李克強前首相の死去から1年 献花許さず?中国当局が警戒する理由は

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合肥=金順姫
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 中国の李克強(リーコーチアン)前首相が68歳で急逝してから27日で1年となった。李氏が少年時代を過ごしたとされる安徽省合肥の旧居の周りでは、昨年は李氏の死を惜しむ人々が手向けた花束が積み上がっていたが、今年は献花を許さない警備体制を敷いているとみられる。

 中国国営メディアによると、李氏は昨年10月27日に上海で休養中、心臓病の発作で68歳で死去した。安徽省では市民が李氏ゆかりの場所に花束を供えるなど追悼する動きが出たが、関連するネット上の書き込みは制限された。

 1年がたった今年は旧居への献花は確認できず、周辺には大量の警察官や治安要員とみられる人員が監視するように立っていた。ある花屋の店員は、献花に使う花を売らないように指示されていると話した。

 李氏は経済学博士号を持ち、経済分野に明るく、改革開放にも前向きな人物と目されていた。ただ、習近平(シーチンピン)国家主席への権力集中が進むなかで、思うように力を発揮できなかったと評価されている。

1年前と一変した光景 背景にあるものは

 習政権が李氏の死去から1年…

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この記事を書いた人
金順姫
瀋陽支局長
専門・関心分野
中国、香港、台湾、朝鮮半島
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    阿古智子
    (東京大学大学院総合文化研究科教授)
    2024年10月29日11時28分 投稿
    【視点】

    李克強前首相の旧居の周辺での地道な取材、治安要員、こっそりと話をしてくれる人、口をつぐまざるを得ない様子など、非常に興味深いです。このような取材から見えてくるものがありますね。

    …続きを読む
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    吉岡桂子
    (朝日新聞記者=中国など国際関係)
    2024年10月28日18時22分 投稿
    【視点】

    この記事に添えられた中国内陸の地方都市合肥の何気ない交差点の写真。私服の治安要員も多数配置されるなか、スマホでさらっと撮るだけでも、どれほど苦労しただろう。緊張が忍ばれます。李克強・前首相の死から一年。厳しく警戒する姿に中国の現在地が浮かん

    …続きを読む