120メートル超離れた屋上からトランプ氏銃撃 20歳容疑者は射殺

アメリカ大統領選挙2024

ワシントン=合田禄 バトラー=下司佳代子
【動画】米ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前大統領の演説中に発砲音が鳴った=ロイター
[PR]

 米ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前米大統領が演説中に銃撃され、右耳を負傷した。容疑者は射殺され、連邦捜査局(FBI)は暗殺未遂事件として捜査。大統領選への立候補予定者を暴力で抹殺しようとする事件が起きたことに、米国社会で激しい衝撃が広がっている。

 13日夕、演説を始めて数分後に発砲音が鳴り、トランプ氏は耳のあたりを押さえて倒れ込んだ。警護官に囲まれ立ち上がると支持者に拳をつきあげ、会場を出た。命に別条はない。米メディアによると、会場外から銃撃したとみられる20歳の男を警護隊が射殺した。集会参加者の1人が亡くなり、2人が重体という。

 トランプ氏は13日夜、SNSに「私たちの国でこのようなことが起きるとは信じがたい」と投稿。さらに14日朝、「こうした時だからこそ団結し、悪が勝つのを許さないことがこれまで以上に重要だ」とも投稿した。

 バトラーはトランプ氏への支持が厚い地域。14日未明、会場に続く道路はパトカーで封鎖されていた。

 FBIと地元警察は13日夜、会見を開き「動機の特定のため精力的に捜査している」と説明した。米メディアによると、その後、FBIは銃撃したとみられる男をペンシルベニア州のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)と特定した。容疑者は州の記録によると共和党支持者だが、民主党系の団体に少額の寄付をしたことがあると米メディアに報じられている。CNNによると、銃撃したのはトランプ氏の演壇から120~150メートルほど離れた建物の屋根の上からだった。

 バイデン大統領は13日夜の演説で「このような暴力が米国であってはならない」と訴えた。ホワイトハウスによると、その後、トランプ氏とも直接、話をしたという。

 トランプ氏は15日からの共和党大会で大統領候補として指名される。陣営は13日夜、トランプ氏が予定通り党大会に出席すると明らかにした。(ワシントン=合田禄、バトラー=下司佳代子)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
合田禄
アメリカ総局|科学・米国政治担当
専門・関心分野
科学、医療、気候変動、宇宙開発
  • commentatorHeader
    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2024年7月14日8時26分 投稿
    【視点】

    これはアメリカの歴史を変える銃弾であり、アメリカの歴史を変える事件となるかもしれない。そして、警護に守られながらも立ち上がり、耳から血を流しながらも右手を高く突き上げる大統領候補の背景にはアメリカ国旗、ここまで完璧な構図の写真が、この事件の

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2024年7月14日8時35分 投稿
    【視点】

    発砲が誰による、どのような動機のよるものかわかっていないが、昨今のアメリカでは、党派対立の高まりとともに、政治的な暴力を許容する傾向が一貫して高まってきた。その傾向は、右派・左派、共和党支持者・民主党支持者ともにみられるものだ。 今回の大

    …続きを読む
アメリカ大統領選挙2024

アメリカ大統領選挙2024

最新ニュースはこちらから[もっと見る]