ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]
料理家・冷水希三子の何食べたい?
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ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんがリクエストに答えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は思い立った時にすぐに作れるスイーツレシピ。朝食にもおやつにもなる、プレーンスコーンをご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。今日も張り切ってお料理を学びたいと思います!

冷水 はい、よろしくお願いします。今日はどんなお料理を作りましょうか?

―― 今日は、定期的に食べたくなる、冷水スイーツをリクエストしたいなと思っています。

冷水 最近スイーツの頻度が高くないですか(笑)。

―― 寒い時期は甘いものが食べたくなるんです〜。

冷水 あまり手の込んだものは作れないですが……、何がいいですか?

―― お菓子作りは手間と時間と、なにより技術が必要だというのは重々承知なのですが、無理をいいますと、思い立った時にさっと作れるおやつのレシピを習得できたらいいな〜と……。

冷水 本当にそれが理想ですよね。

ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン
粉ふるい器がない時はザルで代用できます。ボウルより一回り小さいものを使うと粉が飛び散らず快適です

―― あとは、よほどのことがない限り大失敗しないものがいいです……。

冷水 無理難題ですね(笑)。あ、でもスコーンなら大丈夫かも!

―― スコーン! アフタヌーンティーに欠かせないお菓子じゃないですか。そんな簡単に作れるんですか?

冷水 スコーンは本当にいろいろなレシピがあって、手をかけようと思えばいくらでもかけられるのですが、自宅で気軽に楽しむ普段着のスコーンなら手軽に作れますよ。

―― それそれ、そういう普段着のお菓子を待ってたんです!

冷水 わかりました。じゃあ作ってみましょう〜。今日は限りなくシンプルな材料と工程で作りますね。でも、素朴でおいしいですよ。

―― やった!

冷水 まずは粉類を合わせてふるいます。お菓子作り用の粉ふるい器がない場合はざるで代用できますのでご安心を。

―― 薄力粉、塩、ベーキングパウダー……。シンプル!

冷水 でしょう? 材料はシンプルなんですけど、これらを混ぜ合わせる順番が大切なので、そこはしっかりと守ってくださいね。

ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン
バターを加えたらまずスケッパーで細かくし、その後手を使ってさらに小さくしていきます

―― しっかりメモします!

冷水 粉類をボウルにふるい合わせたら、次に加えるのはバターです。ポイントは直前まで冷蔵庫で冷やしておいた冷たいバターを粉に加えること。決して溶かしバターにしないでくださいね。

―― え〜、カチカチのバターを粉の中に入れたら、大変そうですね……。

冷水 少し大変ですが、スケッパーというお菓子用の器具を使って、粉の中でバターを細かく刻んでいきます。あらかじめバターを包丁で細かく切って、それを冷蔵庫で冷やしておいてもいいです。

―― なんでそこまで「冷たいバター」にこだわるんですか!?

冷水 スコーンって、焼き上がった時に生地が幾層にも重なっていますよね。パイほどわかりやすくないのですが……。

―― たしかに。生地がニョキニョキと盛り上がって、側面から見ると地層みたいな感じですよね。

冷水 そう、その“地層”を作るのが、冷たいバターなんです。

―― そ、そのこころは……!? 

冷水 バターが溶けないうちに細くして粉に混ぜておくと、オーブンで焼いている途中でバターが溶けて、それが層を作るんです。焼く前に粉にバターが溶け込んでしまうと、生地全体にバターが行き渡ってしまって、ただふんわりした生地になってしまいます。それから、粉のグルテンを出さないためでもあります。

―― なるほど〜。お菓子作りは奥深いですね……。

ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン
まとまった生地を数回重ねて、スケッパーで6等分します。混ぜたり、切ったり、スケッパーが大活躍しますので、ぜひ手に入れてみてください

冷水 なので、スケッパーだけは必須アイテムなのですが、100円ショップなどでも買えますし、パンやクッキー作りにも使えますので、ぜひ買ってみてください。野菜をみじん切りにしたとき、スケッパーがあるとさっと集められて便利ですよ。

―― そんな裏技も!?(笑)。じゃあ買って損なしですね。

冷水 では、早速スケッパーで粉の中のバターを細かくしていきましょう。ひたすら細かく切っていきます。全体的にバターが細かくなったなと思ったら、次は手を使います。

―― 徹底的〜!

冷水 両手で粉をとって擦り合わせるようにすると、小さなバターの塊があるのがわかるでしょう? 

―― はい、ポロポロとより細かい感じになってきました。

冷水 限りなくバターが細かくなったら、砂糖を加えてください。

―― 砂糖が最後ですね。メモメモ。

冷水 あとは牛乳、豆乳、ヨーグルトを加えて、粉っぽさがなくなるまで混ぜれば生地は完成です。このとき、決して練らないようにするのが第2のポイントです。練るとグルテンが出て、ねっとりした生地になってしまうので。スコーンはサクサク感が大切なのでね。

―― 練らずに生地をまとめるって、なかなか難しい……。

冷水 最初はスケッパーを使って混ぜて、後半は手を使います。周りの粉を生地にまとわせて、ギュッと押す。それを繰り返していれば自然と生地がまとまってきます。

―― 本当だ、粉っぽさがなくなりました! まとまるものですね〜(笑)。

冷水 もしチョコチップやナッツを入れる場合は、生地をまとめる段階で入れてください。

ザクザク、しっとり。思い立ったらすぐ作れるスコーン
焼く前の状態はこんな感じ。少し小さいかな?と思うかもしれませんが、焼くと膨らむのでご安心を

―― チョコスコーンもいいですね! ところで今回は牛乳、豆乳、ヨーグルトと3種類の乳製品が入りましたが、牛乳だけだとダメなんですか?

冷水 もちろん牛乳だけでも作れますが、豆乳を少し加えるとザクザク感が増すんです。反対にヨーグルトはしっとり感の担当。表面をザクザクに、中をしっとり仕上げたいので、この3種を使っています。

―― それぞれ役割があるんですね。仕上がりが楽しみです。

冷水 では最後のポイントです。まとまった生地をスケッパーで2等分し、それらを上下に重ねます。それを少しだけ平らにして、さらに2等分し、また上下に重ねてください。

―― パン作りみたいですね。

冷水 はい、こうして生地を重ねることで、さらに層ができるんです。

―― なるほど! 大切な工程ですね。

冷水 あとは生地を3cmほどの厚さにして6等分し、180度のオーブンで25分ほど焼くだけです。

―― うわ〜、すでにいい香りが漂ってきました! 

冷水 お好みのジャムやクロテッドクリームをつけて食べましょう。

―― 先生、お店で売っているような美しい層のあるスコーンが焼けました! 家でこんな本格的なたたずまいのスコーンが焼けるなんて、感動です……。

冷水 頑張って冷たいバターを切ったかいがありましたね。

―― 先生のねらい通り、表面はザクザク、中身はしっとりで、最高です!

冷水 よかったです。牛乳、豆乳、ヨーグルトの割合はぜひお好みで変えてみてください。自分流のスコーンを探求するのも、楽しいものですよ。 

スコーン

材料(6個分)

  • 無塩バター
    50g
  • 砂糖
    25g

    A

  • 薄力粉
    200g
  • ひとつまみ
  • ベーキングパウダー
    6g

    B

  • 牛乳
    50ml
  • 豆乳
    25ml
  • プレーンヨーグルト
    25g
  • ボウルにAをふるい合わせる。
  • 冷たいバターを1.のボウルに入れ、スケッパーで細かく切っていく。
  • バターが細かくなったら手で粉ごとすりあわせるようにして、バターがポロポロになるまでさらに細かくする。その後、砂糖を加えて混ぜる。
  • 合わせたBを3.に加え、練らないようにひとまとめにする。粉っぽさがなくなるまで混ぜたら台に移し、スケッパーで半分に切る。2等分した生地を上下に重ね、手で押さえる。
  • 4.の生地を再び半分に切り、上下に重ねて長方形の厚さ3cmほどの形に整える。生地を6等分に切り、180度に予熱したオーブンで23~25分焼く。

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