国家ぐるみの隠ぺい
7月18日、前代未聞の不祥事が「事実」として認定された。世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームは「マクラーレン報告書」を公表し、ロシアが国家主導でドーピング隠しを行っていたことを明らかにした。マクラーレン報告書によると、モスクワの検査機関は2011年から15年8月にかけて、577件のロシア選手の陽性結果を把握していた。陽性結果はその都度、検査機関からスポーツ省に報告され、上層部の指示で、312件は救済対象として「陰性」にされた。13年にモスクワで開かれた陸上競技の世界選手権でも違反がもみ消されていた。14年のソチ五輪では、検査所で尿検体をすり替えていたことがわかった。スポーツ省の指示で、ロシア連邦保安庁(FSB)も協力。ムトコ・スポーツ相は全容を把握していたとされる。WADAは、IOCや国際パラリンピック委員会(IPC)に対し、ロシアの全選手をリオ五輪とパラリンピックから締め出すことを提案した。しかしIOCは過去に違反歴がないなどの条件を設けた上で、各国際競技連盟に判断を委ねた。陸上、重量挙げで全選手、ボートで22人がリオ五輪から除外された一方で、卓球、馬術は全選手の出場が認められた。IPCは8月上旬にも判断する。