日本の漫画がブロードウェーへ! ミュージカルができるまで
ニューヨーク在住6年目の、久保純子さん。新型コロナウイルスを経て世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。
「一緒にブロードウェーを目指さない?」
ブロードウェーミュージカルができるまで。それがとてつもなく長い道のりだということを知ったのは、元NHKのアナウンサーの先輩だった瀧内泉さんと再会を果たした4年前のことだった。
ニューヨーク(NY)で数年ぶりにお会いした瀧内さんは、「ブロードウェーに、初めて日本の漫画を持ってきたいと思っているんです」と。その言葉に私は驚き、それ以上にときめいたのを今でもはっきりと覚えている。そして、「一緒にブロードウェーを目指さない?」という嬉(うれ)しいお声がけが。無類のミュージカル好きとしては、迷うことなく二つ返事でお受けした。「なんでもやります!」と。こうして、ブロードウェーミュージカル制作のアシスタント=現場での通訳や情報収集のお役目がスタートしたのである。
日本の漫画を、ブロードウェーに
『鼻下長紳士回顧録』という漫画を見聞きしたことがあるだろうか? 『働きマン』や『ハッピー・マニア』など数々の人気作を世に送り出している安野モヨコさんの作品で、フランスの娼館(しょうかん)で働く主人公が、恋愛や現状に葛藤しながら、自らが置かれたコンフォートゾーン(居心地の良さ)から抜け出し、「書くこと」で自分を見いだしていくというヒューマンストーリー。描写や表現の美しさもさることながら、そのどこか切なく、それでいて力強いメッセージに心奪われるのだ。
なぜ漫画をブロードウェーに持ってくることになったのか。そもそもどうしてブロードウェーのプロデューサーに? ミュージカルってどうやって作られるの? 次々と疑問がわいてきた。瀧内さんは、7年でNHKを辞めて、その後、劇団四季では『ライオンキング』や『美女と野獣』、ソニーやその他で数々の舞台の制作に携わってきた。
「海外の作品は日本へやってくるけれど、では日本で生まれた作品が海外に羽ばたいて行くことはできないのか」と日本の知的財産を、日本人の手によって、世界に発信するプロジェクトを立ち上げたのだ。「今まで以上に、世界中の人たちに日本の素晴らしさを感じていただけるのは素晴らしいことではないでしょうか」と瀧内さんは振り返る。
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いつも記事を拝見させていただいて毎回テーマや内容は違うのですが、純子さんから生き方や共感できる事が多々あり元気と活力をいただいてます。ブロードウェイには時間、労力、金銭的にも人力も要するからこそそれぞれの思いがパワーが感動に繋がり何回もみたくなるのですね☺️✨また、観たくなりました。