ママがクマにキック 乳児抱いた元自衛官「倒し方学んでないけど」

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東野真和
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 生後1カ月の赤ん坊を抱いて歩いていると、目の前に突然、ツキノワグマ3頭が現れた。そのうち1頭が突進してきた。その時、21歳の母親の取った行動は――。

 11日午後9時過ぎ、岩手県大槌町の住宅街。斉藤歩叶(あゆか)さん(21)は、7月末に生まれたばかりの桜虎(おうが)ちゃんを胸に抱き、近くのドラッグストアに向かって歩いていた。料理を作っていて調味料が足りなくなり、買いに出かけたのだ。

 家を出て50メートルほど。月がきれいだったのでスマホで撮影しながら歩いていると、道路の右側から「がさがさ」と音がした。犬が甘えるようなクーンという鳴き声がしたかと思うと、右側の民家と道路の間の溝にかかっている板を、黒っぽい動物が次々と渡ってきた。

 「イノシシか」と思ったら、体長1メートルほどのツキノワグマだった。

誰も助けに来る気配はない

 斉藤さんは福島県の海沿いの町に生まれ育った。東日本大震災の津波で自宅を流され、当時、支援活動をしてくれた自衛隊に入り、同じ境遇の夫と出会って結婚。2人とも除隊して、半年前に夫の出身地の大槌町に来たばかり。クマを見たのは生まれて初めてだった。

 クマは3頭。うち2頭が斉藤…

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この記事を書いた人
東野真和
釜石支局長|震災復興・地方自治担当
専門・関心分野
震災復興、防災、地方自治、水産業