掲載日:2024年06月26日 プロが造るカスタム
取材協力/GOTTY
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ホイールベースをノーマルよりも長くするカスタムを、ロングホイールベース、通称「ロンホイ」と呼ぶのがスクーターの世界では当たり前となっている。そもそもこのスタイルが流行した理由は、足回りのサイズ感に対してボディの方が前後に長いスクーターならではの見た目を、美しくバランスを取ることに着目したのがきっかけだと言われる。前後タイヤの位置をボディよりも長くすることで、サスペンションの変更だけでは成立しない低さと、スタイリッシュな外観を獲得。当初はその長さが10cmや15cmと僅かだったものが、いつしか長さ競争も加わり、現在のようなスタイルに落ち着いたのだ。
今回紹介するヤマハ・グランドマジェスティは、50cmのロングホイールベース化が施されているものの、リアタイヤの出し幅は、カスタム創世記のベストバランスの追求時代を彷彿とさせるもの。ボディサイズに対して、綺麗にサイズを合わせたロンホイスタイルの好例と言える内容だ。しかも、前後タイヤサイズは純正が基準。さらに、当時のグランドマジェスティユーザーに人気だった、フロントホイールをグランドマジェスティ400純正流用も取り入れており、とても懐かしさを感じるものだ。
それまで発売されていたマジェスティに代わり、名称に「グランド」が追加されたが、実質的な3代目マジェスティとして2004年に登場。しかも、欧州にて400ccで先行発売されたものを日本向けに250ccへとスケールダウンしていたが、走りの質を求められる欧州向けだったため、新規アルミフレームの採用、フロントは14インチでダブルディスクという大幅に進化した車体構成が、日本の一部のユーザーにも熱く支持されたのだ。一方で、加工しにくいアルミフレームが災いし、初代と2代目のように、大胆なスタイルが生まれにくかったのも事実だった。それでもGOTTYでは、持ち前の技術力を駆使して50cmのロンホイ化を実現。そのサイズ感に合わせて同店の4D9マジェスティエアロを加工流用することで、ホイールベースとの帳尻を合わせた。その結果、50cmも延長されていても、グランドマジェスティらしいスタイルは崩していないのがポイントなのだ。
フロントフェイスはモトサービスマック製を使用。デザインの良さと共に、フィッティングも定評があった。サイドはGOTTYのオリジナル、シグマスパイダーをグランドマジェスティのために加工流用している。
ハンドルは、懐かしいDブロス製。ゴツイセンターパートが特徴。ボディカラーに合わせてスイッチ周りやグリップ、メーターリングなどのカラーを変更していることにも注目。
グランドマジェスティ400の純正ホイールを装着することで14インチ&ダブルディスク化を実現。これこそが純正流用テクニックとして、当時のGマジェ乗りに支持された手法だった。
ホイールベースを50cmも延長しているが、リアカウルに4D9マジェ用シグマスパイダーを流用して長さを整えたことで、違和感の無いスタイルを獲得。サイレンサーの位置、スイングアームやホイールのグラフィックなど、トータルバランスを考慮してまとめてある。
ハードカスタムではFRPシートが主流だが、純正をベースにしたローダウン仕様に留め、乗り心地を最優先した。オレンジ色のパイピング、2種類のシート表皮の活用など、ここでも全体のバランス感に細心の注意を払っていることが理解できる。
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