洋風に楽しむ、タラと菜の花の軽い煮込み

――　冷水先生、こんにちは。立春も過ぎましたが、引き続き寒い日が続きますね。

冷水　はい。春が待ち遠しいですね。

――　寒い、寒いと言っているだけでは悔しいので、冬のおいしい食材を楽しみ尽くしたいと思います！

冷水　そうこなくっちゃ！　今日はどんなお料理がご所望ですか？

――　寒い日が続くと、ついお鍋を作ることが多くなります。今が旬のタラをよく使うのですが、そろそろお鍋以外の料理で楽しみたいなあ……と思いまして。

冷水　お鍋に欠かせない食材ですものね。

――　でも、せっかく旬の時期なので、ほかにも何かいいレシピはありますか？

冷水　もちろんです。じゃあ今日は「タラのイメチェン」料理ですね。

――　はい！　劇的なヤツをお願いします（笑）。

冷水　では今日は洋風のお料理に仕立ててみたいと思います。タラは下ごしらえで仕上がりが変わりますので、まずは準備からしっかりやっていきましょう。

――　お魚はたいてい下ごしらえが肝心ですが、タラはさらに要注意ということですか？

冷水　タラは水分が多いので、ほかのお魚より気持ち塩を多めにふって、冷蔵庫で1時間ほどおいておきます。こうすることで適度に水分が抜けて、下味もしっかりと入ります。水分と一緒に臭みも抜けますのでね。

――　なるほど。お鍋のときは、切ったそばからポンポン投入していたので、今日は丁寧にタラさんを扱いたいと思います！

冷水　タラさんも喜んでます（笑）。そしてさらにひと手間なのですが、1時間おいておいたタラを、今度は熱湯にくぐらせて霜降りしていきます。これでさらに臭みが抑えられます。

――　タラの切り身を3等分にカットしてから霜降りするんですね？

冷水　タラは火が入ると身がポロポロと崩れやすいので、先にカットしてから霜降りしたほうがきれいに仕上がります。

――たしかに、お鍋でもタラの身は崩れやすいですものね。

冷水　霜降りしたタラはペーパーなどで優しく水気を拭いてください。ボウルにレモンの皮のみじん切りとEXVオリーブオイルを入れて、そこにタラを加えてあえていきます。

――　レモン！

冷水　タラは白身の中でも淡泊な味なので、レモンで少し風味をつけます。もしグレーターをお持ちでしたらレモンの皮をすり下ろして入れてもいいです。

――　皮を使うということは、無農薬のレモンがいいですね。

冷水　レモンの旬も冬なので、今の時期は国産の無農薬レモンが手に入りやすいと思います。

――　タラのレモン＆オリーブオイルあえ……。今の段階ですでにおいしそうです（笑）。

冷水　まだまだおいしくなりますよ。次に鍋にEXVオリーブオイルと小口切りにした長ネギ、塩ひとつまみを入れて10分ほど蒸らし炒めます。

――　ネギだけ先に炒めるんですね。

冷水　しっかりと火が通ったネギは甘くておいしいですからね。ネギが柔らかくなったらタラを加えて軽く混ぜ、再びふたをして5分ほど煮ます。

――　わあ、タラのいい香りがします。お鍋のときよりもダイレクトにタラの味が楽しめそうで、ワクワクします。

冷水　次に水を加えて、2cm大の角切りにし、水にさらしておいたじゃがいもを加えます。アクをとりつつふたをずらして15分ほど煮たら、菜の花を加えて軽く煮て、塩で味を調えれば完成です。

――　じゃがいもは水にさらしておくんですね。

冷水　今日はさらっとした質感の煮込みに仕上げたいので、水にさらしてデンプン質を落としておきます。

――　逆にトロッとした質感にしたいときは水にさらさないんですね。シチューとか。

冷水　その通りです。

――　ちょっとしたことで仕上がりに変化が出るお料理って、本当に面白いです。

冷水　それぞれの工程にどんな意味やねらいがあるのか？　それを一度理解できれば、お料理はずっと楽しくなりますし、ちょっとしたひと手間こそが大切なんだって思えるようになりますよ。

――　「面倒くさいな」という気持ちも減りますね（笑）。

冷水　さて、そろそろいい感じです。器にスープも一緒によそって、召し上がれ。

――　わ、なんだかスープみたいな感じですね！　タラが主役という感じで、素敵です。

冷水　スープもおいしいですよ〜。

――　う〜ん、スープにタラの出汁（だし）が出ていて、最高です。タラの身もふっくらしていて、繊細な白身の風味がよくわかります。タラってこんな上品な味だったんだ！

冷水　よかったです。ほんの少し生クリームを加えると、また違ったおいしさに変わりますよ。タラはクリームと相性がいいのでね。

――　おおお！　生クリームを入れるとタラの風味が一段と引き立ったような気がします。ほのかに香るレモンもすごくいいです。

冷水　残ったスープにパスタを入れてソースにしてもおいしいですよ。

――　レモンクリームタラパスタ！　多めに作って、何パターンものお料理を楽しめるのは、いいですね。

タラと菜の花の軽い煮込み