対照的だった石川祐希と中垣内監督 完敗でも見えてきた五輪の頂上

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木村健一
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 東京オリンピック(五輪)第12日の3日に行われたバレーボール男子準々決勝で、日本は前回王者のブラジルから1セットも奪えずに敗れた。試合後、エースで主将の石川祐希と中垣内祐一監督の言葉や表情は対照的だった。

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日本男子バレー史上「最高」の逸材、石川祐希。イタリアでの成功の裏にあった秘密とは?日本代表のキャプテンに込めた思い、恩師らが語る「学生時代」など、龍神NIPPONの大黒柱の素顔に迫ります。

 両チーム最多の17得点を挙げた石川は試合後、泣いていた。

 「非常に悔しい気持ちしかない。全員がベストパフォーマンスを出してもこの結果しか出せなかった。ブラジルより実力がなかった。力の差。悔しい、悔しいです……」

 第2セットは中盤までリードしていた。石川が打つと見せかけて、サウスポーの西田有志にトスを上げる「フェイクトス」も相手を翻弄(ほんろう)した。

 しかし、17―14から石川のバックアタックがアウト。ここから6連続失点して、このセットを失った。

 石川は自身のミスを悔いた。

 「僕のアウトから流れが変わってしまった。1本のミスがこのような結果を招く。僕たちは簡単に点が取れるチームではない。勝っていくためには、その一本を取れるときに取らないと。今まで以上に追求しなければいけない」

 石川にとって初めてのオリンピックでの目標は、「メダル獲得」だった。

 2019年のワールドカップ(W杯)では、誰も口にしなかった「メダル」を目標に掲げた。石川の言葉に刺激されるように他の選手たちも口にするようになった。強豪国がベストメンバーではなかったとはいえ、日本は28年ぶりの4位に入った。

 迎えた東京五輪。日本は1992年バルセロナ五輪以来、29年ぶりの8強に入った。それでも、石川は満足していない。世界最高峰のイタリア1部リーグ(セリエA)で6季プレーしてきた志は高かった。

 一方の中垣内祐一監督は、東京五輪の目標を「1次リーグ突破」と言ってきた。1日、1次リーグ最終戦のイラン戦をフルセットの末に制し、達成していた。

 監督はブラジル戦後の取材エ…

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この記事を書いた人
木村健一
スポーツ部次長|高校野球・ゴルフ担当
専門・関心分野
スポーツと社会・ビジネス、調査報道、オリンピック、野球、ゴルフ