生き抜いてきた力強さ 永瀬正敏が撮ったアメリカ(264)
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回もアメリカでの一枚。今も心に響いている言葉とは。
前回、ユタで撮影したアメリカ先住民の方の、
モノクロームの作品を掲載した。
今回はカラーのもの。
あの時は現地でFILMを現像しプリントして、
日本に持ち帰った。
時間とともにネガフィルムも欠損したり、
傷が入ったり(僕の管理が行き届いていないせいだが……)、
コンディション的にはあまり良くない。
でも、それを超える何かが写っている気がする。
それはひとえに撮らせていただいた彼が、
醸し出しているものに違いない。
深く刻まれたシワや武骨な手。
何より俯(うつむ)いているのに、慈愛のある深く鋭い目が、
今でも僕に何かを訴えてくる。
けっして優しいだけではない、
どちらかというと厳しい環境の土地と、
ともに生き抜いてきた力強さ。
実際ここでもいつか発表したいが、
様々な動物の朽ち果てた姿を目にすることが多かった。
その環境を受け入れ共存してきた全ての時が、
彼の中に流れている。
別れの時、彼は一つの小さなお守りを、
僕にプレゼントしてくれた。
わざわざ昨夜、そのお守りに祈りを捧げてくれたんだそうだ。
「離れていても関係ない。僕たちは出会い、もう繋(つな)がっているから」
彼がお守りを手渡しながら、
僕にかけてくれた言葉が、
今でも心の奥に響いている。
写真:ネガフィルムをスキャンしデータ化
『離れていても関係ない。僕たちは出会い、もう繋がっているから』
彼の言葉、素敵過ぎます✨
小さなお守り、大切に😊
祈りを捧げてくれたお守りを手渡してくれた時に添えられた「離れていても関係ない。僕たちは出会い、もう繋がっているから」って言葉さえもがお守りのようで✨
素敵な写真に沁みるエピソードも聞かせて頂けるこの連載は本当にうれしいです✨
美しいものを撮る技術だけでなくて、素晴らしいショットになる瞬間を見つけに行ける才能が、写真家には必要で、永瀬さんはそれをおもちなんだあと思います