シルバー・レイの命名式クルーズとS.A.L.T.プログラムで体験したイベリアの美食&美酒
世界有数のラグジュアリークルーズライン、シルバーシー・クルーズの最も新しい客船シルバー・レイ。その命名式クルーズがポルトガルのリスボン港発着で6月8日から行われました。
ヨーロッパの香り漂う粋でオシャレなクルーズ船が、いよいよ本格デビューです。
■連載「上田寿美子 クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの筆者がご紹介します。
ポルトガルで再会したシルバー・レイ
シルバー・レイを初めて見たのは、昨年(2023年)12月、ドイツのマイヤー造船所。すでに水に浮かんではいましたが、建造途中の姿でした。
その半年後、美しく立派な客船として完成したシルバー・レイにリスボンで再会できるなんて、大感激! バーティカルバウという直線的に立ち上がった船首、後ろに張り出した船尾は、片側だけに階段を配置するなど、この船の設計コンセプトである「アシンメトリー(左右非対称)」が一目でわかるデザインです。
船内に入れば、3層吹き抜けのバー。2階建ての劇場。海に舞い降りるようなガラス張りのエレベーター。そして客室は、すべてがベランダ付きのスイート。しかもバトラー(執事)のサービスもあり、至れり尽くせりです。
しま模様のレストランと、ミシュランシェフのグリーンストロノミー
シルバー・レイの特徴は、パブリックルームが美しくユニークなこと。たとえば、10デッキのザ・マーキーは、左右が吹き抜けになり、テーブル横に花の咲く木が立ち、格子の天井から降り注ぐ光で部屋がしま模様に染まるめずらしいレストラン兼ラウンジです。
潮風を感じながら食べるヘルシーメニューの朝食。隣接するスパッカ・ナポリの焼きたてピッツァが食べられるランチ。夜は明かりをともした一段とロマンチックな雰囲気の中で、熱い石で肉や魚介を焼くホットストーンレストランとなり、時間帯により表情が移り変わる素敵な場所です。
プールはあえて片側に寄せ、中央にデッキチェアを置き、反対側にプールバーを配置したアシンメトリーのデザイン。プールの近くにはオレンジの木があるパティオを設け、船上の木陰のようなスペースは読書にもピッタリ。テーブルの上のボウルには、いつも「今、もいだばかりです」と言わんばかりにオレンジの実が置いてあるのも愉快です。
船内レストランのラ・テラッツァは、朝食ビュッフェの色とりどりのフルーツコーナーが見事。さらに、ジュースコーナーでは果物、ヨーグルト、ハチミツなどを選び、自分好みのスムージーも作ってもらえます。そして、ここは夜になるとムーディーなイタリア料理レストランに変わります。
ジャズクラブのシルバー・ノートは、ジャズと料理が楽しめる大人の隠れ家のような場所。さらに、アラカルト料理中心のエレガントなアトランティードも、航海域の料理が提供されるS.A.L.T.キッチンも、食事代は乗船料金に含まれているので、多彩な食の世界を気軽に満喫できます。
また、日本料理のカイセキは、夜は有料となりますが、昼は追加料金なしで、すし、ラーメン、うなぎ、ウニなどを日本酒と共に食べることができるので、遠く日本から離れていても、ちょっと一息つけるのがうれしい点です。
一方、高級フランス料理のラ・ダムは1人160米ドルと有料ですが、キャビア、フォアグラ、ロブスターなどの高級料理が、素晴らしいサービスと共に提供されます。加えてシルバー・レイから始まったのが、ミシュラン二つ星シェフのジャン・リュック・ラバネルが考案した「グリーンストロノミー」のコース料理。自然の恵みをたたえ、植物由来の素材を多用した料理で心にも体にも栄養を届け、大地の豊かさを味わってもらおうというコンセプトだそうです。