「好き」を追求した自邸リノベーション。アンティークをふんだんに
自然に近いところで子育てもいいねと、次女が生まれたタイミングで海辺の町に移り住んだ、知花くららさん。改めて気付いた海の魅力、海辺の町でやってみたいことや日々感じた思い、家族との時間、海でつながったご縁……。海辺の町での日々の暮らしを、写真とともにつづっていきます。
さて、今回は前回の記事の続きを書いてみたいと思います。我が家の一大イベント、自邸のリノベーション。
リノベーションのテーマは「空間カラーリングとアンティーク」ということで、前回はカラーリングや塗装のお話をしたので、今回は大好きなアンティークについて。
リノベーションの設計・デザインを始めるにあたり、私が最初にやったのは、「モノ探し」。家具だけではなく、建具が重要なキーポイントでした。
まるでタイムスリップしたようなエントランスドア
一番時間をかけたのは、エントランスドア探し。
これがなかなか、ピンとくるものが見つからず。既製品も決め手に欠ける……。
そんな中、そういえばとふと思い立ち、グランピエ横浜店へ(横浜店は2024年7月27日で営業終了。お店は南青山の新店舗「GRANPIE NÓMADA」に引き継がれるそう)。確か、店内の奥の方に大きな扉があったような……。
これを見せていただいた時、もう、私の心は虜(とりこ)。観音開きのダブルドア。扉枠まであって、おまけにそこには手彫りの鎖のレリーフが。
聞けば、インドのお城の扉だそうで、150年から200年ほどのアンティークチーク。眺めているだけで、まるでタイムスリップしたような感覚に。
一目見て、私の心は決まっていました。あとは、施工上の課題をクリアする必要が。現場監督さんとも相談し、まずは重いチークの扉をしっかり支えるための下地も施工していただくことに。
ただ、一つ気がかりなのは、海辺の環境における扉の劣化。
そこで、このアンティークの扉に、さらにガラスのテンパードアを設置することに。あの、商業施設などでよく見かけるタイプのドアです。
「どんだけアンティーク好きなのよ!」と、友人たちにも笑われちゃうくらいで、費用もその分すごくかかるけど。それも全ては、遠い異国からはるばる日本へやってきた美しいものを、日常使いしながらも、できるだけ長く慈しむため。
テンパードアは、西尾硝子(がらす)鏡工業所さんに施工して頂きました。丁寧なやりとりがありがたく、心強かったです。
器を美しく収納したキッチン
そのほかに、トイレ扉、キッチンバックボード用の扉が続々と現場に到着。
以前に、こちらの連載で大好きな民藝(みんげい)のことを書いたのですが、何を隠そうかなりの器好きの私。
器たちを美しく収納してあげたい――。そんな一心で、キッチンバックボードを一面の食器収納にすることは最初から決めていました。
インドの建具は観音開きのことが多いのですが、今回は3組のペアドアを使用。うち2組は、スライドにして食器棚に。右端の格子の扉は観音開きにして、ウォーターサーバーやカトラリー、そのほか料理関係の書籍や小物などを収納。
ダイニングキッチンのスペースと、リビングをゆるりと区切るのはダブルで設けたアーチ状のR開口。R開口のプロポーションの奥深さを知って、とても勉強になりました。
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食器棚上に位置する3連の長方形の窓。
写真右手壁面上の矩形明り取りなど、
よくみれば外からの採光や空気とりがよくデザインされていて、かつ外からの視線をさえぎるようになっている。とくに、窓の外にに見える横木でくまれた外装壁がぐるりと取り囲んでいるのがわかる。
そこへ意匠が好きな家具が配置されていて上質な海辺の暮らしがうらやましく感じられる。