創薬、再生医療、老化研究… 宇宙での実験は地上でどう役立つ?
上空およそ400キロを周回している国際宇宙ステーション(ISS)では、「きぼう」日本実験棟などで様々な研究が行われてきた。なぜ宇宙で実験をするのか。2030年に運用を終えた後の「ポストISS」時代には、何が変わるのか。
ISSでの実験は、二つに大別できる。
一つは有人探査に必要な実験だ。水の再生や機器の動作確認などがある。
将来、宇宙飛行士が月や火星で長期間滞在することを想定し、船内でトマトを育てたり、船外にイネの種子をさらして発芽に影響するかを確かめたりしている。
もう一つは、地上で役立てるための実験で、代表例がたんぱく質の結晶化だ。
「創薬にはたんぱく質の構造を知ることが欠かせない。地上ではつくれないような高品質の結晶がつくれる宇宙は、研究の近道になる」
宇宙航空研究開発機構(JAXA)からパートナー選定を受け、「きぼう」での実験サービスを提供する「Space BD」の山崎秀司さんは、宇宙で研究するメリットを説明する。
薬には、たんぱく質の形(構造)にぴったりはまるような分子をくっつけることで、病気の原因を取り除いたり症状を和らげたりするものがある。
ただ、たんぱく質は小さいため、そのままでは詳細な構造は分からない。そのため、結晶化して、X線などを使って分析することが重要となる。
地上で結晶化しようとすると…
- 【視点】
32年間務めたJAXAを退職した若田光一宇宙飛行士がこの4月に転職したのが、まさにポストISS時代を担う民間宇宙ステーションを開発している米アクシオム・スペースですね。こちらの記事では、創薬や立体臓器にフォーカスが当たっていますが、ガラスや
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