円安で留学費用が高額に。卒業時の就職先選びで「年収」を最優先にしても良い? | 外資系・MBAの転職・求人ならアクシアム

転職コラム”展”職相談室

キャリアや転職に関わる様々な疑問・お悩みなどに、アクシアムのキャリアコンサルタントがお答えします。

“展”職相談室 第241回
2024.11.07

円安で留学費用が高額に。卒業時の就職先選びで「年収」を最優先にしても良い?

現在29歳で、アメリカの2年制大学院に私費でMBA留学中です。前職はITコンサルティング企業でコンサルタントをしており、キャリアチェンジを狙ってMBA留学をしました。来年5月に卒業予定で、現在卒業後の就職先を探すため活動中です。ニューヨーク在住のため家賃をはじめ物価が非常に高く、学費も含めて2年間で3000万円台後半の費用がかかる見込みです。留学費用の半分ほどは親族から借りており、留学前の年収は約900万円でした。

今後の留学資金の返済、生活資金等を考えると、年収は1200万円を希望しています。ただ、もともとMBA卒業後にチャレンジしたいと思っていた事業会社の経営企画関連職で求人を色々と探してみましたが、私の経験で応募できそうなもので年収1200万円以上という案件はありませんでした。そこで、就職先候補に入れていなかった戦略コンサルティングファームを、年収を最優先にして視野に入れ始めています。このようなキャリアの探し方について、どのように思われますか?

Answer

一時期ほどではありませんが、それでも円安基調が続いている現在、アメリカで生活をするのは非常にお金がかかりますよね。そのような中でもリスクを背負ってアメリカの2年制大学院に留学されたことは尊敬に値しますし、2年間の留学生活は、大変なぶん生涯の財産となるのではないかと思います。

ご質問の件に回答いたしますと、キャリア選びの際に「年収」を最重要視することには、決して反対ではありません。状況によってそうせざるを得ない場合があることも重々理解しています。MBA留学の目的は人によって様々ですが、あなたの場合はキャリアチェンジを目的とされているので、できればそれを応援したいところです。ただやはり3000万円以上の出費というのは大きな額であり、早めに処理をしたいお気持ちでしょう。

前職ではITコンサルタントをされていたので、コンサルタント適性はお持ちでしょうし、プロフェッショナルファームに転職をすれば一定の成果を出せる可能性が高いと想像がつきます。ですから、まずは3年程度、戦略コンサルタントとしてファームに身を置くという考え方も、良い選択ではないかと私は思います。

その結果、思いのほか仕事が合っていて楽しいとなれば、そこでのキャリアが長く続けられて報酬も良い角度で上がっていくでしょうし、仮にもし1~2年の在籍であっても戦略コンサルタントを経験することで、一般的にはご自身の市場価値も上がるものですから、その意味でも戦略コンサルタントという選択肢はかなりお勧めできます。

また、年収だけを考慮するならば、他のITコンサルティングファームに即戦力としてタイトルを上げて転職することで、希望に添った報酬を得られると思います。ですが、もともとキャリアチェンジを実現するためにMBA留学をされているわけですから、まったく同じ業界に戻られるのはさすがにもったいない気がします。

それに、年収を重視するあまり、希望していたものと大きく距離がある業界・職種に進むことは、そこで結局成果を出せなかったり、すぐに退職することになったりするリスクを高確率で伴いますので、年収のみを追いかけることには強く反対します。たとえ年収を最優先に置いたとしても、ご自身がいま身に着けたいスキルが得られるか、5年後・10年後になりたいキャリア像に近づけるかなど、それ以外の要素もぜひ加味して考慮いただくことをお勧めします。

なお、今回のお悩みに近い事例として「“海外勤務”を最優先に転職先を探したいのだか…」というご相談もよくお受けします。この場合も、海外勤務を重視するあまりキャリアに整合性がなくなったり、希望とほど遠いポジションに就くことになったりするならば、その転職には同様の理由で反対です。

最後に、意外に思われるかもしれませんが、一部のスタートアップではVC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を行った直後のタイミングなどで、海外MBA人材に対し1500万円程度まで年収を検討することがあります。もしベンチャーの事業、ベンチャーでの経営企画業務にご興味を持てるようであれば、スタートアップ企業での求人案件も検討されてみてはいかがでしょうか。

※こちらでは、質問と回答を簡潔に要約し、典型例としてご紹介しております。キャリアコンサルティングの現場ではコンサルタントとキャリアについてご相談いただくのはもちろん、実際の求人ポジションをテーブルに載せながら、「現実的な可能性」の検討をしています。したがって、その時々で市場動向・受託ポジションが異なりますので、「現実的な可能性」=キャリアのチャンスも様々になります。

コンサルタント

インタビュアー/担当キャリアコンサルタント

若張 正道

株式会社アクシアム 
取締役/エグゼクティブ・コンサルタント/人材紹介事業推進マネジャー

若張 正道

大学卒業後、大手食品商社の営業部門からキャリアをスタート。人材サービスに関心があったことから、2001年、アクシアム入社。新規事業であるMBAをメインとしたネットリクルーティングサービスの立ち上げに参画。無事にローンチを果たし、その後は人材紹介事業推進マネジャー 兼 エグゼクティブ・コンサルタントとして、ハイエンド人材の展望ある転職=「展職」を支援している。