そう、「焚き火」を筆頭に、自然の中には季語があふれているのです!フィールドで季語を探しながら、ビーパル編集部員たちがここで一句!本気で対決したその結果はいかに…!?
皆さんも焚き火の前で嗜んでみては?
四季折々の情感を、五七五の定型で表わす俳句。小説は書けなくても、世界で最も短い詩なら詠めるかも? と、創作意欲を刺激された編集部員たちが句会を敢行した。
吟行の地に選んだのは、BE-PAL編集長の別宅、サワッキーハウス。
「歳時記を見ると、意外なものが意外な季節のことばになっています。油断ならないのです」
そんな宮川師範のことばを裏付けるように、庭を少し歩くだけで季語が見つかる。栗にすすき、秋桜、見上げれば雲ひとつない秋晴れに蜻蛉。
サワッキー:「知らないだけで、季語って案外身近なんだなぁ」
マチダ:「そっか、銀杏も秋の季語なのか!」
ブッシュ:「うへへへ、新酒と秋刀魚も加えて、季語だけで一杯呑めますね♪」
……どうやら、食欲の秋になるか、読書の秋になるかは人それぞれのよう。今年の秋は、自然派のことば遊び・句作を焚き火の前で嗜むのはいかが?
師範 宮川 勉さん
遠き日や
ぱちり焚火の
爆ぜる音
かつてBE-PAL誌上にて「だいこん屋主人のアウトドア句会」を担当。掲句の季語は「焚火」。季語に一見関係のない事物「遠き日」をぶつけると意外な新鮮味が表われますよ。
編集長・沢木
良句
「草刈り」は夏の季語だけど、この句は「秋桜」が季語。標語に近いかな。「税金は納期までに払いましょう」って標語をよく見るけど「秋桜が咲いたら草刈りをやめる」という強い決意を感じますね。
今夏の猛暑は本当に大変でした。二拠点生活は雑草との戦い。大量の汗をかきながら2週に1回のバトル。庭に秋桜が咲き、ようやく停戦となりました。
編集・マチダ
良句
お酒がおいしいんですね、いいではないですか。「ビール」は夏、「熱燗」は冬、「ホットワイン」もすでに冬の季語でしょう。これはもちろん冬の句。季語の三役そろい踏み、おそれいりました!
大好きなお酒だけで俳句ができないか……? と考えた一句。アウトドアで呑みたいお酒の冬バージョンを想像し、ニコニコしながら詠みました。
編集・ハラボー
名句
季語は「毬栗」で冬。「や」は前後の連なりを切る切字で、ふつう末尾には使いません。でも素直でいいですよ。たとえば上五を「木漏れ日や」、下五を「栗の毬」にするのはどう?
軍手を借りての栗拾いは、サワッキーハウスの風物詩。イテテ、と騒ぎながら、五感を使って詠んでみました。国文学専攻の意地、ここにあり!
編集・サウザン小川
名句
夏の季語「キャンプ」に「冬」をつければ、冬の季語になる。だけど「焚き火」もあるので、季重なりです。たとえば爆ぜる薪の音のほうに着目すると、深い闇や沈黙が強調されますよ。
すっかり寒くなったキャンプには、焚き火が不可欠。暖を取るも良し、料理を作るも良し、薪をくべて自由に過ごす。あ〜早く焚き火がしたい。
編集・ブッシュ早坂
駄句
季語「きのこ」もこれだけ脇に追いやられると同情したくなりますね。季節はいいから肉をくれって、あんた、それは……。定型を守ろうと「肉」に「お」をつけたのは可愛いけど。
そっかー、牡丹鍋(猪)とか紅葉鍋(鹿)とかが、冬の肉季語だったのか~。焚き火でジビエ鍋もいいよね。あ、想像しただけでもうヨダレが……。
※構成/梶原舞佑子 撮影/早坂英之(ともに編集部)
(BE-PAL 2024年12月号より)
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