発見?検証!古人の暮らし まるでタイムトラベラー!?ロマンあふれる古代へ
古代史の世界は、まだまだ解明されていないことも多く、その謎について想像し、思いをはせる楽しさがあります。わかりやすく解説をする歴史ナビゲーターとともに「北東北の縄文遺跡群」「吉野ヶ里遺跡」「明日香村」を旅して古代の謎に迫りましょう。
北東北の縄文遺産群と三内丸山遺跡 時期で変化する縄文の遺物
日本独自の文化である縄文文化が花ひらいた北海道6遺跡、青森県8遺跡、岩手県1遺跡、秋田県2遺跡の17の遺跡から成る「北海道・北東北の縄文遺跡群」。豊かな自然の恵みを受けながら1万年以上にわたり採集、漁労、狩猟により定住した縄文時代の人々の生活と精神文化を今に伝える遺産としてその重要性が認められ、2021年、世界文化遺産に登録されました。
縄文時代は、その時期によって土器や土偶に施された趣向が異なり、作り手の豊かな感性や想像力を感じさせるものも多いです。約3500年前に作られたと考えられ、青森県八戸市から出土した「合掌土偶」は、祈りを捧げているような姿が印象的で豊穣(ほうじょう)や安産の祈願を表した土偶だと言われます。日本最大級の縄文集落跡として名高い三内丸山遺跡(青森市)では、たっぷり150分見学。縄文を知り、日本文化のルーツに触れてみましょう。
【縄文時代は約1万年続いた持続可能な社会のモデル】
来村多加史さん(阪南大学国際観光学部教授)
青森県の三内丸山遺跡では「ロングハウス」と呼ばれる大型建物や巨大な「六本柱」建物、岩手県の御所野遺跡では「土屋根」の住居、秋田県の伊勢堂岱(どうたい)遺跡や大湯環状列石では多くの集団が共同で祭祀(さいし)を行った「ストーンサークル」などが注目されます。また、亀ヶ岡石器時代遺跡から出土した「遮光器土偶」、是川縄文館に展示される「合掌土偶」のような特徴ある立体的な土偶に縄文人の心を感じることができます。
弥生時代の謎に迫る九州・吉野ヶ里遺跡 邪馬台国と卑弥呼に思いを巡らせる
九州には、縄文時代に続く弥生時代、古墳時代のロマンあふれる遺跡や古墳が多く残ります。日本最古の神社の一つとされる宗像大社(福岡県)は、世界文化遺産に登録されており、「海の正倉院」と呼ばれる神宝館では、国宝や重要文化財を見ることができる。「漢委奴国王」の文字が刻まれた金印が発見されたとされる志賀島・金印公園と、実物が所蔵されている福岡市博物館はどちらも見どころとして外せません。
弥生時代の集落跡としては日本最大級を誇る吉野ヶ里遺跡(佐賀県)は、たっぷり時間をかけて巡りたいスポットです。毛髪や勾玉(まがたま)など多くの遺物が出土した吉野ヶ里遺跡は、日本の古代史を解き明かす上で極めて重要とされています。『魏志倭人伝』に登場する邪馬台国の時代を思わせる遺跡や古墳を見学しながら、邪馬台国や謎の女王卑弥呼について想像するのも楽しいです。
【弥生時代の暮らしを伝える多彩な出土品に注目】
黒田尚嗣さん(一般社団法人 日本遺産普及協会監事・日本旅行作家協会会員)
吉野ヶ里遺跡には『魏志倭人伝』の記述と符合する祭殿などの跡が残っており、邪馬台国の館の様子と一致するところが注目すべき箇所であり、ムラからクニへと発展をとげていく過程を知ることができます。いろいろな情報が得られる貴重な遺跡なので、継続的な調査が求められます。九州地区においては縄文文化を壊滅させた「鬼界カルデラ」の大噴火についても調査研究が期待されます。
聖徳太子ゆかりの奈良県・明日香村 悠久の時の流れを体感する
聖徳太子誕生の地とされている奈良県・明日香村には、飛鳥時代の貴重な古墳が多く残ります。都塚古墳では、通常非公開の石室内に入ることができ、牽牛子塚(けんごしづか)古墳、越塚御門古墳では、石室の特別公開を見学します。巨石を積み上げた石舞台古墳は、誰のために造られたのか、はっきりとはわかっていません。
明日香村の集落、奥明日香の集落入口は綱で結界が張られており、古代の息づかいを今に伝えています。美しい棚田が広がる景観は、まさに日本の原風景です。
【日本の都に関連する多くの遺跡を現地で体感】
松原 純さん(Nara観光コンシェルジュ・奈良県知事賞受賞・YouTuber)
飛鳥時代に造られた古墳のバリエーションに注目していただきたいです。古墳と一言で言ってもその形状は様々で、被葬者の人物像が反映されると考えられます。有名な石舞台古墳は巨石を使い、力強く立派ですが、牽牛子塚古墳や高松塚古墳、キトラ古墳なども洗練された技術が感じられます。ツアーで効率良く巡ることで、それぞれの古墳を比較できるため記憶に残り、より深く理解することができます。