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「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉

Tさんご家族(夫20代、妻20代、長男1歳)
埼玉県白岡市 / 築25年 / 73.57㎡ / 総工費600万円

     ◇

今回、紹介する事例は、最近増えてきている部分リノベーションです。子どもが生まれたことを機に、夫の実家の近くに中古マンションを購入したTさんご夫婦。大きな間取りの変更はせずに、理想の暮らしを実現しました。

リノベーション前は、3LDKのオーソドックスな間取り。Tさんご夫婦の希望は、LDKを隣の和室とつなげて広々させたい、古くなった水回りの設備を一新させたい、そして「こもるスペース」が欲しいというもの。また、二つある個室は、寝室と将来の子ども部屋のために、そのまま残したいとのことでした。大きく変更するのはLDKの部分なので、他の部分はできるだけ、あるものを生かすことにしました。

LDKの隣の和室は、壁を取って広々としたセカンドリビングに。和室の床が少し高くなっていましたが、その高さを生かして小上がりにし、畳はカーペットに替えました。床の高さを変えるという大きな変更は手間とお金がかかるので、あえて生かして周囲とは一味違う、リラックスできる空間に仕上げました。

「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉
低い壁で仕切ったLDとセカンドリビング

元の壁は取りましたが、リビング・ダイニングとの境に低めの壁を新たに設置。壁のセカンドリビング側のそばはキッチンやリビング・ダイニングから見えないので、「こもるスペース」になっています。Tさんはソファを置いて、こもる時間を楽しんでいます。

もう一つ、リビング・ダイニングにも「こもるスペース」があります。元々は出窓だったものを、座って本を読める縁側のようなスペースに。こもるのにどのくらいの広さがいいのかを相談し、壁をふかし(前に出す)ました。元の出窓よりも1.5倍ほどの広さになり、寝そべることも可能。今は、子どもの遊び場にもなっています。

「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉
こもりスペースは、今は子どものミニカースペースとして活用

壁と天井は、Tさんご夫婦の希望に合わせてコンクリートをそのまま生かしました。リノベーション前は、コンクリートにクロスや板が直接貼ってある構造だったので、それを生かしてクロスや板を剝がし、補修をしただけの状態に。どんな物件でも同じことができるわけではありませんが、今回は家の構造とTさんご夫婦の希望がマッチし、余計なお金と手間をかけずに、雰囲気のいい壁と天井になりました。

「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉
クロスを剝がして天井を取り払い、床を更新しただけの元和室。コンクリートの無機質な質感がアクセントに

こんなふうに、変える部分、変えない部分をしっかりと見極め、必要最小限のリノベーションをしました。変えない部分と言えば、収納もその一つです。リノベーションをする多くの人が、ウォークインクローゼットを新設しますが、Tさんご夫婦は、「今ある押し入れ二つを工夫して使う」選択をしました。扉は変えましたが、中はそのまま。新たにウォークインクローゼットを作るとなると、大きな間取りの変更になる場合もあります。本当に必要なのかどうかを、しっかり見極めることが大切です。

「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉
元和室の小上がりはカーペット敷きにして、子どもも遊びやすいように

お金や手間の節約になるだけでなく、「あるものを生かす」という観点からも、今後は部分リノベーションが注目されると思います。それに、今から20年ほど前に作られた物件は、今の暮らしにも通用するものが多く、部分リノベーションでも十分に快適だという事情もあります。今回は、引き算と足し算をうまく組み合わせ、Tさんご夫婦にちょうどいい住まいになりました。

間取りとリノベーションの写真(写真をクリックすると、次々とご覧いただけます)

Tさんご夫婦に聞く
リノベーションQ&A

Q1 リノベーションで一番大切にしたことは?

コンクリートがあらわになった空間が好きで、その希望をリノベーションによって実現しました。床材やタイルの素材にもこだわり、白を基調とした洗練された空間になりました。

また、窓辺にこもることができる空間として、既存より出窓のサイズを大きくし、ゆったり読書を楽しめるようにしました。現在は子どもの遊び場の一つになっています。

「こもるスペース」のあるLDK。あるものを生かしながら自分たちらしく〈254〉
キッチンは位置を変えずに、壁とつり棚を取り払って開放的に

Q2 リノベーションのプロセスで楽しかったことはありますか?

考えている時間がとても楽しかったです。リノベーションの計画を立てることやアイデアを考えること、自分の好みやスタイルを反映させるデザインを選択することなど、多くの楽しみがありました。

Q3 自分が想像していた以上のことはありましたか?

今回のリノベーションにより、工事にかかるお金に関して知見を得ることができました。具体的には、壁を壊す場合にかかる費用や、造作の棚を作る費用などです。

壁を壊すという決断によって、予想以上に費用がかかること、同時にその変化が空間にもたらす価値を理解することもできました。また、壁を壊しスケルトンの状態で工事を進めるメリットも知ることができました。

構成・大橋史子

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