屋久、奄美、喜界……フランス高級船で南の島めぐり(前編) | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]
上田寿美子 クルーズへの招待状
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屋久、奄美、喜界……フランス高級船で南の島めぐり(前編)

船上から桜島を望む=上田英夫撮影

デイゴ並木と、寅さんゆかりの加計呂麻島

4日目、奄美大島の古仁屋(こにや)港に入港。4月に来たばかりの奄美大島だったので、今回は水上タクシーに乗り、向かいに浮かぶ加計呂麻(かけろま)島に行ってみました。この島は映画「男はつらいよ」シリーズ最終作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」のロケ地でもあり、寅さんとマドンナのリリーが暮らした家が、現在は「伝泊(でんぱく)リリーの家」という宿泊施設になっていました。

加計呂麻島のデイゴ並木。この島は映画「男はつらいよ」のロケ地でもある=上田英夫撮影
加計呂麻島のデイゴ並木。この島は映画「男はつらいよ」のロケ地でもある=上田英夫撮影

その前の諸鈍(しょどん)長浜沿いに続くのはデイゴ並木。何本かの木には燃えるような紅のデイゴの花がちらほら咲いていました。満開でないのは残念でしたが、実はデイゴの花がよく咲く年は台風が多いという言い伝えがあるそうです。

紅に燃えるデイゴの花=上田英夫撮影
紅に燃えるデイゴの花=上田英夫撮影

加計呂麻島はビーチが美しいことでも有名で「加計呂麻ブルー」という言葉まであるとか。今回はスリ浜や佐知克(さちゆき)ビーチなどにも行きましたが、いずれも心が洗われるような透明の青い海でした。

(左)茂みを抜けると青い海にのびる桟橋。スリ浜(右)西田製糖で工場見学。出来立ての黒糖を試食。コクのある甘さにうっとり=いずれも上田英夫撮影
(左)茂みを抜けると青い海にのびる桟橋。スリ浜(右)西田製糖で工場見学。出来立ての黒糖を試食。コクのある甘さにうっとり=いずれも上田英夫撮影

ところで、佐知克ビーチの傍らには、西田製糖工場がありました。加計呂麻でとれた糖度の高いサトウキビを使い、他に何も入れない純黒糖を製造している、この島の重要な産業です。

工場を見学させてもらいましたが内部は高温と湯気が立ち込め、見ているだけでも汗が噴き出すほど。職人さんたちは、慣れた手つきで、サトウキビのしぼり汁を煮詰め、かくはん機でさらに水分を飛ばし、仕上げにかかっていました。

すると、女主人らしき人が「もうじきできるから食べて行って」と、まず、熱々の水あめ状の黒糖をくれました。口に含むと、天然の甘さが口いっぱいに広がりました。次に、「もう少しで仕上がるもの」と言いながら、先ほどより白濁し、ねっとりとした黒糖をビニールに乗せてくれました。同じ機械からすくっているのに、こちらは、よりまろやかで洗練された甘みに変化していました。

島の売店で西田製糖の黒糖があったので土産に買い、帰宅後、夕食のおかずの鶏肉煮物にメイドイン加計呂麻の黒糖を入れたら、とてもコクのある味に仕上がり、家族にも大好評。飛び入りの見学だったにもかかわらず、とても親切にしてくれた西田製糖の皆さんの表情が浮かびました。

奄美大島のマグロで解体ショー=上田英夫撮影
奄美大島のマグロで解体ショー=上田英夫撮影

加計呂麻島から奄美大島に帰り、古仁屋港のせとうち海の駅で行われたマグロ解体ショーを見物。実は奄美大島の瀬戸内町は日本有数の養殖マグロの生産地。数種の包丁を使い目の前で切り分けられていく解体ショーは迫力十分でした。そして、中トロと赤みの試食もあり、新鮮なマグロの刺し身に舌鼓を打ちました。

古仁屋港出港は、島唄と踊りのにぎやかなお見送り=上田英夫撮影
古仁屋港出港は、島唄と踊りのにぎやかなお見送り=上田英夫撮影

やがて、奄美大島出港の際には地元の人が、歌や踊りで盛大なお見送り。奄美大島の文化と人情が伝わる船出となりました。

喜界島の絶景と、シーフードの競演

ところで、ル ソレアルには、劇場があり、フレンチカンカンなど夜のショーも上演されます。特に印象深かったのは、ショー「ピカソ」。スペインで生まれ、フランスで制作活動をした世界的に有名な画家ピカソをモチーフにしたショーで、仮面をつけたり、絵画から飛び出したりする演出は、他のクルーズ船ではあまり見たことのないものでした。

5日目、ル ソレアルは鹿児島県の喜界島までやってきました。奄美大島の東、約25キロメートルに浮かぶサンゴ礁が隆起してできた喜界島は、今でも年に2ミリずつ隆起している世界でもめずらしい島です。そんな喜界島の阿伝(あでん)集落には昔ながらのサンゴの石垣が現存しています。台風に備えるための防風対策でもあるサンゴの石垣ですが、隙間があるためハブがすみ着くのが弱点。しかし、喜界島にはハブがいないことから保存状態もよく、今もこの集落の民家を守っています。

喜界島。サンゴの石垣が残る阿伝集落=上田英夫撮影
喜界島。サンゴの石垣が残る阿伝集落=上田英夫撮影

空港の傍らにあるスギラビーチは、入り江に魚が泳ぎ、サンゴのリーフに囲まれているので天然のプールのように穏やか。映えスポットとして人気なのは「サトウキビ畑の一本道」。見渡す限りのサトウキビ畑の間を海へと貫く約2.5キロの道路です。

スギラビーチはサンゴのリーフに囲まれ天然のプールのごとく穏やか=上田英夫撮影
スギラビーチはサンゴのリーフに囲まれ天然のプールのごとく穏やか=上田英夫撮影

島の中央部に広がる標高203メートルの巨大隆起サンゴ礁台地を公園化したものが百之台国立公園展望所。ソテツが茂る高台から太平洋と、東シナ海を一望できる絶景ポイントは奄美十景の一つに数えられています。

百之台国立公園展望所は奄美十景の一つ=上田英夫撮影
百之台国立公園展望所は奄美十景の一つ=上田英夫撮影

港に戻ると、岸壁では立派なクルマエビの塩焼きの大盤振る舞い。物産展では喜界島名物のゴマなどの販売に地元の学生が職業体験の一環として参加していたことにも感心しました。

タラバガニ、ムール貝、エビにすし。海鮮祭りのようなビュッフェ=上田英夫撮影
タラバガニ、ムール貝、エビにすし。海鮮祭りのようなビュッフェ=上田英夫撮影

船に戻ると、今日のランチは昨日奄美大島のマグロ解体ショーに登場したマグロの握りずし、鉄火巻き、お刺し身。さらに、タラバガニ、ムール貝、エビなども並び、ランチ会場は海鮮祭りのおもむき。実は、このクルーズは南薩観光という鹿児島の旅行会社がチャーターしたクルーズですが、昨日のマグロ解体ショーは、南薩観光がこのクルーズのために手配したもの。地元の名産品と、それを調理提供するル ソレアルのコラボレーションで、旅はますます楽しくなっていきました。

解体ショーのマグロを使った握りずしも登場=上田英夫撮影
解体ショーのマグロを使った握りずしも登場=上田英夫撮影

明日は甑(こしき)島。読むのも難しい南の島には、果たして何が待っているのでしょうか。

■ ポナン http://www.ponant.jp

フォトギャラリー(クリックすると、写真が次々とご覧いただけます)

「甑島、上五島、済州島……フランス高級船で島めぐり(後編)」はこちら

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