当たり前を排除!? コンパクトな「インディアナ300」シリーズにユニークなレイアウト登場
昨年のデビュー以来、そのコンパクトさと、リーズナブルな価格設定で人気を博したトレーラー「インディアナ300シリーズ」(ポーランド製)に、新たなレイアウト「SN」が登場しました。
お披露目の場になったのは、先日開催された東京キャンピングカーショー。新レイアウトモデルの一番の特徴は「マルチルーム(=トイレ)がない」ことです。
欧米のキャンピングトレーラーは、一部のフォールディングタイプ(走行時には小さく折りたたむタイプ)を除き、どんなに小さくてもキッチンやトイレを備えているものですが、そんな「当たり前」を思い切って排除したユニークなモデルといえるでしょう。
ちなみに、トレーラーの登録ナンバーにもさまざまな種類があります。キャンピングトレーラーは自走式と同じ特種車両=8ナンバーで、自走式と同じ構造要件を満たしていないと8ナンバー車として認められません。キッチンはキャンピング車の構造要件に含まれていますから、備えておく必要があります。しかし、トイレは構造要件にはないので、装備がなくても問題ありません。
手に入る「1クラス上の広さ」
日本が欧米と大きく違うのは、少し走れば人がいる環境(集落)に出会えること。100km走っても建物が1軒もなかった、なんていうことはまずありません。まして、キャンプ場やRVパークなど、トイレ設備が整っている場所を中心に利用するなら、トイレを自車に備えていなくても、さほど問題はないでしょう。実際、「トイレは不要」「後始末が面倒だから、使ったことがない」というユーザーが多いのも事実です。
そんな声に応えて、インディアナ・RV(本社:神奈川県綾瀬市)が、マルチルームなしのレイアウトをメーカー(ポーランドのニワドー社)にオーダーしたのが、今回の「SN」です。
マルチルームをなくせば、それだけ室内スペースは拡大します。もともとコンパクトな「インディアナ300」ですから、その恩恵はひとしおです。
実際、車内に入ってみるとスペースの広さは一目瞭然。同社のラインナップの中でも、一クラス上の「エメロード376」と変わらない広さです。マルチルームをなくしたことで、視線を遮るものがなくなり、数字以上に広さが感じられます。
レイアウトは、就寝定員が違う2種類があります。
SNタイプ
車内前方に4人掛けダイネット(展開すればダブルベッド)+後方に常設2段ベッドがある(就寝定員4人)
SN2タイプ
車内前方の4人掛けダイネットはSNと同様。後方が2段ベッドではなく2人掛けダイネット(展開すればシングルベッド)がある(就寝定員3人)
どちらのタイプも、キッチンは「インディアナ300シリーズ」共通の2口コンロ(カセットガス仕様)と丸型シンクがセットされています。
小型車でもけん引できるリッチなワンルーム
「マルチルームがない」こと以外に、どんな特徴があるでしょうか。
気になる装備は、他の「インディアナ300シリーズ」同様のクオリティーです。
具体的には
・ドイツAL-KO社製のシャシーを採用
・壁面は「押出発泡ポリスチレンフォーム(=XPS)」芯材のサンドイッチパネル構造。断熱・防音に優れる
・窓は全てアクリル製二重窓(断熱効果に加え、結露防止にも)
コンパクトだからといって品質には一切妥協なし。バッテリーやヒーター類は、スタンダード・V・VP・VIP HybridⅡの4グレードが用意されています。
全長4500㎜×全幅2050㎜のコンパクトサイズで車両重量は750kg以下。つまり、けん引免許が不要なうえに小型車でもけん引が可能です。同社の降旗貴史社長は、このモデルを1500ccの小型SUV、トヨタ・ヤリスクロスで牽(ひ)いているといいます。
「けん引してみた印象は、とにかく『無理して引っ張っている感』がありません。HV車なら、電源車替わりにもなって便利ですよ」(降旗社長)
コンパクトカーでけん引できるとなれば、トレーラーへのハードルはぐっと下がります。最近では国産車・輸入車を問わず、純正オプションにヒッチメンバーを用意している車も増えてきました。
「トイレなし」と割り切ることで、コンパクトな空間をより有効に使えるようになった新モデル。自分たちの旅のスタイルや遊び方に合いそうなら、悪くない選択肢だと思います。