トランプ前大統領銃撃事件判明している情報
米ペンシルベニア州バトラーで7月13日、トランプ前大統領が選挙集会中に銃撃されました。現地で何が起きたのでしょうか。容疑者の人物像は? これまでに判明した情報をまとめました。
銃撃の現場
事件の場所
事件は13日午後6時15分(日本時間14日午前7時15分)ごろ、米ペンシルベニア州バトラーで開かれた集会で、トランプ前大統領の演説中に起きた。
バトラーは、主要都市のピッツバーグから北東に約50キロの距離。白人労働者層が多い「ラストベルト(さびついた工業地帯)」にあり、トランプ氏への支持が厚い。
ペンシルベニアは大統領選の激戦州で、トランプ氏は積極的に選挙活動を進めていた。
発砲の瞬間
トランプ陣営からの案内によると、集会会場は農業施設の中に設けられていた。米メディアは、容疑者が会場から120~150メートルほど離れた建物の屋根から銃撃を図ったと報じている。
会場の様子を中継していた動画では約2秒間で5回ほど、発砲音が聞こえる。米CBSによると、発砲は6~8回とみられる。
被害
トランプ氏は右耳を負傷し、集会に参加していた1人が死亡、2人が負傷した。ペンシルベニア州のシャピロ州知事は、死亡したのはコリー・コンペラトーレさんと発表。米メディアによると、50歳の元消防隊員で、銃撃時に家族をかばったとされる。
銃撃したとみられるトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)は、銃撃後にシークレットサービス(大統領警護隊)によって射殺された。
警備態勢
前大統領のトランプ氏は大統領警護隊の警護対象だ。SNSに投稿された目撃者の動画によると、事件当時、トランプ氏の演壇近くで狙撃手が銃を構え、警護に当たっていた。
米メディアは司法当局者の話として、活発な選挙戦を受けて警護隊には人員、対狙撃手、ドローン、ロボット犬が追加で配置されており、警護隊と地元警察あわせて四つの対狙撃チームが現場にいたと報じている。
容疑者は
人物像
クルックス容疑者は、現場のバトラーから南に約60キロ離れたペンシルベニア州ベセルパークに住んでいた。地元ベセルパーク高校を2022年に卒業。地元メディアによると、成績優秀者として500ドルの賞金を得たこともあった。
AP通信によると、銃撃に使われたライフル銃はAR-15型。クルックス容疑者の父親が2013年にチェーン店で購入したものという。安価で操作しやすい半自動ライフルで、米国で過去に起きた銃乱射事件でも、凶器としてよく使われてきた。
容疑者は射撃クラブの会員で、銃撃の前日に練習していたとも報じられた。
銃撃当日
事件前に、銃を持った不審者情報が集会参加者から警察側に寄せられていた。AP通信によると、警察官が容疑者がいた建物の屋根に上ろうとしたが、容疑者からライフル銃を向けられ、警察官は屋根を降りたという。直後に発砲事件が起きた。
FBIの捜査で容疑者が運転していた車や自宅から爆発物が見つかった。事件当日、銃弾50発やはしごを購入していた。
事件の影響
世論の反応
事件を受けて、バイデン大統領は13日、緊急で演説し、「米国には、このような暴力の居場所はない」と述べた。トランプ氏が所属する共和党関係者だけでなく、オバマ元大統領ら民主党関係者からも暴力を批判する声が相次いだ。
米起業家イーロン・マスク氏は13日、大統領選でトランプ氏への支持をX(旧ツイッター)に投稿。初めて公に支持を表明した。
米大統領選の勝者を予想する賭けサイトでは事件後、トランプ氏が勝利するとの予想が上昇した。
大統領選への影響
共和党全国大会が7月15日に開幕し、大統領選に向けて、トランプ氏は党大統領候補に正式に指名された。党大会では、暗殺未遂の危機をくぐり抜けた強い指導者というイメージを強く印象づける演出がなされた。
事件によってトランプ氏の支持率が上がるという見方がある一方、政治的に利用されることへの懸念も出ている。
相次ぐ政治家への襲撃
1963年にテキサス州ダラスをオープンカーで走行中に狙撃され、亡くなったケネディ大統領(民主党)ら、米国では過去に4人の現職大統領が銃撃を受けた末に、死亡している。
2022年10月には、陰謀論に影響された男が、当時のナンシー・ペロシ下院議長(民主党)の自宅を襲撃。17年にはワシントン近郊でスカリス下院議員(共和党)らが銃撃され、負傷した。
日本国内でも、22年7月に安倍晋三元首相への銃撃事件があり、23年4月には演説中の岸田文雄首相の近くに爆発物が投げ込まれる事件が起きた。
今年5月にはスロバキアの首相が銃撃されている。