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中高生時代に受験した思い出を持つ人も多い英検(実用英語技能検定)。現在も中高生の受験者数は年間約300万人(2022年度の志願者数。実用英語技能検定、英検IBA、英検Jr.の合算値)と、国内で最大級の受験者の多い英語検定試験となっています。1963年のスタート当時、3つしかなかった級の数は、現在7つありますが、2025年度からは2級と準2級の間に新しい級「準2級プラス」が設けられます。大学入試での活用に関しても変化があるかもしれません。(写真=Getty Images)
新設級のポジションは「2級と準2級の間」
公益財団法人 日本英語検定協会は、2023年9月、英検の2級と準2級の間に、新たな級を新設することを発表しました。導入されるのは25年度から。これで英検の級数は、合わせて8つになります。
英検は1963年に始まりました。当初は1級、2級、3級の3種類のみで、やがて準1級、準2級、4級、5級が加わりました。1994年に準2級が新設されて以降、しばらくは新設がなく、今回の新たな級の導入は実に31年ぶりとなります。
「小学校から英語の授業が行われるなど、英語教育も時代とともに変化しており、英検もニーズに応じて級の追加を行ってきました。これまで2級と準2級の間にレベルの開きがあることが指摘されていて、新設に踏み切りました」(日本英語検定協会)
データを見ても、例えば3級から準2級へ合格するまでの時間は平均8.8カ月ですが、準2級合格から2級合格までは平均13カ月以上かかっています。求められる英語力は、準2級が高校中級程度または高校初級程度で、2級は高校卒業程度となっていることからも、レベルの差は小さくないことがわかります。
「学校の勉強に寄り添いながら、1年ごとに級を上げて受験していくのが理想」(同)としているだけに、準2級から2級へのレベルの開きがあるという不満の声については、課題となっていました。また、細かく刻んで級を上げていったほうが、モチベーションが途切れなくていいという声があることも、新たな級の導入を後押ししました。
新設級を基準にする大学も増加か
大学入試で英語の外部試験利用入試が広がっていることも、新たに級を設置した背景のひとつになっています。外部検定をどれだけ入試で活用するかは大学や学部によって異なりますが、例えば24年度の入試では、法政大学(一般選抜)の「英語外部試験利用入試」は、英語外部試験で一定以上のスコアがあれば英語が免除となり、1科目の試験のみで受験が可能。社会学部や経営学部では、英検2級以上が出願資格になっています。明治大学商学部(一般選抜)の「英語4技能試験利用方式」も英検2級以上を基準としています。
「英検2級をひとつのボーダーとして、入試に利用している大学は少なくありません。そのため、大学によっては新設する級も外部試験の基準として認めるところが出てくるかもしれません。準2級ならややレベルが足りないと感じていたところが、新設級のレベルであれば導入の条件に加えてみようという動きが出てくる可能性はありそうです」(同)
準2級までは順調に合格しても、2級になるとなかなか受からず、大学の外部試験利用入試に使えるかどうか心配している高校生は、新たな級が導入されてから少しずつ級を上げていったほうが、結果的に受験に有利になるケースが生まれるかもしれません。
英語力は「身近な社会的な話題を理解すること」
24年2月1日、新設級の名称は「準2級プラス」に決定しました。求められる英語力を前後の級と比較すると以下のようになります。
準2級が「日常的な話題」に対して、2級は「社会的な話題」について求められています。準2級プラスはその橋渡しとして「身近な社会的な話題」の理解や運用ができることが目標です。なお、難易度のイメージは以下のようになります。
準2級プラスの試験内容は、1次試験がリーディング、リスニング、ライティング、2次試験はスピーキングが予定されており、問題数や試験時間は既存の2級の試験をもとに検討中です(24年2月9日現在)。受験する予定の高校生は、日本英語検定協会からの情報をチェックしましょう。
(文=福光 恵)
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