ドイツで温泉に絶景、緑をゆったりと楽しむ 世界遺産都市「バーデン・バーデン」の旅
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「ヨーロッパの大温泉保養都市群」として、世界遺産に登録された、ドイツ南部の温泉保養地「バーデン・バーデン」。ヨーロッパ中の王侯貴族や文化人が好んで滞在した高級リゾート地で、温泉や美しい緑、黒い森の実りと自然の恵みを感じながらゆったりと過ごす。そんなサステイナブルな旅に、出かけてみませんか。
温泉文化が世界遺産に
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「ヨーロッパの大温泉保養都市群」として、2021年に世界文化遺産に登録されたのは、オーストリア、ベルギー、チェコ、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの7カ国、11の温泉地。これらの都市の温泉地では、古くから知られていた温泉による治療や、建築や食文化、社交なども含めた温泉文化が1700~1930年代に栄えました。
その登録地の一つであるバーデン・バーデンでは、ローマ時代から使われてきた温泉に加えて、中世から20世紀初頭にかけて発展した歴史的な街並み、そして市街地から少し離れた展望地メルクール山やフレーマーズ山が含まれています。
高級温泉保養所「クアハウス」とカジノ
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訪問初日は7月24日。偶然バーデン・バーデンが2年前のこの日、世界遺産に登録された記念すべき日で、市内巡りのわくわく感が高まります。街中には温泉文化を感じることができる施設がたくさんあります。
約2000年前、バーデン・バーデンで天然ミネラルを多く含む温泉を発見したローマ人は、痛風に苦しむ兵のために湯治場を作ったそうです。その後温泉文化が発展し、16世紀には、温泉施設を整えたスパリゾートの街として栄えました。
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クアハウスは社交の中心地であり、バーデン・バーデンの重要な観光スポット。かつて街の客をもてなすために建てられたプロムナードハウス(1766年完成)が改修、拡大され、現在のクアハウスとなりました。この中にはレストラン、コンサートホール、カジノがあります。
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温泉場といえばトリンク・ハレ(飲泉ホール)。19世紀中ごろ、クアハウスのすぐそばに建設されました。90mの長い回廊は16本のコリント様式の柱が支えています。壁には、伝説や神話、観光地が14枚のフレスコ画で描かれています。
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カジノの歴史は、温泉街の発展と密接に結びついています。今は誰でも利用できる温泉施設ですが、主に18世紀から19世紀にかけては中流・上流階級のための施設でした。その結果、彼らのニーズに合わせて、高級ホテルやカジノが提供されるようになりました。
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ここのカジノは多くの著名人に利用されています。文豪ドストエフスキーや音楽家ブラームスも訪れているという由緒ある場所です。室内のインテリアはネオ・バロックの宮殿を模した豪華な造りで、世界でもっとも美しいと称賛されています。
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ゲームに挑戦したいと意気込んで、夜のゲーミングタイムに入場しましたが、絢爛(けんらん)豪華な雰囲気にのまれてしまい、ただ眺めるだけ。ゲーム台を見学したり、プレーしている方の表情を観察したりするだけでも満足しました。
かつての社交場、並木道を散策
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かつて王族貴族や芸術家、往年の富裕層の社交場だった「リヒテンターラー・アレー(並木道)」を散策。街なかを北から南へ流れるオース川に沿って広がるエレガントな一角にあり、雨上がりの中を行き交う人もどこか優雅に見えます。川沿いの美しい建築やモニュメントも眺めながら散歩を楽しめます。
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牧草地や野原が続く馬車道だったこの通りは現在、緑豊かな並木道です。春から秋までクロッカスやダリア、黄色や赤に染まる秋の紅葉が見られる市民の「緑のサロン」として親しまれています。
「フリードリヒスバート」で伝統的な浴場体験
バーデン・バーデンを代表する浴場は、レジャー感覚で楽しめるモダンな「カラカラテルメ」と、療養や健康増進を主とする伝統的な「フリードリヒスバート」の二つ。印象は、どちらも浴場というより高級スパです。
迷った末、フリードリヒスバートに向かいました。フリードリヒスバートは水着の着用ができないのですが、いつも写真で見ていたローマン・アイリッシュ浴場の大理石浴槽とアーチ型天蓋(てんがい)をどうしても自分の目で見たいという思いに駆られました。
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ルネサンス様式で建てられたこの建物は1877年のオープン当時、ヨーロッパで最も近代的な浴場とされました。その魅力と雰囲気は全く失われていません。異なる様々な温浴を楽しむローマ文化と、熱気浴の伝統を持つアイルランド文化を融合させたぜいたくなスパです。
ここを訪れたアメリカの文豪マーク・トウェインは、「10分経てば時間を忘れ、20分経てば世界を忘れる」と書き記したといいます。
入り方は、係員の指示に従ってコース1から17まで巡ります。温熱蒸気浴、サウナ、水風呂、炭酸浴など各コースに滞在推奨時間が表示されていて、順番に進みます。途中、54度の温風浴場から68度の熱風浴場に入り温かい木製の寝椅子でくつろぐ頃から眠くなり、本当に世界を忘れてしまいそうになりました。
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待望の天蓋の見事な円形浴槽は、運動プールでした。泳いだり手足を動かしたり、28度の水温が心地よい。その後、18度のひんやりした浴槽にしばらく身を任せ一休み。最後に休憩室、読書室へと進み、3時間程度のスパ体験は終了です。
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この浴場地下にあるローマ時代の浴場遺跡も見逃せません。約200年前に発見された浴場の一部が修復され、公開されています。当時すでに床暖房の設備もあったといわれるローマ人の湯治場の遺跡は壮観です。
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スイーツや街並みも魅力
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歴史だけではなく、ショッピングや町歩きも楽しいバーデン・バーデン。この「カフェ・ケーニヒ」は、100年以上続く家族経営の老舗で、作曲家フランツ・リストや作家トルストイもこのお店のファンだったそう。
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たくさんのケーキが並ぶ中、黒い森のさくらんぼケーキを注文。ひと口食べるとふわっと軽い食感とチョコレート風味の生地からさくらんぼの蒸留酒の香りがたまりません。ランチを食べたばかりなのに、後を引くおいしさにまた完食してしまいました。
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パノラマビューポイント、メルクール山へ
市内のバス停から15分ほど走ると、メルクール山のケーブルカー乗り場に到着します。山頂は、バーデン・バーデンの街と周辺地域が見渡せる絶景ポイントです。
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残念ながら山頂に到着した直後、雷雨が襲ってきました。メルクールタワーに行くエレベーターに乗るのは諦めました。タワーの展望台からは、バーデン・バーデンの盆地だけでなく、黒い森の北部の山々やライン川上流の平原など、魅力的なパノラマが楽しめるそうです。
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山頂では、レストラン「メルクールシュトゥーブレ」で郷土料理も食べられます。あいにくのお天気でしたが、ポテトスープとサラダたっぷりの焼きマウルタッシェ(大型のラビオリに似たパスタ)はしっかり堪能しました。
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黒い森の玄関口 地産地消で人気のマーケット
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ここまで来たからには、やはり黒い森を体験したい。市の郊外、黒い森への玄関口にあるゲロルトザウアー・ミューレへも向かいました。地産地消をコンセプトにしたレストランや、地域の業者の生産した伝統的な特産品や食材を販売するお店などが入っています。
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私も黒い森のハムとサラミをさっそくお土産に買いました。レストラン併設の広いビアガーデンのある屋外エリアでは、壮大な黒い森を背後に居心地の良い空間を提供しています。
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家族経営のゲロルトザウアー・ミューレはバーデン・バーデンで初の民間水力発電所を建設したことでも注目を集めています。後に太陽光発電も導入し、余剰エネルギーを市に供給している持続可能なビジネスの先駆者です。
旧駅舎が祝祭劇場に! 「フェストシュピールハウス」
ヨーロッパ各地からの訪問客が降り立った旧バーデン・バーデン駅は、鉄道線が廃止されると、1998年にフェストシュピールハウス(祝祭劇場)として生まれ変わりました。客席数は2500席とドイツ国内最大。世界でも有数の音響効果を誇る近代的な音楽の殿堂です。
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普段は立ち入ることのできないオーケストラ・ピット、テクニカルセンターなどを見学する舞台裏見学ツアーに参加しました。
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ツアー出発点は、旧乗車券売り場の入口ホール。高いドーム天井が見事なネオ・ロマネスク様式の駅舎の建物はそのまま残され、ベル・エポックと現代のアバンギャルドが融合した華麗な内装にしばし見入りました。
「1904年にこの街の中央駅として建てられた旧駅舎をリユースしました。現在の客席と舞台は、鉄道駅の線路跡に建てられました」と、ガイドさん。
驚いたのは客席だけでなく、舞台上の温度調節も出来る点。「バイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターさんは21.5度を希望します。数億円もするバイオリンを最高の状態に保ち、快適な空間での演奏ができると好評です。もちろん持続可能性にもつながります。一流音楽家が喜んで出演する理由のひとつです」と、ガイドさんは胸を張ります。
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演目は、オペラ、バレエ、コンサート、ジャズ・イブニング、ミュージカル・ショーと時期によってさまざま。個人的にはドイツ作曲家の3B、バッハ、ベートーベン、ブラームスのピアノ演奏をいつか聞きたいなと思いました。ちなみにブラームスはこの街に好んで滞在したそうで、市内には彼の博物館もあります。
短期滞在にはもったいない、ロングステイにぴったりな見どころが満載のバーデン・バーデン。黒い森でハイキングするもよし。街中でショッピングや美術館巡りをするもよし。そして疲れた身体を温泉やエステで癒やし、夜はドレスアップして音楽会やカジノ、レストランへ。この街ならではの粋な楽しみ方を体験してみませんか。
ルフトハンザドイツ航空のご案内
日本とドイツを毎日直行便でつないでいます
ルフトハンザは現在羽田からフランクフルト、ミュンヘンへのフライトを毎日、そして関西からミュンヘンへのフライトを週3便運航しています。使用機材は羽田=フランクフルト路線が新型ジャンボB747-8型機、羽田と関西からの各ミュンヘン路線がエアバスA350-900型機です。どちらも大きな機材で開放感があり、ゆったりと旅行できます。
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時間を有効に使うなら関西発が便利です
春より運航を再開した関西=ミュンヘン路線は、日本発もドイツ発もどちらも出発時間が夜のため、出発当日を有効に使えます。早朝にミュンヘンに到着したら、国内線へ乗り継ぐのも良し、あるいは列車の旅をスタートするのにも最適です。
ルフトハンザドイツ航空の公式HPはこちら
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