは率直な感想をお聞かせください。

Ado:こうしてたくさんの方々に楽曲を聴いてもらえてとてもうれしく思います。特に最近は『ONE PIECE FILM RED』の曲を歌わせていただいたので、私もけっこうランキングを確認していたのですが、ふと見てみたら上からAdo、Ado、Adoみたいになっていて「えええ」とすごく驚きました。



▲「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」MV


――2022年はどんな1年でしたか?

Ado:8月にさいたまスーパーアリーナでワンマンライブをさせていただいたのですが、それは私の人生の中で一番大きな夢だったので本当に嬉しかったです。4月にZepp DiverCityで初めてワンマンを開催して、その次がさいたまスーパーアリーナだったので、自分でも信じられないぐらいのスピードで目指していたところにたどり着けたのは驚きでもありました。


――数ある会場の中でさいたまスーパーアリーナでのライブを目標にしていたのは何故?

Ado:もともとニコニコ動画の一番大きなイベント【超パーティー】にいつか出たいと思っていて。その会場がさいたまスーパーアリーナだったので、それでいつしか「自分のお客さんだけで埋められたらもっと凄いな」と思うようになって、ワンマンをすることが目標になりました。10月には【超パーティー2022】にも出演させていただいたので、怒涛の勢いで夢が叶っていて……とてもありがたいです。


――改めて、8月のワンマンはどんなライブになりましたか?

Ado:お客さんとして行ったことがある会場に、いざ自分が歌い手として立ってみると、やっぱり全然違いましたね。ステージから見る景色はすごく広かったし、正直ちょっとひよってしまいそうでした。でも、お客さんが入るとまた違くて。光がいっぱい輝いていて、銀河の海みたいな美しい景色でした。


――迫力の歌声はもちろん、曲ごとに全身を使ったパフォーマンスも印象的でした。

Ado:自分では“踊っている”という感覚はあまりなくて。私は運動神経が全然なくて…。なので、ああいうパフォーマンスは振り付けというより「こう表現しよう」「こうやって動いてみよう」と考えて出てきたものです。でも、同じように言ってくださることも多いので、ありがたいと思いますね。


――ちなみに、特に印象に残っている楽曲のパフォーマンスを挙げるとすれば?

Ado:気に入っているのは「ラッキー・ブルート」です。冒頭は寝っ転がりながら歌うのですが、<かったりいな たらたら ブルー ブルー>という歌詞があるので「じゃあ、“かったりい”感じで寝転ぼう」と思って。「その態勢のまま歌えるのかしら?」って少し心配だったのですけど、練習してみたら案外いけることに気づいて。特に身体を使った曲だったので、見てくださった方にも印象に残ったんじゃないかなと思います。


――そういう曲中の動き方や細かい見せ方についてはAdoさん自身から発案することが多いですか?

Ado:ほとんどの基盤は私が考えています。スタッフさんは自由にやらせてくれますね。パフォーマンスの講師の方もいらっしゃるので、その方にも相談しながら作り上げていきました。でも、0から1(に持っていくためのアイデア)はほとんど自分で考えています。


――では、改めて楽曲の一つひとつとじっくり向き合う時間にもなったのではないですか? ライブを経て気づいたこと、新しい発見などはありましたか?

Ado:ちょっとずれた回答になっちゃうかもしれないのですが、新曲をレコーディングするとき、同時にライブのことも考えるようになりました。「歌いながらどういう動きをしようかな」みたいな。そういう意識がライブを経て生まれたと思います。


――課題も見つかりましたか?

Ado:自分の熱量をもっと会場全体に伝えられるようになりたいです。例えば一番後ろの席の人って、やっぱりステージが見えづらいと思うのですが、「それでも楽しい、むしろここでよかったじゃん!」って思ってもらえるようなライブをしたいです。次のツアー【蜃気楼】は、8月のワンマンより素晴らしいライブをするつもりですし、その先、その先を目指して、常に最新のライブを最高のライブにしたいと思っています。


――素晴らしいです。目まぐるしいスピードで活動の規模を拡大してきたAdoさんですが、楽曲の広がりを最初に実感したのはどんなときですか?

Ado:やっぱり「うっせぇわ」がビルボード・ジャパンのチャートにランクインしたときは「うおおお、すごい」ってなりました。もちろんランキングが全てというわけではないですけれど、自分の楽曲がランキングに載ったのは「うっせぇわ」が初めてだったし、特にトップに立ったときは感動しました。


――ほかに日常でヒットを実感する瞬間もあったり?

Ado:急にバラエティ番組で<うっせぇうっせぇ>と流れてきたり、YouTubeで曲とまったく関係ない動画から「新時代」が聴こえてきたり、自分と離れたジャンルのところで曲や自分のことに触れていただいているのを見ると「けっこう広いところにまで伝わっているのだな」と実感します。



▲「うっせぇわ」MV


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もっと“ライブでのAdo”をいろんな人に知っていただけたら

――『ONE PIECE FILM RED』の主題歌「新時代」は、ビルボードジャパンの総合ソング・チャート“HOT 100”にて計6回の総合首位を獲得。間違いなくAdoさんのキャリア・ハイを更新した大ヒットでした。映画では他にも様々なタイプの楽曲を歌われていましたよね。これらの経験から得た刺激や学びがあれば教えてください。

Ado:全部で7曲歌わせていただいて、一つひとつがまったく違う系統の曲で、中には今まで歌ったことのないようなバラードだったり、とんでもないラップだったりもあって。実際に歌う前はそれらをちゃんと歌えて、なおかつ皆さんにも喜んでいただけるか不安だったのですが、たくさんの方に聴いていただけて自信につながりました。


――ちなみに、Adoさんの中に“心のヒット・チャート”があるとして、今年の1位になる曲を挙げるとすれば?

Ado:うわあ、多すぎて選べないです(笑)。でも、一時期すごく聴いていたのは、sasakure. UKさんが今年の【マジカルミライ】のために書いた「フューチャー・イヴ」ですね。


――今年10周年を迎えた【マジカルミライ】のアニバーサリー・ソングですよね。

Ado:そうです。それを踏まえて聴くと感慨深すぎて。もちろん楽曲自体も素晴らしいですけれど、今年の【マジカルミライ】には私も見に行って、音源を聴くだけでもヤバいのに生でも聴くことができて嬉しかったです。



▲「フューチャー・イヴ」MV


――ビルボードジャパンでは12月から新チャート“VOCALOID Songs Top 20”がスタートします。ドワンゴ社データ提供のもと、ニコニコ動画におけるボカロ曲の人気を測るチャートです。

Ado:あらまあ、すごいですね。素晴らしいと思います。


――Adoさんは普段、どんな手段で新しいボカロ曲と出会うことが多いですか?

Ado:やっぱりニコニコ動画が多いです。【The VOCALOID Collection(ボカコレ)】というイベントが始まってからは特にお世話になっています。ニコニコ動画って動画にいろんなタグをつけられるのですが、そのタグのリンク先に飛ぶと、同じようなジャンルの曲がたくさん出てきて、いいなと思った曲のボカロPさんの過去作品も聴いてます。以前出会ったのはヒップホップ系のボカロ曲だったんですけど、“ミックホップ”というタグがついていて「うあぁ、こういうのもあるんだ」と思いました。


――初音ミクとヒップホップを掛けているんですね。

Ado:そうです。ほかにもオルタナティブ・ロックと掛けた“オルタナティブ・ミック”とかもあって。個人的には“お洒落なミクうた”というタグも好きです。あと、ニコニコ動画内のランキングも見やすくて、しかも、【ボカコレ】にはルーキー・ランキングもあるので、新しい方を見つけるのに便利ですね。


――そもそもAdoさんがボカロを聴くようになったきっかけは?

Ado:最初はいとこが教えてくれました。小学1年生ぐらいの頃、家に遊びにいったときにいとこが「最近、面白いもの聴いてるんだよ」ってパソコンで見せてくれて。そのときに出会ったのがmothy(悪ノP)さんの「悪ノ娘」と「悪ノ召使」だったんです。しかも、ボカロ特有の二次創作動画で。


――小説やミュージカルなど、様々なメディア・ミックスが展開された曲ですね。

Ado:いろんなイラストが描かれた動画とかも見せてもらって。そうやって未知の世界に出会ってからは、父親にパソコンの使い方を教えてもらいながら、自分で検索してのめり込んでいきましたね。


――最近注目しているボカロPさんはいますか?

Ado:私、定期的にいよわさんブームが来るんですよ。今がちょうどそうで、取り憑かれたように聴いています。


――Adoさん的にどんな部分がハマる要素なんでしょう?

Ado:いい意味で不協和音な曲が多いんですよね。聴いていてちょっと不安になるようなメロディとか。一方で、どの曲もちょっと切なかったり、人間味があったりするストーリーになっていて。決して綺麗すぎないけど、何度も聴きたくなるような……熱を出したときの夢の中みたいな感じになります。


――Adoさんは先日、アメリカの<ゲフィン・レコード>とパートナーシップを締結することを発表されました。国外での活動は、もともと思い描いていた目標のひとつだったりするのでしょうか?

Ado:いや、活動を始めた当初は規模が大きすぎて「自分には無理だろう」と引け目を感じていたところはありました。でも、「できたらカッコいいよな」とは思っていました。海外の方からコメントをいただくこともあったし、言葉の壁があるのに私の歌を聴いてくれるなんて、すごく嬉しいことだと思っていて。そんななかで今回のお話をいただいて、今度は私から皆さんのほうに歩み寄っていきたいと思いました。それに、自分の活動を通して日本の音楽を盛り上げる手助けができたらいいなとも思って。


――日本語を理解できないリスナーに対しては、楽曲のどんな部分でアピールしていきたいですか?

Ado:言葉が分からなくても、同じ人間である以上、同じような気持ちや感情を持つことはあると思うので、そこが伝われば嬉しいです。私の全力の歌で感動させることができたらいいなって。


――国外での活動において、何か目標として考えていることはありますか?

Ado:やっぱりライブですね。海外のフェスやイベントにも出たいです。今年の12月には初の全国ツアーが始まりますが、もっともっとライブにも力を入れていきたいと思います。


――では最後に、2023年以降に向けた意気込みをお聞かせください。

Ado:私のライブを見たことがある人はまだ数少ないと思うので、もっと“ライブでのAdo”をいろんな人に知っていただけたら嬉しいです。2022年は新しい挑戦をしてきた1年でした。


Ado「ウタの歌 ONE PIECE FILM RED」

ウタの歌 ONE PIECE FILM RED

2022/08/10 RELEASE
TYCT-69246 ¥ 1,980(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.新時代
  2. 02.私は最強
  3. 03.逆光
  4. 04.ウタカタララバイ
  5. 05.Tot Musica
  6. 06.世界のつづき
  7. 07.風のゆくえ
  8. 08.ビンクスの酒 -Special Track-

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