メジャー昇格3年目でアメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)の最終候補に選ばれた。でも、驚きはない。
ロイヤルズの遊撃手ボビー・ウィット(24)だ。ドジャースの大谷翔平(30)同様、大リーグで「最も多才な選手」として注目されている。
2019年のドラフト1巡目(全体2番目)でロイヤルズと契約。22年4月に大リーグに昇格した。
塁上で最も速い選手として知られ、今季は驚異的な数字を残した。打率3割3分2厘で32本塁打、109打点、31盗塁をマークし、自身初めて首位打者と3割、30本、30盗塁の「トリプルスリー」も達成した。数々の賞にも輝き、守備ではゴールドグラブ賞、打撃のベストナインに相当するシルバースラッガー賞にも選ばれている。
「オールラウンド・プレーヤー」であることに、ずっとこだわる。
米テキサス州アーリントン。初めて選出された7月の球宴で確認したときもそうだった。
「子どものころから打撃(ミート)、長打、走塁、守備、強肩の5ツールを兼ね備えた選手を目標としてきた。今も全てで実力を磨いている途中」
風貌(ふうぼう)はたくましさを増していたが、初めて取材した時と言葉に変わりはなかった。
6年ほど前のことだった。
18年6月、ノースカロライ…