革新的な搭載機器の開発により衛星のさらなる低コスト化・短納期化を目指します
株式会社アクセルスペース(本社:東京都中央区、代表取締役:中村友哉)は、2008年の創業以来、5機の超小型人工衛星の開発・製造および運用を行い、実績を積んでまいりました。2015年からは、多数機の超小型衛星により世界のあらゆる地域を高頻度に観測する次世代の地球観測プラットフォームAxelGlobeの構築を開始、初号機GRUS-1Aを2018年12月に打ち上げました。続く打ち上げについては現時点で最終的な日程が確定しておりませんが、4機(GRUS-1B, 1C, 1D, 1E)の製造作業についてはほぼ完了しており、出荷に向けた最終準備作業を行っているところです。
図1:出荷に向けた最終準備段階にある4機の衛星(GRUS-1B, 1C, 1D, 1E)
今後、さらなる衛星の量産を計画するにあたり、衛星製造の低コスト化および短納期化がますます重要な課題となりつつあります。その流れの中で、それら衛星に搭載される機器についても、単品生産から量産を前提とした製造方法の革新が求められています。このたび、アクセルスペースは協力会社とともに、下記に示す2種類の搭載機器について新規開発を行うことといたしました。なお今回の開発にあたり、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める2020年度宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(ベンチャー企業等による宇宙用部品・コンポーネント開発助成)に採択され、助成を受けることが決定いたしました。
開発機器1:膜展開型デオービット機構
軌道上の宇宙ゴミの増加に伴い、今後打ち上げる衛星について、利用終了後の確実な軌道外投棄(「デオービット」と呼び、アクセルスペースが開発する低軌道衛星においては高度を下げて大気圏に突入させることを意味する。それらの衛星は大気との摩擦熱で燃え尽き、地上には到達しない)が求められています。アクセルスペースでは、少しでも早く軌道高度を下げるための膜展開型デオービット機構の開発を進めており、本年6月9日に発表した通り、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集する革新的衛星技術実証3号機の実証テーマの一つにも選定されています。なお、本機器は弊社とサカセ・アドテック株式会社(本社:福井県坂井市、代表取締役:酒井慶治)との共同開発です。
図2:デオービット機構(左:試作品、右:軌道上での展開図)
開発機器2:リアクションホイール
リアクションホイールは衛星の姿勢制御装置の一つであり、GRUSのように高精度な姿勢制御を要求する衛星にとっては必須の機器です。超小型衛星向けのリアクションホイールは価格・納期の面で課題があるほか、供給メーカーが限られるために需要に応えられない場合があり、調達先の多様化が求められていました。なお、本機器は弊社とシナノケンシ株式会社(本社:長野県上田市、代表取締役社長:金子元昭)との共同開発です。
図3:リアクションホイールの原理試作品