横浜市が大型図書館を整備へ 図書館数も蔵書も少なく、築40年超も

良永うめか 堅島敢太郎
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 【神奈川】横浜市内の図書館の老朽化が進み、蔵書数も不足していることから、市教育委員会が、利用者が交流する機能などを備えた大型図書館を新たに整備する方針を固めたことが、関係者への取材でわかった。29日開会の市議会でこうした方針を報告するという。

 市教委によると、市内の図書館は各区1館ずつの計18館しかなく、市民1人当たりの蔵書冊数は1・1冊(2022年度)で、政令指定都市では最も少ないという。

 市教委は今年3月、今後図書館の機能を拡充していく方向性を示す「図書館ビジョン」を策定。未来を担う子どもたちのため▽まちとコミュニティーのため▽柔軟に変化し魅力がいつまでも持続する――など五つの基本方針を示した。

 この図書館ビジョンに基づいて現状を調査したところ、築40年超の図書館が6館にのぼることや他の自治体と比べても施設面積や閲覧席数が著しく不足しているなどの課題が浮き彫りになった。

 ただ、現在の施設面積や書庫の空き状況では、蔵書数を拡充することや交流や学びの拠点を作るのは困難とも結論づけていた。

 そこで、グループ学習や談話、飲食などが可能な空間を備えた新たな大型図書館を整備する。遅れが目立つデジタル化の機能を拡充し、利用者に多様なメディアを提供する。立地場所や施設の規模などは来年度から検討を始めるという。

 さらに、一部の地域館の規模を拡大することで中央図書館(西区)の物流機能を分散させて、市全体で蔵書数の拡充を図る。地域館の再整備は、建物や周辺のまちづくりの状況などを踏まえて実施するという。

 来年度に築60年超の港北図書館(港北区)の老朽化対策の検討を始めるほか、各地域館でリノベーションを実施していく方針だ。

 電子書籍についても、中央図書館1階に整備中の「のげやま子ども図書館」に来年度から導入し、今後は全18館での導入を目指すという。

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