清水ミチコさんに聞く①
2021年11月9日に99歳で亡くなった瀬戸内寂聴さんは、独特な語り口で、世の中に多くのメッセージを残してきた。長年、寂聴さんのものまねを続けるタレントの清水ミチコさん(63)は、寂聴さんから直筆のはがきをもらい、励まされたという。
――ものまねを始めたきっかけは何ですか。
20年ぐらい前、雑誌の企画で文学者の顔まね写真を掲載することになったんです。私が女性の文学者、竹中直人さんが男性の文学者を担当しました。文学者に扮して顔写真を撮り、交互に掲載していきました。
雑誌社の担当者とアイデアを出し合い、吉本ばななさんや俵万智さんら、さまざまな方に扮したなかで、寂聴さんの顔まねもしたんです。もちろん、笑顔の顔まねです。
――寂聴さんといえば、あの笑顔が印象的です。
掲載された顔まね写真と、礼状というか、おわびというか、「勝手に、こんなことをしてすみません」という内容を書いて、寂聴さんにお送りしました。顔まねをされて笑いものになるわけですから、ふつうは愉快ではないと思うんですよ。
ほかの人たちに送っても返事がくることはほとんどありませんが、寂聴さんは丁寧なはがきをくださいました。「私のようなものを、まねてくださって、うれしいです。ありがとうございます。これからもがんばってください」という内容でした。直筆ですよ。
お忙しいのに、わざわざ書いてくださって、なんて心の広い方なんだろうと感動しました。謙虚で、器が大きく、気づかいがすごい。改めて尊敬しましたね。
――声まねもされていますが、どんなことがきっかけですか。
清水さんが一度だけ、寂聴さんのものまねをできないと思ったときがあります。記事の後半で明かされます。
一度だけ、ものまねできないと思ったことは
東日本大震災の前だったと思…
- 【視点】
清水ミチコさんのものまねは、対象の方の分霊を降ろしているかと思うくらい、声色を再現されています。武道館のイベントで寂聴さんのものまねも拝見したことがあります。寂聴さんそのものの話し方でネットショップのグッズを紹介されたので爆笑の渦でした。寂
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