コロナ第2波 東京100days 新型コロナウイルスの記録 - プレミアムA:朝日新聞デジタル

東京100days 新型コロナウイルスの記録 - プレミアムA

2020年、世界を大きく変えた新型コロナウイルス。「第2波」は、7月から8月にかけて日本全国を覆った。

感染者が最も多かったのは東京。都内では9月も、新規感染者が100人以上という日が連日のように続いた。

一方で経済の冷え込みは戦後最悪とされる。10月1日から、政府肝いりの観光振興策「Go To トラベル」の対象に東京都も加えられた。

「第2波」に覆われた東京で何があったのか。「第3波」は起こりうるのか。

「第2波」に直面した首都の100日間を、小池百合子都知事ら各地の首長の動きと、東京都の感染者数のデータで浮き彫りにする。

公開 2020/10/1

再燃の予兆

「ここまで根気強く辛抱してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます」。48日間にわたる緊急事態宣言が解除された5月25日、安倍首相はそう国民に呼びかけた。ただこの頃、すでに感染再燃の予兆は見えつつあった。その発信源と名指しされたのが新宿・歌舞伎町。感染者数がじわじわと増え続けたが、東京都は「夜の街」に限定された感染であることを強調し、市中感染の広がりを否定し続けた。対策が後手になる中、ウイルスは歌舞伎町を越え、各地に散らばりつつあった。

day1

2020.5.25(月曜日)

緊急事態宣言が解除

48日間にわたる緊急事態宣言が解除され、以前のような通勤風景も次第に見られるように。だが、東京都内では、すでに若者の感染が目立ち始めていた。

緊急事態宣言解除から一夜明けた26日昼、東京・渋谷には多くの人が行き交っていた=2020年5月26日

day2

2020.5.26(火曜日)

政府が追加の雇用対策を発表

厚生労働省が新型コロナウイルスで経済的な打撃を受けた人たちの雇用対策を発表。一定条件を満たせば、失業手当の支給日数を60日延長することや、会社から休むように言われた働き手が直接申請して受け取れる給付金の新設などが柱。

day9

2020.6.2(火曜日)

東京アラート

新型コロナウイルス感染拡大の兆しが見られるとして、東京都は「東京アラート」を出して警戒を呼びかけた。小池知事はこの日の対策会議で「特に夜の繁華街など『3密』のリスクの高い場所には十分注意していただきたい」と述べる。

「東京アラート」で赤くライトアップされたレインボーブリッジ=2020年6月2日

緊急事態宣言が解除されたのもつかの間、東京では感染拡大の「第2波」の兆しが現れていた。新宿・歌舞伎町にあるホストクラブなどで若者の感染者が急激に増え、小池知事も記者会見などで「夜の街」を連呼。行きすぎた警戒からそこで働く人たちを差別する風潮も生まれた。あのとき、ホストクラブの従業員たちはどんな思いで過ごしていたのか。独自の取材で実態に迫った。

記事で詳しく

day25

2020.6.18(木曜日)

東京都知事選告示

再選を目指して出馬した小池知事は「『東京大改革2.0』の柱は何と言っても新型コロナウイルス対策」と強調した。一方、安倍首相はこの日、感染拡大を防ぐために求めてきた移動自粛の全面解除を表明、イベント開催の制限も緩和することを明かした。

都知事選候補者の第一声を聞く人たち=2020年6月18日
東京都内の感染者の日別数
0
1
10
25
50
100
200
300
400+
都道府県が発表した感染者数を日ごとに朝日新聞が集計し、色の濃淡で示した。2020.5.25~2020.9.1
5.25緊急事態宣言が解除
6.2東京アラート開始
7.22Go Toキャンペーン開始
7.23東京五輪開幕まで1年
7.29岩手県で初の感染者確認
8.28安倍首相が辞任の意向表明
現在
0
0
14日後
0
0
潜伏期間長くて14日ほど 日別増加数 累計
chapter1

訪れた最大の波、高まる東京批判

7月2日、東京都内の新規感染者は2カ月ぶりに100人を超えた。止まらぬ東京都内の感染拡大。菅義偉官房長官(当時)は「この問題は圧倒的に東京問題」と小池百合子東京都知事に矛先を向けた。対する小池氏は、菅氏主導の観光振興策「Go To トラベル」の見切り発車ぶりを批判する。医療現場の不安を置き去りにしたまま、Go To トラベルは7月22日、東京を除外して始められた。

この章を記事で詳しく

新型コロナウイルスの潜伏期間は長くて14日程度とされ、濃厚接触者となった人への自宅待機要請も14日間だ。東京の日別感染者数を、14日後の人数と比較しながら100日間を追っていく。

day39

2020-7-2(木曜日)

都内の感染者が2カ月ぶりに100人突破

この2日後、小池百合子知事は都民に対し、都外への不要不急の移動自粛を要請。歌舞伎町を中心に蔓延したウイルスは全国に広がり、都外で「東京由来」とされる感染が相次いでいた。

小池百合子都知事

今の段階がどこにあるかということは「感染拡大要警戒」ということでございます

記者会見で
都幹部

休業要請なんてもうできない。経済を止めると自殺者が出る

3日、取材で
東京・渋谷のスクランブル交差点では、東京都内で新型コロナウイルスの新規感染者が100人以上になったことを伝える電光ニュースが流れていた=2020年7月2日

14日後1日あたりの感染者が300人に迫る

day46

2020-7-9(木曜日)

小池知事

医療体制についてはしっかりと都として対応しているということも知っていただきたい

記者団に
井戸敏三・兵庫県知事

諸悪の根源は東京。諸悪と言ってはいけませんね。感染源には東京が多いということが相当程度、確認されている

県の対策本部会議で

14日後1日あたりの感染者が初めて300人を超える

day47

2020-7-10(金曜日)

Go Toキャンペーンを7月22日に前倒して実施することを発表に

赤羽一嘉・国土交通相

観光関連業界などからできるだけ早くという要望が強く寄せられた

記者会見で
「Go Toトラベル」で、宿泊施設に求めるコロナ対策を説明する赤羽一嘉国土交通相=2020年7月17日

day48

2020-7-11(土曜日)

東京都の感染者が3日連続で200人超

東京の感染経路は接客を伴う飲食店などに加え、職場や家庭内も増加。東京に隣接する県にも感染が拡大しつつあった。

菅義偉官房長官

この問題は、圧倒的に東京問題と言っても過言ではないほど東京中心の問題になっている

北海道千歳市の講演で
川勝平太・静岡県知事

東京の人は治療薬、ワクチンが開発されるまで静岡との往来をご遠慮いただきたい

14日、記者会見で
小池知事

現在の感染状況を踏まえると、(Go Toの)実施の時期や方法などについて、改めてよーくお考えいただきたい

15日、記者会見で

day53

2020-7-16(木曜日)

政府、Go Toキャンペーンの対象から東京都を外す

小池知事

国がよーくご判断されたことなんだろうと思います。今も夜の街などの課題もあるので、それぞれ感染しない、させないということを守っていただきたい

記者団に
足立区の30代男性会社員

自粛、自粛でこの4カ月、我慢することばかりだった。ここに来て都民だけ外すなんて

取材で

14日後この翌日、1日あたり感染者が初めて400人台に

吉村美栄子・山形県知事

危機的な状況にある観光業界の早期回復と、首都圏での感染拡大を地方へ波及させないという両面から判断されたことと受け止めている

21日、記者会見で

day59

2020-7-22(水曜日)

Go Toトラベル事業スタート

杏林大病院の山口芳裕・高度救命救急センター長

国のリーダーは「東京の医療は逼迫していない」と言うが、誤りだ。疲弊している現場の医療者にどう響くか、想像力を持っていただきたい

都のモニタリング会議で
旅行会社「オリオンツアー」(東京都中央区)の広報担当者

やっと風が吹き始めたと思ったら、また止まってしまった

取材で
東京都江戸川区のホテル「イルフィオーレ葛西」の宮城盛章支配人

東京が対象から外れ続ければ、再休業も考えなければいけない

首都圏でバスツアーを展開する「はとバス」(大田区)の担当者

感染者がどんどん増えている現状では、「Go To」以前の問題

鬼怒川温泉で130年の歴史を持つ「あさやホテル」の阿久津正史総支配人

東京の感染者数が観光に出かける目安になっているようだ。館内でお土産がさっぱり売れないのも初めての経験

静岡県沼津市の頼重秀一市長

首都圏の方を除外するという考えはない。感染予防策を厳守してお越しいただきたい

利用客らが行き交う羽田空港第2ターミナル=2020年7月22日

小池知事、警視庁に繁華街の感染対策に協力要請

東京都内の繁華街の接待を伴う飲食店で新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることを受け、小池百合子知事は22日、警視庁本部を訪れて斉藤実・警視総監と面会し、各店の感染対策の徹底に関して協力を要請した。

小池知事

対策を迅速に進めていく、しっかりと対応していただけるということで大変期待している

記者団に
警視庁幹部

風営法に基づく指導などはできない。立ち入りの際に「対策に気をつけて下さい」といった声かけをすることになる

取材で
歌舞伎町内の繁華街事業者を戸別訪問し、感染予防を呼びかける吉住健一・新宿区長(左)=2020年7月21日
chapter2

消えぬ感染再燃、悲鳴上げる地方

「Go To トラベル」がスタートした7月下旬以降、新型コロナウイルスの新規感染者は、全国で増え続けた。それでも安倍晋三首相(当時)は「緊急事態宣言を出す状況にはない」と繰り返した。7月末には、東京から1500km離れた沖縄で感染拡大が明らかに。沖縄県は独自の緊急事態宣言に踏み切った。第2波は、列島を覆いつつあった。

この章を記事で詳しく

day60

2020-7-23(木曜日)

東京五輪の開幕まであと1年

新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪が開幕まであと1年となった。一方で、東京では感染者が初めて300人を突破。都民も行政も危機感を持ちながら4連休を迎えた。

小池知事

都民の皆さまには4連休にできるだけ外出を控えるという形で止めていかないと

記者団に
西村康稔・経済再生相

危機感を強めている。感染経路不明者の分析を急ぎ、メリハリのきいた対策を講じたい

記者会見で
仕事で東京入りした山形県の男性

仕事でなければ東京に来たくなかった。ホテルから出ないようにしたい

取材で
延期した東京五輪の開催まで1年となり、東京スカイツリーが五輪カラーにライトアップされた=2020年7月23日

14日後東京の総感染者数が1万5000人に迫る

day61

2020-7-24(金曜日)

感染者は増えていたが、安倍首相は直ちに緊急事態宣言を出す考えはないことを明かした。一方、都内の接待を伴う飲食店で感染が拡大していることを受け、小池知事は警視庁に協力を要請。店側からは「越権行為だ」などの反発する声があがった。

安倍晋三首相

確かに感染者数は増えている。高い緊張感をもって注視をしている。(前回と)状況が異なり、再びいま、緊急事態宣言を出す状況にはない

記者団に
新宿社交料理飲食業連合会の工藤準一・会長代行

(風営法の立ち入りに対し)なぜ警察まで来るのか。締め付けを図っているとしか思えない

取材で

14日後再び1日あたりの感染者が400人台に

day63

2020-7-26(日曜日)

与論島でこの日までの5日間で計34人の感染確認

鹿児島県にある人口5千人の離島、与論島で7月22日から感染者が相次ぐ。島は厳戒態勢になり、山元宗町長は「来島自粛」を呼びかける。

鹿児島県与論町の山元宗町長

警戒していたが現実になった。陽性と分かるまでに時間があるので、気づいた時には、ほかの人に感染してしまっている。コロナの怖さを感じた

取材で

day65

2020-7-28(火曜日)

全国で982人の感染者を確認

当時としては過去最多の感染者が判明したことで、各地の知事らが会食への注意を呼びかける。

小池知事

科学的な飛沫の飛び具合などを伝えることによって、日常的にありがちな会食の場でもここまでは大丈夫だとかわかっていただけるような伝え方が必要

朝日新聞のインタビューで
大阪府の吉村洋文知事

国は「大人数での会食を控えて」と言っているが、(具体的な)人数を設定すべきだ

府の対策本部会議で
愛知県の大村秀章知事

全く別世界になったと認識している。人数の多い宴会、夜の会食は自粛していただくことが望ましい

記者会見で
5人以上の飲み会を控えるよう呼びかける大阪府の吉村洋文知事。この日、大阪府で最多の155人の感染が確認された=2020年7月28日

day66

2020-7-29(水曜日)

岩手県で初めて感染者が確認される

1日あたりの感染者が初の1千人超。岩手県で初めて感染者が判明し、全47都道府県で感染者が確認される。

岩手県の達増拓也知事

誰でも感染する可能性がある。3月、4月を上回る流行がいま起きている

記者会見で
記者会見する達増拓也・岩手県知事(左)と谷藤裕明・盛岡市長

day67

2020-7-30(木曜日)

東京都が都内の一部飲食店に営業時間の短縮を要請

営業時間の短縮を要請したのは、酒類を提供する飲食店やカラオケ店。営業時間を午後10時までにするよう求める内容で、要請に応じた中小・個人事業者には協力金20万円を支払うとした。だが、業者の懐事情は限界に達していた。

小池知事

状況がさらに悪化した場合には、都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるを得ない

記者会見で
新橋で海鮮居酒屋を営む50代の男性店主

「またか」という思い。少しずつ客足が戻ってきたのに。採算が全く取れず、大赤字を覚悟しないといけなくなる

取材で
記者会見する小池百合子・東京都知事=2020年7月30日

day68

2020-7-31(金曜日)

全国で1571人の感染者が確認。過去最多

Go Toトラベル事業が始まって以降、地方での感染が急拡大。沖縄県は本島全域で不要不急の外出自粛を要請した。また、大阪府は8月5~20日、大阪市の繁華街ミナミにある感染防止対策を取っていない一部の飲食店に対し、休業を要請すると発表した。新型コロナの影響で解雇・雇い止めにあった人はこの日時点で4万1391人になった。

小池知事

今年は残念ながら、例年とは違う夏になる

記者会見で
沖縄県の玉城デニー知事

「爆発的な感染拡大。感染拡大のスピードは想定を上回り、医療崩壊を何としてでも食い止めなければならない

記者会見で
吉村大阪府知事

感染の広がっているエリアで抑え込みをするのが重要

記者会見で

day70

2020-8-2(日曜日)

お盆の帰省をめぐる政府の説明揺れる

西村経済再生相

(高齢者のいる実家などへの帰省に)慎重に考えないといけない

記者会見で
菅官房長官

(西村氏の発言について問われ)帰省を制限するとかしないとか方向性を申し上げたものではない

3日、記者会見で
chapter3

見えぬ出口、疲弊する経済

感染拡大の第2波が全国を覆うなか、経済の冷え込みも一層深刻になった。国内総生産(GDP)の落ち込みは、戦後最悪を記録した。二度と立ち上がれないようなダメージが、各所に広がっている。その一つが、感染拡大の最大の要因として、小池百合子都知事が幾度となく名指しした「夜の街」だ。なかでもその象徴とみなされた新宿の歓楽街は、客足が途絶えて久しい。夜間営業短縮の要請が解除されても、にぎわいが戻る気配はない。

この章を記事で詳しく

day71

2020-8-3(月曜日)

各企業の決算で、業績悪化が判明

航空各社の業績が悪化。JALは4~6月期の決算で、純利益が937億円の赤字。ANAホールディングスも同期に1088億円の純損失を出す。コロナの影響で倒産が400件にのぼったと帝国データバンクが発表した。翌日4日には日本製鉄、ホンダ、東京メトロが中間決算を発表、いずれも赤字に。一方、ソニーは「巣ごもり需要」によるゲーム事業が好調で黒字に。

JALの菊山英樹専務

非常に厳しい結果だ。重く受け止めている

記者会見で
減便となり羽田空港に駐機中の日本航空の機体=2020年5月11日

day72

2020-8-4(火曜日)

大阪知事、コロナ対策でうがい薬を推奨

新型コロナウイルス対策として、吉村洋文・大阪府知事はうがい薬を推奨。専門家からは科学的な根拠が不十分だと疑問の声が出る。

吉村大阪府知事

コロナに完全に効く薬はなく、それに対して責任取るとか取らないとか、そういうものじゃない

記者会見で
うがい薬でのうがいを奨励する大阪府の吉村洋文知事=2020年8月4日

day73

2020-8-5(水曜日)

西村氏、自粛要請の程度は各知事の判断を尊重と発言

岸田文雄・自民党政調会長

自粛要請に応じた人と応じずに営業した人とで不公平ではないかという議論がある

テレビ番組で

愛知、福岡両県で感染拡大への警戒強まる

愛知県は9日間連続で100人を超え、6日から独自の緊急事態宣言を出すと発表。福岡県も感染拡大を受け、対策が不十分な店舗に対し、休業要請をするとした。

大村愛知県知事

大変危機的な状況だ。明確なメッセージを出し、何としても抑え込みたい

記者会見で
小川洋・福岡県知事

(感染拡大は)第2波に入っていると言わざるを得ない

記者会見で

day74

2020-8-6(木曜日)

坂本哲也・帝京大病院長

感染経路が多岐にわたっているのは、無症状、症状の乏しい感染者の行動が影響を与えている

都のモニタリング会議で
小池知事

この夏は特別な夏。コロナに打ち勝つのが最優先の夏。都外への旅行、帰省についてはお控えいただきたい。離れて暮らす家族、親族とは電話などを通じて話してほしい

緊急会見で
にぎわう白浜大浜海水浴場。砂浜には間隔を空けてパラソルやテントが並んでいた=2020年8月14日

day75

2020-8-7(金曜日)

国内で1608人の感染が確認。1日あたり過去最多に

1日あたりの国内感染者数が過去最多になり、各地の知事から帰省や旅行での移動自粛を呼びかける声が相次ぐ。一方、厚生労働省は軽症者や無症状者について、宿泊施設が確保できない場合は自宅療養を認めるとした。

加藤勝信厚生労働相

自宅で(療養)という方が非常に多い実態があり、そのことも踏まえながら対象の明確化をしていく必要がある

記者会見で
鈴木直道・北海道知事

感染リスクを防げないと判断した場合は、帰省を控えるなど慎重な判断をお願いしたい

記者会見で
大村愛知県知事

東海3県以外をまたぐ移動はお盆の時は控えていただきたい

東海3県のウェブ会議で

day76

2020-8-8(土曜日)

全国知事会が発熱のある人らの帰省を控えるよう声明

全国の知事がオンライン会議を開き、「大切な『ふるさと』と命を守るために」と題したメッセージを発表。帰省をめぐっては危機感をあらわにする知事がいる一方、容認する知事も。東京の感染者数は2日連続で400人を超えた。

玉城沖縄県知事

全県域に感染が広がり最悪の状況。(帰省は)高齢者に会うのを避け、電話やネットでお願いしたい

全国知事会で
青森県の三村申吾知事

帰省者を温かい心で受け入れてほしい

全国知事会で
達増岩手県知事

帰省自粛は要請しないが、移動先の感染状況を確認して行動を

全国知事会で
小池知事

都民には帰省の自粛を呼びかけている。「オンライン帰省」を提案したい

全国知事会で
JR東京駅の東海道新幹線ホームで、新大阪行きの新幹線に乗車する人たち=2020年8月7日

day77

2020-8-9(日曜日)

長崎原爆の日。平和祈念式典は規模を縮小して開催

田上富久・長崎市長

(新型コロナウイルスが)自分の周囲で広がり始めるまで、その怖さに気づかなかったように、もし核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気づかなかったとしたら、取り返しのつかないことに

式典で
平和祈念式典で黙禱(もく・とう)する参列者。席は約2メートルの間隔が空けられた=2020年8月9日

14日後この翌日、47日ぶりに1日あたり感染者が100人を下回る

day79

2020-8-11(火曜日)

全国知事会、地方創生臨時交付金の増額を緊急提言

飯泉嘉門・全国知事会会長(徳島県知事)

休業要請の実効性を担保するためには、補償金的な協力金が不可欠。早急に臨時交付金の追加交付を

西村経済再生相とウェブ会議で

day85

2020-8-17(月曜日)

4~6月期の実質成長率は戦後最悪の落ち込み

4~6月期の国内総生産(GDP)が、実質で前期より7.8%減少。円換算で27.8%減で、事実上戦後最悪の落ち込み。コロナ危機が国内経済に与えた打撃の大きさが浮き彫りに。

西村経済再生相

4月、5月は緊急事態宣言のもと、経済をいわば意図的、人為的に止めてきた。結果として非常に厳しい数字となった。世界的にも、同様かそれ以上に厳しい数字になっている

記者会見で
朝日新聞2020年8月17日夕刊

14日後この間、東京の総感染者数が2万人を突破

day93

2020-8-25(火曜日)

Go To事業の利用者数発表

Go To事業の利用者(7月27日~8月20日)が延べ約420万人になったと、国土交通省が発表。政府は成果を強調するが、野党側は効果は限定的だったと指摘した。

赤羽国交相

7、8月はそれなりに効果があった

記者会見で

day94

2020-8-26(水曜日)

政府、Go To東京追加を9月判断と表明

西村経済再生相

9月に分科会を開き、感染状況を分析し、判断したい

菅官房長官

東京都は人口規模も多い。追加された際には各地のホテル、旅館にとってプラスの効果は大きい

マスク姿の人たちでにぎわう伊勢神宮内宮前のおはらい町=2020年7月22日

day95

2020-8-27(木曜日)

東京23区の短縮営業要請が延長される

東京都内の感染者の8割超が区部に集中しているため、東京都は引き続き警戒が必要だと判断した。

小池知事

お盆休み明け以降の人の流れのデータを見極める必要がある

記者会見で

day96

2020-8-28(金曜日)

安倍首相が辞任の意向表明

安倍首相は持病が悪化し、病院を受診していたが、政府が新型コロナの新たな対策を決めたことで辞任を判断したと述べる。一方、この日、政府は国民全員分のワクチン確保を目指し、関連費用の予算措置を講ずる方針を決める。

安倍首相

コロナ禍の中、職を辞することになったことについて、国民に心よりおわびを申し上げる

記者会見で
小売り業界の団体幹部

景気回復の分はすべて新型コロナの感染拡大で帳消し。安倍政権をいま評価するのは難しい

取材で
日本百貨店協会の村田善郎会長(高島屋社長)

政治的な空白を生むことなく新型コロナ対策・景気対策を推進していただきたい

取材で
ローソンの竹増貞信社長

新政権には足元のコロナ対策と経済復興の両立を目指すことが必要

取材で
辞任を表明した記者会見を終え、降壇する安倍晋三首相=2020年8月28日

day99

2020-8-31(月曜日)

消費動向調査、4カ月ぶりに悪化

内閣府が発表した消費動向調査で、家計の消費意欲を示す消費者態度指数が前月より0.2ポイント低い29.3となり、4カ月ぶりに悪化に転じる。新型コロナの感染拡大の影響とみられる。

14日後菅義偉官房長官が第26代自民党総裁に

day100

2020-9-1(火曜日)

リーマン・ショック以来の企業経営悪化

財務省がこの日公表した4~6月期の法人企業統計で、前年同期と比べて経常利益はほぼ半減。2008年におきたリーマン・ショックの直後以来となる記録的落ち込みになった。

Epilogue

101日目の先に…

9月16日。東京・新宿駅西口周辺は、午後10時を過ぎると人はまばらだった。都はこの日、酒類を提供する飲食店などに出していた営業時間の短縮要請を解除した。それでも、深夜の新宿に人通りは戻らなかった。

都内で初めて感染者が確認されてから8カ月。首都の経済は疲弊の一途をたどる。多くの企業で業績が悪化し、人々の生活への影響は、むしろこれからが本番かもしれない。

解除までの行程は平坦ではなかった。都内で170人の感染者が確認された8日、都庁内には「都外への外出自粛要請は9月いっぱい続ける」との案がくすぶっていた。ある幹部は「地方には東京から人が来ることを、いまだに嫌がる人がいる」と漏らした。

小池知事が移動自粛解除を表明してから一夜明けた11日、政府は10月1日から「Go To トラベル」に東京を追加することを明らかにする。かつて「Go To トラベル」を批判した小池知事も「経営が厳しい都内の観光関連事業者にとって、事業の回復にはずみがつくのではないか」と歓迎した。

秋の行楽シーズンを控え、都内の観光業者からは東京追加を求める声が強まっていた。

「いま取り組むべき最優先の課題は、新型コロナウイルス対策。社会経済活動との両立を目指します。さもなければ、国民生活が成り立たなくなるからです」

菅義偉・新首相は16日の就任会見でそう強調した。

10月以降、懸念されるのがインフルエンザとの同時流行だ。ここで医療現場がさらに疲弊すれば、来夏の東京五輪・パラリンピック開催にも暗雲が立ちこめる。大会が中止になれば、経済に与える打撃は計りしれない。

間もなく、試練の冬が来る。(東京都庁キャップ・岡戸佑樹)

全国

一日の感染者数
0
1
10
25
50
100
200
300
400+
100日間(5.25~9.1)

北海道

1,797

青森県

35

岩手県

22

宮城県

210

秋田県

49

山形県

78

福島県

167

茨城県

549

栃木県

306

群馬県

445

埼玉県

3,986

千葉県

3,074

東京都

20,987

神奈川県

5,020

新潟県

144

富山県

394

石川県

653

福井県

232

山梨県

174

長野県

262

岐阜県

558

静岡県

486

愛知県

4,569

三重県

380

滋賀県

458

京都府

1,478

大阪府

8,703

兵庫県

2,305

奈良県

511

和歌山県

231

鳥取県

22

島根県

137

岡山県

145

広島県

458

山口県

170

徳島県

133

香川県

79

愛媛県

114

高知県

128

福岡県

4,634

佐賀県

237

長崎県

232

熊本県

524

大分県

147

宮崎県

359

鹿児島県

363

沖縄県

2,151
都道府県の発表を日ごとに朝日新聞が集計

プレミアムA 第10弾「コロナ第2波/東京100days」

取材

  • 荒ちひろ
    荒ちひろ 東京社会部
  • 軽部理人
    軽部理人 東京社会部
  • 荻原千明
    荻原千明 東京社会部
  • 長野佑介
    長野佑介 東京社会部
  • 岡戸佑樹
    岡戸佑樹 東京社会部
    取材班キャップ
動画制作
西田堅一、関根和弘、藤原伸雄、小林省太、山市彩、根本寿彦(ルートメディア)
編集・ディレクション
関根和弘
ウェブ制作・デザイン
佐久間盛大、神田仁志、原有希(朝日新聞メディアプロダクション)