異例のスピード解散を経て始まった衆院選は、10月27日に投開票を迎えます。一票を投じるため、いま、大事にしたいことは何か、さまざまな社会課題と向き合う立場から考えます。
NPO法人「POSSE」で若者の労働問題に取り組む、大学院生の岩本菜々さん。この衆院選で自民党の裏金問題ばかりが争点のようになることに警鐘を鳴らし、「重要な課題が議論されていない」と語ります。
10・27を話そう① 労働・奨学金問題と向き合う岩本菜々さん
――衆院解散の前にあった国会の議論や石破茂首相、衆院選での各党の主張をどう見ていますか。
石破首相がどういう政策を進めていくのか、あるいは進めていかないのかが見えてきません。それは、ほかの政党についてもそうです。
自民党の裏金問題があることで、国政選挙なのに社会課題に対する政策の議論が不十分だと思います。裏金や旧統一教会と自民党との癒着はもちろん問題です。でもその議論が中心になりすぎては、政策で選びようがない、となってしまいます。
――議論されないことを疑問に思った課題とは。
貧困対策についてです。衆院解散前からこれほど貧困が広がっているのに、ほとんどと言っていいほど議論されず、現場で支援にかかわる中で募る危機感が政治家に伝わっていないと感じます。
困窮者支援の現場では、2008年に起きたリーマン・ショック後の時よりも厳しい状況があると聞きます。年の瀬、職や住まいを失った多くの非正規労働の人たちが都内の日比谷公園に集まり「年越し派遣村」ができたあのときより、です。今、支援団体の炊き出しでは1食のお弁当をもらいに、400~500人が並ぶこともあります。この十数年で非正規労働者は大きく増え、不安定な生活をする人に物価高が追い打ちをかけています。
なぜうねりが起きないのか
炊き出しに来るような人は特…