失敗作の中に案外いいものが 永瀬正敏が撮ったアメリカ(277)
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回はアメリカでの一枚。写真を撮る中で感じた真理とは?
こちらはどこの空港だったろうか?
アメリカのどこかの空港で乗り継ぎの際に乗った、
バスの中から撮影したんだと思う。
これだけかなりの量を長年撮影していると、
たまにそういう写真が出てきてしまう。
特にこちらはモノクロプリントが出てきて、
それをスキャンしたものなので、
ネガのように前後の写真で確認することができず、
余計に場所の特定が困難になってしまう……。
それでもなぜかこの写真が気に入って、
今回掲載させていただいた。
1989年に日本で公開された、
ジム・ジャームッシュ監督作品『Mystery Train』。
その中で僕が演じたJunは、
「どうしてそんななんでもないものばかり撮るの?」
みたいなことを問われ、
「そういうものこそ忘れちゃうだろ」
と答える。
まさに真理かもしれない。
当時ジムさんも僕もコンパクトフィルムカメラで、
バンバン写真を撮ってしまい、しばらくしてプリントした写真を、
あとから見返した時、
「これなんだっけ?」「さぁ?」「でもなんか好きだな」
なんてやりとりして笑いあったことがある。
今のデジタル時代は、
さらに何も気にせずにバンバン撮影できるし、
その場で気に入らない写真はすぐに削除できてしまう。
もしかすると失敗作の中に、
時間を経て見てみると案外いいものがあるかもしれないのに。
僕はそういう後悔をしないようにしたいと思う。
(大量のデータがたまっていくのは大変ではあるけれど……)
写真:紙焼きプリントをスキャンしデータ化
確かに今のデジタル時代は気に入らなければすぐに削除してしまいますね。
コンパクトフィルムカメラで撮った写真は失敗してしまうかもしれませんが、それも含めて味があって良いのかもしれませんね📸
私も何でも写真に撮りたくてカメラを向けてしまうので、フィルムカメラの頃から大量の写真が😂
デジカメになってからは更に気軽に撮ってしまうので、確かに時間が経って見返すと思いがけない写真だったりハテ?って写真だったりw 永瀬さんとは次元が違いますがとっても共感してしまうお話でした。