江戸の美・近代の美・縄文の美……時空を超えた先にある「日本の美」にふれる
魂の宿る芸術・美術品は、どんなに時代が異なれど私たちを不思議と惹(ひ)きつけ、時に固定観念を取り払い、思わぬ気づきを与えてくれます。新鮮なインスピレーションを求めて、時空を超えた「美」に会いに行きましょう。
【江戸の美】葛飾北斎と石川雲蝶―時代を代表する天才芸術家2人が探求したもの
町人文化が栄えた江戸時代を代表する芸術家と言えば、葛飾北斎と石川雲蝶は外せません。
浮世絵師として活躍した北斎は「冨嶽三十六景」などに代表される圧倒的な画力と奇抜な作風で知られていますが、生涯にわたり「波」の表現を探求していたことは意外と知らない人も多いかもしれません。「男浪」「女浪」は、80代後半の作品。最晩年の北斎が到達した究極の波の形でした。
葛飾北斎
【岩松院/八方睨み鳳凰図】北斎の晩年の傑作。鳳凰の目がどこから見てもこちらを睨むようになっています
【北斎館/男浪(おなみ)・女浪(めなみ)】波の勇壮な様子を強調した男浪と、比較的穏やかに描かれた女浪からなる一対の名作
石川雲蝶
「日本のミケランジェロ」と称される雲蝶は、彫り物の名匠。色鮮やかで躍動感あふれる木彫り作品を多く残しましたが、木彫りのみならず、石彫り、絵画、寺院の設計、襖絵(ふすまえ)や漆喰(しっくい)細工、障子などあまりに多様な作品が残るのが前述の称号のゆえんです。ジャンルにとらわれず圧倒的な美とダイナミックな世界観を探求し続けた謎多き芸術家としてファンを魅了します。
【西福寺開山堂/道元禅師猛虎調伏の図】雲蝶の代表作。虎に襲われそうになった道元禅師を龍神が守ったという物語を表現
時代を超えてなお人々を圧倒し続ける2人の天才が生み出す「美」は、一度は見ておきたいものです。
【近代の美】京都迎賓館―日本の伝統芸能と文化が光る空間
江戸以前の日本文化に西洋文化が入り混じり、急速に独特な文化が発展した近代。伝統的な日本建築と現代的な建築技術の融合を目指し設計された京都迎賓館ではまさに、そのような近代の風を垣間見られます。
【京都迎賓館/藤の間】細密な綴れ織が華やかな「麗花」が飾られます。床には藤の花が舞い散る緞通(だんつう)が敷かれています
日本の伝統建築様式である入母屋(いりもや)屋根と数寄屋造りの外観をはじめ、受け継がれてきた文化の息吹を再現したたたずまいで、賓客を出迎えてきました。「歓迎」の花言葉を持つ藤の名を冠した大広間「藤の間」では、日本画家の鹿見喜陌(きよみち)の下絵をもとに39種類の草花が織り込まれた綴(つづ)れ織「麗花」が豪華に賓客を迎えます。お茶のもてなしなどに用いられる「夕映の間」にも、比叡山を月が照らす様子が見事に表現された綴れ織「比叡月映」が飾られます。クラブツーリズムのツアーなら予約の手間は不要で、ガイド付きの参観にご案内します。
【京都迎賓館/庭園】緑や池が建物にとけ合うように配置されているのは、日本の伝統的な「庭屋一如」の思想
京都を代表する「東寺」も訪れ、堂本印象の襖絵が残る通常非公開の「小子房」なども拝観できます。
【東寺/小子房】南北朝時代、足利尊氏が光厳上皇を奉じて都入り。その際上皇が御所として利用したと言われます
「京都迎賓館」参観と京都3つの特別拝観 商品申し込みはこちら
【縄文の美】約1万年続いた平和の中、人々の精神はいかに
近年関心が集まっている縄文時代。約1万年、争い事が少なく非常に平和だったと言われるこの時代の人々の精神も、当時の「美」を通じて垣間見ることができます。
縄文時代の特色の一つが、創造性に満ちた精神だと言われています。土器や土偶の趣向が時期により全く異なっていたり、作り手独自の感性や想像力が発揮されていたりするためです。
【茅野市尖石縄文考古館/国宝・縄文のビーナス】下方に重心がある安定した立像形土偶。妊婦を表現していると言われています
【是川縄文館(八戸市)/国宝・合掌土偶】言葉の通り正面で手のひらを合わせ、ひざを立てて座ったポーズが有名な土偶
代表的なものは、約3500年前に作られたとされる国宝「合掌土偶」。祈りを捧げるような姿から豊穣や安産の祈願を表し作られたとの説が有力です。約5千年前に作られたとされる「火焔型土器」も独特で、こちらは打って変わって燃え上がる焔(ほのお)を思わせる造形。その芸術性には岡本太郎も感銘を受けたと言われています。
【十日町市博物館/国宝・火焔型土器】約8千年前に気候変動で世界有数の雪国となった、信濃川の流域で生まれた土器。※国宝「火焔型土器」は14点あり、時期により展示される土器が変わります
縄文遺跡は北東北・長野・新潟など、初夏でも過ごしやすい地域にも多く残ります。クラブツーリズムのツアーなら、同エリアで、歴史に精通したガイドの同行のもと、歴史・文化への関心度を問わず造詣(ぞうけい)を深められます。