世代を超えて受け継がれる、心豊かな朝食
雨が木々をぬらすある秋の日、料理家・土井 光さんにお会いするために東京都内にある「おいしいもの研究所」のアトリエを訪ねた。中に入ると、トントントン、クツクツクツ……。そんな料理が奏でる小気味よい音と、部屋中に広がるおいしい香りが私たちを出迎えてくれた。世代を超えて受け継がれていく土井家の朝食。そこにフランスでの生活から得た独自のエッセンスをちりばめた光さんお手製の朝食が、ロイヤル コペンハーゲンの“うつわ”に盛り付けられていく。
料理家。日本の大学を卒業後、フランスのリヨンにある料理学校ポール・ボキューズ学院で学び、フランスでシェフとして就職。フランスの三つ星レストラン「ミッシェル・ゲラール」「トロワグロ」で料理を、その後老舗ショコラトリー「ベルナシオン」でパティシエとして経験を積んだ後、2018年に帰国。料理研究家である父・土井善晴氏の<おいしいもの研究所>に所属し、料理家として活動をスタート。現在は、北海道「北斗文化学園インターナショナル調理技術専門学校」特任教授も務める。土井善晴氏との共著に『お味噌知る。』(世界文化社刊)がある。
両親から受け継いだのは“料理の考え方”
料理研究家・土井善晴氏を父に持つ光さん。食のプロがそろう土井家の“朝食”はどんなものなのだろう?
「家族そろって朝食をとれる週末は、ゆっくりと起きてブランチをすることがよくありました。例えば、父が『おいしいチーズを買ってきた』と言うと、焼きたてのパンを買いに行き、フルーツや野菜を切って盛り付ける。手を加えているのはサッと焼いたオムレツやベーコンだけ、という感じの至ってカジュアルなものでした」
パン屋さんやお店で買ってきた食材をお気に入りのうつわをたくさん使い、きれいに並べるだけで、華やかで豊かな週末の家族の時間に。「ひとりひとり、好きなもの、食べたいものの気分があると思うので、プレートの上で自由に思い思いの朝食ができるのがいいですよね」。
そんなファミリーブランチは、決まって大皿スタイルなのだとか。
「父の家系が大皿で食事をいただくスタイルだったようで、母もその流れをくんでいたのだと思います。それがとても理にかなっていて、それぞれ食の量やその日の健康状態も違うわけですから、好きなものを好きなだけいただくことができる朝食は理想的。そして何より、食卓に楽しさが加わります」
ご家族を思い浮かべながらこしらえたこの日のブランチには、形や絵柄が異なる、ブルーフルーテッドやブロムストのディッシュたちが選ばれ、食卓を華やかに盛り上げた。
「父の『一汁一菜』という考え方、そして母が作ってくれるお味噌(みそ)汁やおにぎりには、なるほどなぁと思うことがたくさんあります。私は両親から料理を受け継ぐのではなく“料理の考え方”を受け継いでいるのだと思います」
それを具現化するかのように、ひとりの朝食には頻繁に1杯のお味噌汁が登場するという。
「私が作る朝食にルールはありません。1日のスタートに、自分をご機嫌にするものが食べたい。ただそれだけなんです。今日のメニューもそう。塩むすび(三角形にとらわれず、ラフに握るのが土井家流)に合わせる味噌汁には、朝食のメインになりうる揚げ焼きした卵やキャベツ、絹さやをトッピング。クロワッサンに合わせた味噌汁には、トマトとカマンベールチーズとパセリを入れ、オリーブオイルをたらりと」
そこには、朝食や味噌汁の定義などまったく存在しない、自由な発想が光っていた。
「これだけの具が入れば、もう出汁(だし)をとらなくてもいいくらい。油もいい仕事をしてくれます。それを盛り付けるうつわも、食卓でマルチに活躍してくれる自由度の高いボウルでいいと思うんです」
フランスでの生活でカフェオレボウルをお椀(わん)代わりにしていたという光さんは、迷わずブルーフルーテッド プレインのボウルにお味噌汁をよそった。そのシーンに、和・洋という枠を超えて使える万能なテーブルウェアである一面が改めて垣間見えた。
「土井家のお味噌汁は、定食の脇役のようなものではなく、肉料理のときは野菜たっぷりのお味噌汁にしたり、タンパク質が足りないときは卵を入れたり……と、食のバランサーとなるものが多いです」。そう語る光さん。1杯の味噌汁の偉大さを教えてくれた
『一汁一菜』を、今の時代に合った形で
フランスのリヨンで料理を学び、三つ星レストランやショコラトリーなどで食のキャリアを積んできた光さん。その月日は7年に及んだといいます。
「フランスでの暮らしのなかで強烈に感じたことは、働き方の違い。フランスの方の多くは、オンとオフの切り替えがとても明確です。例えば、ブレイクタイムは『おいしいコーヒーを楽しむ!』と言って、メールを一切見ないし、仕事の会話もしません。ただただ、その時間を楽しむということに思考をシフト。そこには『あぁ、疲れた』といったネガティブな空気が流れないのです。そして、物事を臨機応変に捉えて動くことも学びました」
食を心から楽しむ光さんのルーツは、まさに土井家+フランス生活から確立されたものなのだろう。活動の拠点を日本に移して数年経ったいま。自分自身の未来の姿を、どのように思い描いているのだろうか。
「私はこれから、父の『一汁一菜』という考え方を大事にしながら、今の時代に合った料理を提案していきたいです。海のことや山のことなど、自然環境に配慮したものでありたいと思っています」
土井家の心を豊かにする食卓とロイヤル コペンハーゲン。 “受け継ぐ”という目に見えないエネルギーがリンクした瞬間だった。
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