もったり、ほっこり、じんわり。秋を味わう栗のポタージュ | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]
料理家・冷水希三子の何食べたい?
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もったり、ほっこり、じんわり。秋を味わう栗のポタージュ

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに答えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は今が旬の栗を使った、じんわりおいしいスープをご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。いよいよ秋の足音が聞こえてきましたね。今年も暑かった……。

冷水 10月に入って、ようやくホッとひと息つけた感じですね。涼しい風も吹き始めて、しみじみ秋だな……と感じる日も増えました。

―― 楽しみにしていた秋の食材も、少しずつ増えてきましたね。スーパーに行くのがワクワクします。

冷水 夏から秋へ、ガラッと食材も変わる季節ですからね。楽しいです。

―― 今日は早速、秋の食材を使ってお料理を作っていただきたいなと思っています。さつまいも、かぼちゃ、きのこ、栗……悩みます(笑)。

冷水 ほくほく系の食材がおいしい季節ですね。

栗が水につかった写真
最大の難関は皮むき。熱湯に1〜2時間浸しておくと、鬼皮が柔らかくなってむきやすくなります

―― ちょっとこれは私のすごく個人的なお願いになるのですが……

冷水 あら、いつもじゃないですか?(笑)

―― 言われてみれば、そうですね(笑)。以前、オーストリアのウィーンを旅行した時に、レストランで栗のポタージュを飲んだことがあるんです。それがもう、忘れられないおいしさで! 日本のレストランではあまりお目にかかることができなくて、もう一度食べてみたいとずっと願ってきたんです。

冷水 まあ、思い出の味なんですね。じゃあ、それを作ってみましょうよ。

―― いいんですか!?

冷水 お安いご用です……と言いたいところですが、栗は皮むきが大変なので、応援してくださいね。

―― 心の底から応援します!

もったり、ほっこり、じんわり。秋を味わう栗のポタージュ
包丁を使って、慎重に。途中、手が痛くなったら、休み休みやってくださいね

冷水 頑張るポイントがあるとしたら、本当にもう皮むきに尽きます。ということで、頑張ってむいていきましょう。熱湯をたっぷり入れたボウルに栗を入れて、1〜2時間おいておくと、鬼皮が柔らかくなって、ずいぶんむきやすくなります。

―― それでも……大変そうですね。

冷水 慣れれば平気ですよ。まず鬼皮をむいて、その後に薄皮をむいていきます。少々薄皮が残っていても、その渋さもまたおいしいので、お好みで。

―― お友達とおしゃべりしながら皮むきするのも、楽しそうです。

冷水 鬼皮と薄皮がむけたら、1個を4等分にカットします。ここまでくれば、あとは簡単ですからね。

―― おいしいものを作るには、忍耐あるのみですね(笑)。

もったり、ほっこり、じんわり。秋を味わう栗のポタージュ
バターは手で小さくちぎってのせると、素早く溶けて、全体に馴染みやすくなります

冷水 鍋にカットした栗と塩ひとつまみを入れて、そこに小さくちぎったバターをのせます。水100mlを加えたら中火にかけて、沸騰するまで待ちます。

―― すごくシンプルな調味料ですね。

冷水 栗の味を堪能していただきたいのでね。沸騰したらセージを加えて、弱火で30分ほど煮ます。栗が柔らかくなるまで、コトコトとね。

―― この栗の量に対して、水が100mlは、かなり少ないですね。

冷水 煮るというよりは「蒸し煮る」という感じです。水が少ない方が、栗の甘みや風味が出てくるので。あとで水を加えますので、ご心配なく。

―― なるほど!

冷水 さて、栗がいい感じに柔らかくなったので、水と牛乳を加えましょう。その前にトッピングに使う栗を6かけらほどと、セージを取り出しておきます。中火にして、水100mlと牛乳200mlを加えてください。沸いたら弱火にして、5分ほど煮ます。

―― 水と牛乳が同量ですね。もっとミルク感たっぷりなのかと思いました。

冷水 そこはお好みですね。今日は栗の風味を全面に出したいので、牛乳は控えめにしました。一度試してみて、お好みで調整してください。

―― 理想の栗ポタージュへの道ですね。

もったり、ほっこり、じんわり。秋を味わう栗のポタージュ
牛乳を加えたら、ハンドミキサーで滑らかになるまで攪拌(かくはん)します。水分量は好みで調整を

冷水 さて、仕上げにミキサーにかけましょう。全体が滑らかになったら鍋に戻し入れて、塩で味を調えます。冷めていたら好みの温度まで温めてから器に盛り、トッピングの栗とセージを飾ります。

―― わ〜、見た目からして、ほっこりします……。

冷水 どうぞ、熱いうちに食べてみてください。

―― おお……これはなんというか、栗感がすごいですね! もったりした舌触りと、栗の優しい甘さがたまりません。飲むというより、食べるスープという感じです。

冷水 ウィーンで食べた味と近いですか?

―― ウィーンで食べたものは、もう少しサラッとして、ミルク感が強かったように思います。もしかしたら栗の種類の違いかもしれませんが、今日のポタージュは和栗の素朴さが全面に出ていて、これはこれで最高においしいです。

冷水 今日は水と牛乳を控えめにして、もったりした感じを出したので、サラッとした食感が好みだったら、水分を調整してくださいね。

―― はい。でも和栗の魅力を感じるなら、これくらいのもったり感がいいと思います。デザートのような感じもしますし、これまでに体験したことのない、新しいポタージュです。ああ、秋だな……って、心底感じます。

冷水 それはよかったです。パンを添えてもおいしいので、ぜひ試してみてください。

栗のポタージュ

◎材料(2~3人分)

  • 400g〜500g(正味300gくらい)
  • バター
    10g
  • セージ
    2~3枚
  • ひとつまみ
  • 水A
    100ml
  • 水B
    300ml
  • 牛乳
    200ml

  1. 栗をボウルに入れ、たっぷりの熱湯を注いで1~2時間おく。
  2. の栗の鬼皮と渋皮をむいて、1個を4等分に切る。
  3. 鍋にの栗と塩ひとつまみ入れ、小さくちぎったバターをのせて水Aを入れる。中火にかけて沸いたらセージを入れ、弱火で30分ほど栗が柔らかくなるまで蒸し煮る。
  4. 栗を6かけらほどとセージを飾り用に取り出してから中火にし、水Bと牛乳を加える。沸いたら弱火にして5分ほど煮る。
  5. をミキサーにかけ、全体が滑らかになったら鍋に戻し入れ、塩で味を調える。
  6. 器に盛り、飾り用の栗をのせる。

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