片岡愛之助さん「思い切りはじけて楽しみたい」 市川中車さん、中村壱太郎さんらそろい踏み 11月に立川立飛歌舞伎特別公演
片岡愛之助さん、市川中車(ちゅうしゃ)さん、中村壱太郎(かずたろう)さんら人気の歌舞伎役者が出そろう「立川立飛歌舞伎特別公演」が11月に開かれる。演目は、藤間勘十郎さん演出の「新版 御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)」と、新作舞踊の「玉藻前立飛錦栄(たまものまえたちひのにしきえ)」。会場の立川ステージガーデン(東京都立川市)は客席数2500席と、歌舞伎座よりも大きな舞台。8月末に東京都内で開かれた制作発表で出演者らが意気込みを語った。
「御所五郎蔵」は歌舞伎の古典として人気の高い作品で、前衛的な表現で知られる木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一さんが再構成し、藤間勘十郎さんの演出で新版として上演する。御所五郎蔵と後室百合の方の二役を演じる愛之助さんは「別の役者が演じているのかなと思っていただけたら幸い。思い切りはじけて楽しみながら皆さんと作り上げていきたい」と話した。
また、五郎蔵の敵役・星影土右衛門を初役で務める中車さんは、「悪役というよりも大きく演じるということを念頭に置かなければいけない。元々の『御所五郎蔵』を大きく書き換えていく意欲作と聞いているので全力でぶつかっていきたい」と抱負を語った。
新作舞踊の「玉藻前立飛錦栄」では、中村壱太郎さんが九つの役を早変わりし、宙乗りを披露する。脚本と演出を務める勘十郎さんは「何より壱太郎さんの早変わりが見どころですが、役によって踊りが変わるのが本当に難しく、そこに注目していただきたい。錦絵のように華やかな作品にしたい」。
宙乗りに挑む壱太郎さんは「人生で初めて空を飛びます。(宙乗りの)経験のある愛之助さんに教えてもらいながらしっかり務めたい」と表情を引き締めた。また公演に向けて「子どもにも大人にも楽しかった、驚いた、面白かったと思ってもらえるような踊りにしたい」と語った。
「立川立飛歌舞伎特別公演」は不動産業などを展開する立飛グループの創立100周年記念事業で、昨年に続く2年連続の開催となる。会場は、約2500席の収容を誇るJR立川駅至近の「立川ステージガーデン」。昨年も出演した中車さんと壱太郎さんによると、会場は「屋内でありながら屋外を感じさせる広さ」(中車さん)で、「ライブ会場のような熱狂が伝わってくる」(壱太郎さん)という。
今回の会場では両花道を設置。愛之助さんが「こんな長い花道はほかにないのでは」という、二つの花道を生かした迫力のある演出も見どころだ。
同市に本社を置く立飛ホールディングスの村山正道社長は制作発表で「世界を見ると、長く生き残っている街というのは芸術や文化の根付いた街。錚々(そうそう)たる方々が演じる歌舞伎を、地域の皆様をはじめ多くの方に実際に見て楽しんでいただき、立川が芸術文化の街となればうれしい」と話した。
公演は11月21日から24日の4日間。それに先立って、11月17日には立川市の「サンサンロード」でお練りが催される。立川の街が歌舞伎に彩られる初冬が待ち遠しい。
立飛グループ創立100周年記念事業 立川立飛歌舞伎特別公演
日時:11月21日(木)~24日(日) 13時開演
会場:立川ステージガーデン(JR立川駅徒歩8分)
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