NYのオアシス、コミュニティー・ガーデンで憩いの時
ニューヨーク在住8年目の、久保純子さん。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。
「ママ、面白いところがあるよ!」。大学を卒業したばかりの長女が、私にお薦めしてくれた場所。それはおしゃれなカフェでも、最新のスポットでもなく、市内のコミュニティー・ガーデン(共同庭園)だった。
「いつも友達と行って、おしゃべりしながらのんびり過ごしてるのよ」と長女。ファッションが大好きで、いつもとびっきりおしゃれをして出かけて行く先が、コミュニティー・ガーデンだったとは! 俄然(がぜん)、興味が湧いた。早速、その日のうちに、娘に連れて行ってもらうことに。
変貌を遂げたロウワーイーストサイド
向かったのは、ロウワーイーストサイドの「9th Street Community Garden & Park」。マンハッタンの南に位置するロウワーイーストサイドは、古い建物が立ち並び、路地には錆(さ)びた非常階段がむき出しになり、一見「怖そう」な印象すらあるが、今や、はやりの紅芋や抹茶のかわいいスイーツ店、エッジの効いたギャラリーや古い空き家を利用した古着屋さんが連なる、文化的なエリアへと変貌(へんぼう)を遂げている。その一角にガーデンがあった。
緑が生い茂るフェンスの中へ入ると、そこはちょっとした森だった。まずは小さな書庫が迎えてくれて、にこやかに本を手にする人の姿にほっこりする。道なりに歩んでいくと、両側にはマンハッタンではなかなか出会うことのないドクダミや赤紫蘇が植えられている。きっとコミュニティー・ガーデンを手入れするボランティアさんたちの嗜好(しこう)であろう。池には亀や鯉(こい)もいる。雑然とした印象の中に、人が関わっている温もりが感じられる。
この日は土曜日とあって、集まってピクニックパーティーをしているご家族や話に耽(ふけ)る人々が。定期的にボランティアをしているという30代の男性に話を伺うと、コミュニティー・ガーデンは、地域の人々との出会いの場所だという。普段は、家と会社の往復で代わり映えのしない生活だが、ここに来ると、いろいろな人が居て「開眼する」と。ボランティアとして何をするのか?と尋ねると、「マンスリーミーティングでガーデンに何を植えるか。どんなイベントをするか」話し合うそうだ。ロウワーイーストサイドの仲間の輪ができるのが嬉(うれ)しいと話す。
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ガーデンは植えて、世話をする人も見る人も癒されますね。会話が生まれるのもガーデン。ニューヨークのような大都市でこのような取り組みが行われていることに敬意を送りたいと思います。
これ、とても良いですね。特に良いと思ったのが必要以上に綺麗にしていない、出来る限り自然な空間を演出しながら手を入れているところ。単に綺麗な庭はたくさんあるけど自然な空間を味わえるのは都会では珍しいですね。本来人間が求めている、自然と感じている心地よい空間かもしれません