差し込む光、その透明度 永瀬正敏が撮った下田(273)
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回も下田での一枚。坂を下った先に広がっていた景色とは。
静岡県の下田にある円形の海食洞「龍宮窟」。
撮影でしばらく滞在している際、少し足を延ばしてみた。
その先の景色を想像しながら、暗く急な坂を、
(既にこの時点で洞窟を下りる感じなのだが)
カメラを落とさないように注意しながら下りていく。
狭いその坂には落下防止のロープが張ってあり、
上がって来られる方々と、呼吸を合わせ、
うまい具合にすれ違いながら、その時を待った。
大小様々な石が敷き詰められた地面の先に、
その景色は広がっていた。
頭上にぽっかりと空いた空間から差し込む光が、
水面にあたり、その透明度の美しさを際立たせる。
前回も書いたが、これを計り知れない時間をかけ、
作り上げる自然の力。
意図的に作ろうとしても、このようには決してできないのだろう。
この場所は出演した映画でも使われている。
恋人同士がそれぞれの思いを抱え、
2人だけで最初で最後の夜を過ごす。
重ねる肌の温かさを感じながら……。
そして2人は……。
この場所はそのシーンにぴったりだな、と思った。
清らかな時が流れているこの場所が。
この一枚は自然の力で作られているのかと思うと、とても素晴らしいです!
映画も観ましたが、まさに打って付けの場所でしたね🎞️
かけがえのない時間を過ごすのにピッタリなロケーションで大好きなシーンです。そしてこの写真も。
澄んだ水の綺麗さ、岩の壮大さ、そのアーチの先に果てしなく続いているのだなと感じられる海原、写真を眺めていたら行ってみたくなりました。
すごいなー
流れてるのに止まってるような時間の不思議を感じます