大学生ひとり暮らし、地域ごとの負担額は? 東北では月約11万円、首都圏は… | 朝日新聞Thinkキャンパス

大学生ひとり暮らし、地域ごとの負担額は? 東北では月約11万円、首都圏は…

2024/06/24

■特集:どうにかしたい! 受験・大学のお金

大学進学には何かとお金がかかりますが、進学と同時にひとり暮らしを始めるとなれば、その費用はさらにかさみます。地域ごとの家賃や生活費の違いを全国大学生活協同組合連合会(生協)が新入生の保護者約2万人に調査して比較しました。意外な出費、子どもへの仕送りなど、自宅通学とは比較にならないほど経済的負担がかかります。大学に合格する前に、いくらぐらいかかるかを知って、準備しておくことが重要です。(写真=Getty Images)

首都圏の家賃は、ずば抜けて高い

大学進学でひとり暮らしを始める際、最初に費用はどれくらいかかるのでしょうか。生協は毎年、大学や短大に入学した新入生の保護者約2万人を対象に、入学までにかかった費用を調査しています。それによれば、地域別の初期費用は以下のようになっています。

2023年4~5月に大学および短期大学に入学した新入生の保護者1万9664人が回答(表=全国大学生活協同組合連合会「2023年度 保護者に聞く新入生調査」をもとに編集部作成)

「突出しているのは、平均7万500円という首都圏の家賃の高さです。2番目に高い京都・滋賀・奈良エリアでも平均5万7400円で、6万円を超えているのは1都3県だけです」と生協の調査担当の方は言います。

敷金や礼金といった初期費用(表では「住まい」の項目に含む)になると、一番安い北海道と1都3県では17万円以上の差があります。自宅外生の保護者に聞いた「子どもの入学前に困ったこと」のトップが「部屋探しの悩み」というのも納得がいきます。

「費用が折り合わず、かなり離れた大学まで自宅から通学することになる学生もいます。最初は自宅通学だったものの、途中から大学の近くにアパートを借りるケースもあります。大学が忙しくなってくると、長時間の通学が負担になることがあるからです」

大学に合格する前に、受かったときの準備をしておくことが大切です。

首都圏の生活費、月14万以上

家賃のほかにも、留意すべきことがあります。
北海道の冬の暖房費の高さには、びっくりする人も多いようです。一方、地方の場合は車が必要と考える人もいると思いますが、キャンパス至近に住むケースが多く、自転車などで通学する可能性が高くなります。つまり、交通費は意外にかかりません

交通費がかさむのは、東京、大阪、名古屋といった大都市圏です。
「東京都心の大学に通う場合、家賃を抑えるために西のエリアなどでひとり暮らしをする例は少なくありません。その場合は家賃に加えて定期代などがかかってくるほか、通学の所要時間が想像より長くなることもあります。女子の保護者は、周辺の治安や物件のセキュリティーを気にするため、家賃が高くなる傾向があります」

複数のキャンパスがある大学では、学年によって通うキャンパスが変わることもあります。距離的に転居が必須になる例もあるので、先を見越して物件を選ぶことが必要です。

 下のグラフは、地域ごとのひとり暮らしにかかる1カ月の生活費です。オレンジ色は一番高い地域、ブルーは一番安い地域を示しています。最も高いのが首都圏の14万3520円で、大阪・兵庫・和歌山の13万240円が続きます。最も安いのは東北ですが、それでも月11万6690円かかっています(各項目は九州・沖縄のグラフに記載)。

2023年10~11月に大学・短期大学の学部学生9873人が回答(図=全国大学生活協同組合連合会「第59回(2023年)学生生活実態調査」をもとに編集部作成)

子どものアルバイト代には頼れない?

大学生のひとり暮らし費用を主に支えるのは、保護者からの仕送りでしょう。仕送り金額は全国平均約7万円で、ここ10年くらいのスパンで見ると減少傾向です。とはいえ、物価高もあり、子どもにも経済的に協力してほしいと考える親は少なくないでしょう。ただ、保護者世代が過ごした頃と、現代のキャンパスライフは大きく異なっていることにも注意が必要かもしれません。

「今は学部によっては朝から晩まで大学にいて、勉強に励む3、4年生も少なくありません。医歯薬学部のほか、理工系学部や教育学部などでも『実習が忙しくてアルバイトする時間がない』という声をよく聞きます」

親が費用面で準備・工夫したこととしては、「奨学金を申請した(する)」「親族から援助を受けた」などのほか、「部屋代が安い住まいに決めた」という人の割合が過去5年で最多となりました。

(グラフ=全国大学生活協同組合連合会「2023年度 保護者に聞く新入生調査」をもとに編集部作成)

「奨学金を申請した(する)」という回答は35.1%あります。今は返済不要の給付型の奨学金を用意している大学が少なくなく、民間の奨学金も充実しています。学費の備えもまた、早めの情報収集が不可欠といえるでしょう。

大学の受験料、学費のことは準備する親が多いですが、その先の4年間の大学生活のことも想定して、情報を集めて、心構えをしておくことが重要です。

>> 【特集】どうにかしたい! 受験・大学のお金

(文=鈴木絢子)

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