想定を超えたサイバースパイの手口 JAXAが繰り返し狙われる理由

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編集委員・須藤龍也
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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が昨年6月以降、複数回のサイバー攻撃を受けていたことが朝日新聞の取材で判明した。機密指定を受けた大量の情報が外部に流出した恐れがある。

 ハッカー集団は、JAXA内部の機密情報を盗み取ることが狙いとみられる。米マイクロソフト社のクラウドサービス「マイクロソフト365」に不正アクセスし、幹部職員らの保有する文書ファイルがハッカーに不正に閲覧されたり、外部に持ち出されたりした可能性がある。

 これらは、サイバーエスピオナージ(電子的なスパイ活動)と呼ばれる活動の一環とみられる。不正アクセスされたファイルには、秘密保持契約(NDA)を結んだ米航空宇宙局(NASA)やトヨタ自動車防衛省などとやりとりした機密情報も含まれていたという。

 なぜ繰り返しJAXAは狙われたのか。それは、JAXAが持つ科学技術と知的財産、そして政府の情報収集衛星の開発を担うなど国の防衛や安全保障に直結する事業領域が影響していると考えられる。

 JAXAもウイルス対策ソフトの導入やネットワーク監視など、一通り厳重なセキュリティー対策を講じてきたはずだ。だが、ハッカー集団の手口は想定を超えたといえる。

 それはJAXAのネットワー…

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