総合大学だからこそできる主体性を持つ医療専門職の養成――東京都立大学健康福祉学部 | 朝日新聞Thinkキャンパス

総合大学だからこそできる主体性を持つ医療専門職の養成――東京都立大学健康福祉学部

Sponsored by 東京都立大学

2024/10/18

総合大学ならではの幅広い教育、学生・教員との交流、地域連携活動、海外研修・留学、課外活動など、専門科目にとどまらず、基礎知識を深化し関心領域を広げていく――。学科を超えた知識の深化と個性を育む教育で主体的に考えられる医療専門職の育成を目指す東京都立大学健康福祉学部。その学びの特徴を、西村ユミ健康福祉学部長に聞いた(写真は、東京都立大学健康福祉学部の所在する荒川キャンパス。都立大学提供)。

◆学部を超えた人間関係が広がる

東京都立大学(以下、都立大学)健康福祉学部は、東京都立医療技術短期大学を改組して1998年に開学した東京都立保健科学大学(東京都荒川区)を前身とする。2005年、首都大学東京(現・都立大学)開学時に、保健・医療領域を専門とする学部として発足した。学科は看護学科、理学療法学科、作業療法学科、放射線学科の4つ。学部1年次は南大沢キャンパスで教養科目を中心に学び、2年次からは荒川キャンパスで専門領域を学ぶ。

「7つの学部をもつ都立大学には多彩な全学共通科目があります。幅広く教養を深めることができ、さらに専門科目でより自身の専門性を高め、関心領域を拡げていくことができるのが、総合大学ならではのよさだと思います。また、教員と学生の距離が近いことや、東京都が推進するXR※技術を使うなど先進的な授業を導入しているのも都立大学の特徴と言えるでしょう」と、健康福祉学部の西村ユミ学部長は言う(以下、同)。

※XR(クロスリアリティ)/AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)の総称

西村ユミ(にしむら・ゆみ)/東京都立大学健康福祉学部 学部長。1991年日本赤十字看護大学卒。2000年日本赤十字看護大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター臨床部門准教授などを経て、2012年首都大学東京健康福祉学部/大学院人間健康科学研究科教授に就任。2021年から現職。著書に『語りかける身体─看護ケアの現象学』(ゆみる出版、講談社)、『看護師たちの現象学―協働実践の現場から』(青土社)、『看護実践の語り─言葉にならない営みを言葉にする』(新曜社)などがある

◆多様な学び、体験を通じて医療専門職を養成する4学科

4つの学科が目標としているのは、それぞれの分野の国家資格取得に留まらない。今日では医療技術も、医療にかかわる人々も、そして患者さんも非常に多様化している。これに対応するためには、専門性を究めることはもちろん、幅広い学びや体験を通して主体性に判断・行動できる力が必要とされているからである。

都立大学が総合大学として持つ多様性に加えて、現在の医療・福祉に必要な深い専門性など、より自由度の高い学びを提供しているのが当学部の特徴だ。

看護学科では「生活者への理解」を目的に、1年次に地域住民の自宅を訪問する。「健康な高齢者の普段の暮らしぶりを知ることにより、高齢の患者さんが病院にやってきた際に、看護師としてより質の高いケアができると考えています」と西村学部長は言う。「看護管理学実習」(4年次)では看護師長や看護部長などの管理職に伴走して実習を行う。「管理の視点を養う」ことを目的としたもので、実施している大学は少ないという。

写真左上:理学療法学科の運動学実習 右上:看護学科の小児看護学の演習風景 右下:作業療法学科の日常生活活動学実習 左下:健康福祉学部のMRI装置(写真は都立大学提供)

理学療法学科は、病気やけが、高齢や障害などが原因で「立つ」「座る」などの基本的動作ができにくくなった人、あるいはその予防のために、運動療法や物理療法を用いて日常生活を送れるように支援する理学療法士を養成する。また作業療法学科では、「食事」「入浴」「仕事・学習」「遊び・趣味」など、年齢や障がいに関わらず、その人らしい生活ができるよう、環境や動作などの支援をする作業療法士を養成する。理学療法士と違い、身体だけでなく精神疾患のある患者さんに精神的な負担の緩和や作業の訓練を行う「こころのリハビリテーション」も担うのが特徴だ。

「理学療法学科では、パラスポーツの普及や高齢者の転倒防止予防に取組むなど、様々な領域で活躍している教員がいます。理学療法は対象者の幅が広く相手の状況や立場を考え、尊重し、治療・指導することが大切ですから、その点を重視したカリキュラムになっています。作業療法学科では子どもに対する療法に積極的に取り組んでいる教員もいます。学生たちが考えたプログラムを学内のプレイルーム(実習室)で、実際に地域の子どもたちに利用していただき、子どもたちとふれあいながら療法を学ぶ取り組みもしています」

放射線学科にはX線CT(コンピューター断層撮影)装置、MRI(磁気共鳴画像)装置、SPECT/CT(単一光子放射断層撮影・CT一体)装置、PET(陽電子放出断層撮影)装置、リニアック(放射線治療用直線加速器)、など最新の医療機器が設置され、現場に即した実践教育を行っている。取得した画像データを加工処理し、診断や治療に必要な情報を医師に伝えるのも診療放射線技師の役割だ。

「fMRI(脳機能や活動を対象としたMRI)を設置しているのは、日本の大学では珍しいのではないでしょうか。また、それらの医療機器を教育研究のためだけに日常的に使えるのも、本学の強みです。近年注目されているAIを使った画像診断技術の授業も設けています。同科の学生は大学病院や総合病院、医療機器メーカーへの就職が多いのですが、約5割は大学院に進学しています。卒業研究の指導にも力を入れており、学部4年で研究成果を学会発表する学生もいるのですよ」

「1年次から4年次まで、多くの多職種連携授業があります」という西村学部長

◆医療専門職の多職種連携と国際化に注力

医療・福祉の場では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、栄養士、ソーシャルワーカーなど、異なる専門職が連携して業務にあたる多職種連携が行われる。そこで健康福祉学部では1年次から4年次にかけて、多職種連携が学べるよう科目群が提供されている。これらの科目は全学科の教員が共同して担当しており、異なる学科の学生がグループを組み、対象者への援助方法を討議する演習などがある。自分と異なる専門職の視点や仕事を理解し、積極的にコミュニケーションを取りながら行う多職種連携は、最適な治療・ケアを行うために欠かせないものであり、また医療事故の予防や働き方の見直しなどにも有効とされている。

「医療現場では、言われたことをただするのでなく、自ら判断して『こうしたい』と、主体性を持ってより良い提案をし、行動することが求められます。リーダー役やサポート役なども、状況を理解し自分で考えて実践する。学生にはそうした力を、ぜひ修得してもらいたいと思っています」

「医療従事者の国際化」も、当学部の目標の一つだ。都立大学では複数の海外の大学・研究所と協定を結んでおり、留学先で外国の文化や医療福祉の方法を学べるほか、海外からの留学生と共に学ぶことで日本にいながらにして外国の考え方、やり方を知ることもできる。

「多職種連携授業の集大成として海外研修プログラムを設けており、スウェーデンのカロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)に春休み期間中に派遣し、医療現場で体験実習をしています。都立大学には他にもさまざまな留学制度があって、なかには1年間留学する学生もいます。海外留学は学生時代にしかできない経験であり、海外でさまざまな価値観に触れることは多様性を理解するうえでも重要なことですから、大学としても応援しています」

◆荒川区との地域連携が、地域と学生にもたらすメリット

健康福祉学部の学生は2年次から荒川キャンパスで学ぶが、卒業まで南大沢キャンパスと縁が切れることはない。部活やサークル活動にはげむ学生はもちろん、様々な学内イベントも両キャンパスで行われ、特に荒川キャンパスで毎年10月に開催される「青鳩(あおばと)祭」には南大沢から多くの学生がかけつけ、イベントを盛り上げる。この青鳩祭は一昨年、コロナ禍以降3年ぶりに来場型で開催された。昨年は、地域住民も含めて2日間で約1600人が来場したという。

昨年の青鳩祭で好評を博したのが「センサリーフレンドリー盆踊り」だ。感覚過敏や発達障害などの特性がある人たちも楽しめるよう、光の点滅や音量を控えめにし、ゆったりとした振り付けにした盆踊りで、振り付けと曲の創作・演奏は健康福祉学部の学生たちが担当した。

「親子で楽しんでくれた方たちが多かったですね。南大沢キャンパスから大橋隆哉学長も参加し、一緒に踊りました。とても楽しい盆踊りでしたよ」と、西村学部長は笑う。「課外活動も授業の一環と考えています。主体性をもった医療専門職になるためには、専門領域以外の教養や多くの人生経験が必要ですからね。自分の得意、不得意を見極め、自分の個性を生かして自ら深めるべき学びを見つけていく。そんな人材を育てていきたいと考えています」

写真左上:子どもからお年寄りまで楽しめる「センサリーフレンドリー盆踊り」 右上:荒川区と共同で開発した「荒川ころばん体操」 右中:パラスポーツ体験教室(2024年度からは「エンジョイ!パラスポーツ@東京都立大学」に名称変更)でのボッチャ体験 右下:カロリンスカ研究所での体験実習 左下:健康福祉学部で推進する教育XRプロジェクト (写真は都立大学提供)

地域連携協定を結ぶ荒川区との関係は密接で、地域の健康づくりなどに貢献しながら、学生の学びにつなげている。前出の「センサリーフレンドリー盆踊り」のほかにも、高齢者の転倒防止体操「荒川区健康づくり体操(荒川ころばん・せらばん・あらみん体操)」を荒川区と健康福祉学部の教員が共同で開発した。

「この体操を普及させるためのリーダー講習会を地域の高齢者等を対象に実施しているのですが、今年度はそこに学部学生も参加していました。高齢者のみなさんと積極的に交流をしていて、とても頼もしく感じました」

荒川キャンパスの近くに大きな病院が少ないこともあり、首都直下地震などの大きな災害が発生した際は、大学が地域住民を受け入れることも想定している。そうしたことから、現在は「災害×多職種連携」の授業も計画中という。教員自身、地域住民と協働することを念頭に置いたより実践的な授業を提供するため、常に知識をアップデートしているのだ。

「都立大学出身者は、『就職してから2、3年の間に著しく伸びる』という評価をいただいています。それは、これまで紹介したような教養教育、専門教育、部活動、海外研修などの経験を通じて多様な考えを持つ人と一緒に何かを成し遂げ、自ら考えて行動できることが理由ではないかと考えています。自分の伸びしろを広げるためにも、学生には在学中にさまざまな経験を積んでほしいと思います。だからこそ、『大学に入ったらこれをやってみたい』という思いを強くもつ受験生に、ぜひ来てほしい。当学部ではその希望に寄り添い、実現させる機会と場所を用意しています。意欲のある皆さんをお待ちしています」

<詳しくはこちらへ>
東京都立大学 健康福祉学部
https://www.hs.tmu.ac.jp/

看護学科
https://tmu-nursing.jp/

理学療法学科
https://physiotherapy.hs.tmu.ac.jp/

作業療法学科
https://tmu-occupational-therapy.hs.tmu.ac.jp/

放射線学科
https://radiological-sciences.hs.tmu.ac.jp/

取材・文/狩生聖子 撮影/大野洋介 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ

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